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第61話 そのころの防衛チーム

 主要メンバーが出払っている【星の守護者】の本拠地を遠くから眺めている者がいる。近くに本拠地を構えている【宇宙(ソラ)(フネ)】だ。彼らはこの日のために合併を行い、150名程度のギルドになっている。そして、その内の30人ほどが、偶然にも【星の守護者】の本拠地を発見していた。


「【千里眼】による目視だからまだ気づかれていないと思うが、どうする?」


「人数は?」


「見えている限りで10人ちょい。ダイチとハクエン、アルゴがいるのが厄介だが、他に特筆すべきメンバーはいなさそうだ」


「イレギュラー要素になりうる吸血姫の子も無しか。中にいる人材を含めたとしても、多くて20人ほどだろう。数ではこちらが勝るが、念のため仲間に連絡して波状攻撃を仕掛けよう。5分で全回復する以上、休む暇を与えてはいけない」


「だな。探索で手薄な今が狙い時だ。サキュバスがいたはずだから、魅了対策は忘れるなよ」


 防衛側にすれば探索から戻ってくるメンバーまで時間稼ぎをすればいいいと思うはず。だが、ちんたら戦えば、先に連絡を送ったこちらの救援が先に到着し、ダメ押しの一手となる。


「戻ってくるメンバーあり。数は8。進行速度から20分弱」


「急いでも15分はかかるな……よし、あと10分でこちらの増援が来る。仕掛けるぞ」


 少しでも救援部隊を楽にさせようと【宇宙船】メンバーが飛び出し、地雷原については【爆風ダメージ軽減】持ちのタンクとヒールで強引に突破を図っていく。




 地雷原からの爆発は【星の守護者】の防衛メンバーの知るところとなる。


「地雷を無理やり突破してきたか。防御が高いかスキルによるものかはわからんが、本命の部隊かわざと目立っての陽動か。どう見る、ハクエン?」


「挟み撃ちにされないよう後方の安全に注意しつつ、前方からくる敵を払いのける」


「アーシャ、後方は任せた。何かあったら教えてくれ。戦闘は無理しなくていい」


「わかりました。機械兵はオートでそちらに回しておきます」


「助かる。リン、今回はお前が防衛の要だ!」


 戦闘があまり得意でない錬金術師に警戒だけをさせ、SPICAの歌バフでダイチたちはくる敵を待ち構える。




 SPICAの歌は当然、敵である【宇宙船】にも聞こえている。その曲から相手へのデバフではなく味方への攻撃力上昇効果であることもリサーチ済みだ。仮に曲を切り替え、デバフ効果にしたとしても、こちらは音攻撃を軽減する耳栓、サキュバス対策の魅了無効化装備を付けている。


「なんだ、あれ?」


「ロボット?」


 人影が目視出るところまで近づくと、確かに人よりも大きな何かがある。ゴーレムの一種なのだろうかと考えているとき、目の前が光り出す。その光は先頭にいたタンクを飲み込むほど強大なものだ。


「か、回避――!」


 射線上から逃げようとするも、地雷原を突破するためにタンクの後ろで固まっていたプレイヤーの大半はその光に飲み込まれてしまう。


「な、なにが起きて……」


 ビーム攻撃を受けた部隊長が辺りを見渡すと、タンクはかろうじて生存、食いしばり系スキルを持っていたプレイヤーも問題ない。だが、後方職であるヒーラーや魔導士たちは壊滅。残ったのは10人程度で回復もままならない。そして、前方からは迫ってくる【星の守護者】たち。悠長にアイテムで回復させる気はないようだ。



「どけどけ、ライノチャージ!」


 アルゴは得意の斧から突撃槍に切り替え、蜘蛛の子を蹴散らすかのように弱り切った【宇宙船】のプレイヤーを蹴散らしていく。ひん死の重傷を負いながらも、せめてアルゴだけでも倒そうとして襲い掛かってくるも、アルゴの隙を埋めるかのように大楯が立ちふさがる。


「おっと、そう簡単にはやらせはしないぜ。シールドバッシュ」


「なんのこれしき!」


「立て直しが早いな」


「タンクにやられたなんて言うわけにはいかん。ブレイクソード!」


「おっと、防御バフ無視攻撃(ブレイク属性)か」


「チェスト!」


「だがな、NPC相手ならともかく対人で使うには隙がでかい」


 相手の大ぶりな攻撃に大楯でカウンターを入れて、残り少ないHPを削り取る。これまで多くの攻撃を受けてきたダイチだからこそ、相手の攻撃名や技のモーションをみるだけでカウンタータイミングが分かるのだ。


