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第10話:崩壊の朝
美香はついに浮気に気づいてることを太郎に話すことに。
太郎の背中に冷たい汗が流れる。
美香は何も言わなかった。
スマホを見たことも。
メッセージを読んだことも。
次の日も普通に出勤した。
葬儀社「白峰セレモニー」。
いつもと同じ朝。
黒いスーツ
静かな事務所。
「おはよう」
太郎が入ってくる。
「おはよう」
美香もいつも通り返した。
でも。
太郎はどこか落ち着かなかった。
美香の視線が怖かったからだ。
怒っているわけでもない。
泣いているわけでもない。
ただ――
静かだった。
それが逆に恐ろしい。
仕事中も二人は普通だった。
搬送。
打ち合わせ。
通夜の準備。
プロとして完璧にこなす。
だが。
夜、事務所に二人きりになったとき。
美香が言った。
「太郎」
その声は穏やかだった。
「ちょっと話ある」
太郎の背中に冷たい汗が流れた。




