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第33話:崩れ始める
ある日、陽菜の学校での作文。
テーマは「家族」
娘に全て見抜かれている太郎。
太郎は何も言えなかった。
それから家庭の空気が変わった。
陽菜は父親に少し距離を置くようになった。
会話が減る。
笑顔も減る。
太郎が話しかけても、どこか冷たい。
ある日。
学校の作文で問題が起きた。
テーマは 「家族」。
先生が太郎に電話してきた。
「一度学校に来てもらえますか」
太郎は嫌な予感がした。
学校で見せられた作文。
そこにはこう書かれていた。
「うちのパパとママは、浮気で結婚しました。」
「ママはパパが好きだけど、パパは前に好きな人がいたらしいです。」
「だからパパは時々さびしそうです。」
「私はパパが少しかわいそうだと思います。」
太郎は言葉を失った。
十歳の子供に。
ここまで見抜かれている。
先生は困った顔をしていた。
「少し家庭で話し合った方がいいかもしれません」
太郎は何も言えなかった。




