きっと見る夢
「なんか勘違いしてるだろ」
「いえ、何にも。ほら、さっさと渡してきなさいよ」
何か言いたそうにこっちを見て、ため息を残して行った。
手にはお返しの袋。
胸が痛むのを気づかない振りをした。
「ばっかみたい」
急ぎ足で帰ってきた自分の部屋。
放課後に追いかけてきた唯斗も振り切って帰ってきた。
バカみたいなのは私。
カーテンと窓を開けて無人の部屋に向かってつぶやく。
「圭!」
「!?」
下から声がかけられる。
唯斗の家の玄関で唯斗が息を切らしていた。
「ちょっとそこで待ってろ」
呆然としてる間に、唯斗の部屋の窓が開いた。
息を切らして、赤い顔で。
「これ、お前に」
窓から伸ばされた手に、小さな袋。
「何を怒ってんのかわかんねえけど、これだけは今日中に渡したかった」
「あ」
袋の中は、細い鎖のブレスレット。
「チョコ、ありがとな。他へのお返しと一緒にはしたくなかったから」
少しは特別って思ってくれてた?
「……唯斗、あのね「圭」」
私の言葉を唯斗が遮った
ゆっくりと私に伸ばされる手に、引き寄せられるみたいに窓から体が乗り出す
指先が絡まる
指先が、全身が熱い
胸が苦しい
「太るだろ、クッキーは」
「え」
全力で傍にあったうさぎさんのぬいぐるみを投げつけてやった
ときめきを返せ
好きって言いそうになった乙女心を踏みにじる
「怒ってる顔でもいいんだけどさ」
鼻をさすりながら唯斗が言う
器用にも絡まった指先はそのまま
唯斗の力が強くて離れない
「笑った顔が一番好きなんだけど」
「ずっと、一緒にいて」
頬を熱い涙が流れた
「……うん。一緒にいる」
小さすぎた声でも聞こえたのか、唯斗は綺麗に笑った。
10題終了です。
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