表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/106

98:もっとねちねちとした仕返しができたのに。

「辺境伯様。このグリューネス・フォクシミリアン、確かに見届けさせていただきました」

「今回の件、ありのままを陛下へお伝えください。理由はどうであれ、わたしは兄殺しの罪を甘んじて受けるつもりです」


 え……兄殺しの罪って……父上殿、そいつは甥殺しも弟殺しも平気な顔してやろうとした男だぞ?

 そんなの、死んで当然じゃないか!

 

「承知しました。全て包み隠さず、陛下へお伝えいたします」


 ちょっとちょっと、グリューネス卿まで何を!


「心配いりません、ディルムット様。グリューネス卿は全てと言いました。全てですよ。オズワルズが犯した罪、全てです」

「で、でも……親族殺しは重罪に」

「侯爵家から盗まれたネックレスをディルムット様のお部屋に隠し、罪を着せたこと。子爵を追って、ゼナス領で襲い殺そうとしたこと。その際にディルムット様も同様に殺めようとしたこと。決闘といいながら騙し討ちを行ったこと。それらのことを考えればこそ、血縁者としての責任を果たした。そう、国王陛下はお考えになるでしょう」


 血縁者だからこそ、やらなければならない時がある。

 本当にそれで、父上殿が罪に問われないで済むのだろうか。


「ディルムット様!? おけ、お怪我はございませんかっ」

「エリン嬢!? いらっしゃったのですかっ」

「だって……だって……ディルムット様に、もしものことが、あった、ら……」


 あわわわわわ。な、泣き出してしまった。

 ど、どうすればいいんだ、こんな時は。

 えっと……ティファニーが夜中にひとりでトイレに行くのが怖いって泣いてきたときは、背中に手を回してポンポンしてやってたけど。

 トイレとは違うし。

 で、でも、落ち着かせるという意味なら同じでいいんだよな?


 えぇっと、ポンポンっと。

 ポンポンしてあげたら、今度は抱き着かれてしまった。


 これは……浮気ではない! 断じてない!

 ま、まだ九歳の女の子なんだ。きっと怖かったのだろう。

 いや怖い目には合ってないと思うけど。


 ん? エーリヒ様がこっちを見ている。彼も来ていたのか。

 なんでニコニコ顔なんだ?

 あ。


 エヴァンゼリン嬢のお兄様!

 お、お兄様が婿候補の俺を見て笑っている。妹のエヴァンゼリン嬢ではなく、従妹とはいえ他の女の子を泣かせている俺を見ている!?

 ガクガクブルブルガクガクブルブル。


「いや、あの、エーリヒ様、これはその」

「心配はいらないよ。わたしの方からもちゃんと、お伝えしておくから」


 エーリヒ様から伝える!? なな、何を伝えるんですか!?

 俺が他の子を抱いていたって、そんなことをエヴァンゼリン嬢に伝えるつもりですか!?

 あ、抱くっていうのは誤解を招くな。

 いやそうじゃなくって!


「子爵の証言があれば、特に問題もなく片付くのだろうけど……彼の傷の具合はどうだろうか?」

「あ……伝えるっていうのは、向こうの件なのですね」

「ん? 何の件だと思ったんだい?」

「いえ、なんでも。子爵はどうかなぁ~」


 すっとぼけてみた。

 だが子爵の容態は気になる。こんな所で死んだんじゃ、グスタフがかわいそうだ。

 せっかく父親が心を入れ替えてくれたんだ。きっとこれからいい親子関係を築けるだろう。

 今世の俺ほどでなくても、これから幸せが待っているんだ。それをオズワルズ程度の人間に、奪われるのはあんまりだ。


 ただ、俺やエーリヒ様の心配は無用だった。


「カティア様の神聖魔法は素晴らしいとは聞いておりましたが、これほどまでとは」

「パパ! パパよかった。よがっだよぉぉぉ。ガディアじゃま、ありがどうございまずぅ」


 母上の治癒魔法は素晴らしかった。

 元々才能があって司祭の資格も有していた母上だが、辺境に来てその力はますます磨きがかかっていた。

 まぁ、開拓作業では怪我人が出るのはつきもの。その度に母上が治癒をしていたからな。

 怪我の治療だけじゃなく、病気の治療もやっていたし。

 もちろん、我が家には医者もいるし、薬師もいる。

 それでも、母上の出番は多かった。


「子爵様。怪我は治癒できましたが、出血が多いのでしばらくゼナスで休まれた方がよいですよ」

「そうです。怪我をした冒険者や従者の方も、休ませないと」

「それは……かたじけない。そうさせていただきます」


 ということで、子爵一行はゼナスへと引き返すことになった。

 そして。


「ディルムット、頼めるかい?」

「はい。でもいいんですか? こいつもここに埋めてしまって」

「ゼナスに墓を立てるというのは反対だけれど、そうも言っていられないだろう?」


 こいつ、とはオズワルズだ。

 死んでも厄介者になるとはな。


 野ざらしにしておけば、モンスターが寄ってきてしまう。だからって墓も立てたくない。

 傭兵どもと一緒に埋めるしかないか。

 あぁ、嫌だなぁ。こいつがゼナスの地で眠るなんて。

 どうせならランドファスに引き取って欲しいところだが……そうだ!


「エリン嬢、ちょっと失礼しますね」

「は、はいっ。す、すみましぇん」


 顔を真っ赤にして、でもようやく落ち着いたエリン嬢をそっと放し、オズワルズの元へ行く。

 

 「錬金!」


 遺体の側で両手を付き、土を奴に纏わりつかせ、そして。


「土の棺の完成です。土で押し固めたので、これならそのまま地面に埋めればいいでしょう。中身を見たいのなら、土を崩せばいいですし」


 水にでも浸しておけば、少しずつ崩れるだろうしな。


「ディルムット、どうするつもりなんだい?」

「どうするって。返すんですよ、伯爵家に」


 罪に罪を重ね、他家の貴族を暗殺までしようとした男。

 オズワルズが死んだとて、きっかけを作ったのは息子のランドファスだ。

 爵位ははく奪されるだろうな。


「フィッチャーのところの商隊に、これの輸送を頼みましょう。報酬を弾んで、ね」


 長年続いたオズワルズ家とのことも、ようやく片付いたか。

 他人の命を狙おうとまでしなければ、もっとねちねちとした仕返しができたのに。


 他の傭兵たちの遺体は、深く深く穴を掘って埋めた。

 子爵の馬車は燃えていない部分の木材だけ利用して、即興でふたり乗りサイズの小さな馬車に錬金。

 生き残った傭兵たちをどうするか。

 グリューネス隊長と話し合って決めないとな。

 まぁ、強制労働といったところかなぁ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