「どうやら対人戦に慣れていないギルドみたいだ。半分は戻って本拠地の防衛に当たれ」


「了解!」


 事前に決めていたメンバーを戻らせて、目の前の敵を掃討していく。と言っても、アルゴが突撃槍を地面に突き刺して発生した衝撃波による範囲攻撃を放つだけで食いしばりスキルを失ったプレイヤーにとどめを刺している。


「楽勝だったな」


「機械兵がバレていないのがでかい。問題はこの後だ」


 前線組も機械兵カードを使っており、SNSや掲示板で話題にならない方がおかしい状況。本拠地近くまで来ていた【宇宙船】の第二陣も第一陣が壊滅したことを知り、作戦を練り直すべく撤退を始めている。前線に出ていたジーク、ダクロたちが戻ってきたところでそれらのチェックを行い、作戦方針の修正を行うのであった。




 324.名無しのプレイヤー

 森林エリアでロボットにやられたんだがwww


 325.名無しのプレイヤー

 ロボット?


 325.名無しのプレイヤー

 サルとかゴリラとかのアニマル系?


 326.名無しのプレイヤー

 どっちかというとモ〇ルスーツとかナイ〇メアとかのそっち系


 327.名無しのプレイヤー

 某会社の怒りに触れてバニシングされそう


 328.名無しのプレイヤー

 ロボット出すスキルなんてあったか?


 329.名無しのプレイヤー

 ない。ゴーレムを召喚するスキルはあるけど、基本的には岩だ

 少なくとも人型機動兵器には見えん


 330.名無しのプレイヤー

 ってことは、誰かが新スキルを見つけたのか

 誰が使っていた?


 331.名無しのプレイヤー

 目の前で使われたわけじゃないからわからん

 でも対戦した相手は【星の守護者】の連中


 332.名無しのプレイヤー

 俺たちも同じスキルでやられたわ

 ドデカイビームを撃たれた


 333.名無しのプレイヤー

 こっちは盾持ちに手こずって負けた


 334.名無しのプレイヤー

 複数機居るの? 対処、めんどくせえ


 335.名無しのプレイヤー

 他は空飛ぶタイプと、火薬庫みたいな奴

 合計4種類っぽい?


 336.名無しのプレイヤー

 ここ最近、【星の守護者】の連中あまり見かけないな

 と思っていたら、そんなつよつよスキル手に入れていたのかよ


 337.名無しのプレイヤー

 卑怯な連中だ


 338.名無しのプレイヤー

 まったくだ


 339.名無しのプレイヤー

 処す? 処す?


 340.名無しのプレイヤー

 返り討ちに会うだけだから…

 >>339 任せた


 341.名無しのプレイヤー

 >>340 逃げるなぁ!自分の発言から逃げるなぁ!


 342.名無しのプレイヤー

 居住区エリアで歩いていたら、いつの間にかやられた


 343.名無しのプレイヤー

 同じ目に会ったか。

 多分、スナイパーがどこかにいる


 344.名無しのプレイヤー

 今のところの各地エリアの状況は

 草原:まとも

 森林:スーパー□ボット大戦

 山岳:雪山

 海岸:まとも

 砂漠:龍堂

 居住区:外出不可

 こんな感じだよな


 345.名無しのプレイヤー

 森林エリアだけ別ゲーしている

 いや、山岳も別方向でおかしいんだけど……


 346.名無しのプレイヤー

 あそこ、ゲーム開始時は岩山って感じだったのにな

 なぜ、あんなことに……


 347.名無しのプレイヤー

 祟りじゃー!




「とまあ、SNSや掲示板で見る限り、【漆黒の翼】が砂漠エリア、それに隣接する海岸エリアと山岳エリアに【ENJOY!】、【厄災PANDORA】。居住区エリアは【修羅】と【リベルテ】が合併した【ALL FOR ONE】がいるが、腕利きスナイパーを擁しているのが彼らなのかは分からん。というわけで、今後の方針としては今日は森林エリアの敵を倒し、2日目からは隣接している【ENJOY!】の動向次第だが草原エリアへ侵攻していく予定だ」


「まずはこちらに攻撃を仕掛けてきた【宇宙船】から倒す。イベント前日の団員数はおよそ120人。今回倒したのはポイントの増加量からみるに2、30人ほど。残り120名弱が私たちの敵だ」


「120名か……他ギルドから攻められることも考えると防衛部隊も残さなければならない。ハクエン、30名程度で落とせる策はあるか」


「2日目まで温存したかったが、各ギルドの動きが想像以上に早い。さらにカードを切ろう。今度は私が前に出る」


「わかった。防衛部隊の指揮は任せてくれ」


 部隊が再編成され、ハクエンたちは【宇宙船】を排除すべく本拠地から離れるのであった。

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