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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
3章

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89/106

89:なんかいっつも驚かれてばっかりだな。

 エーリヒ様たちがやって来たその夜。エーリヒ様による父上殿の出世が知らされ、夕食の席が賑やかになった。

 料理長なんかは、もう少し早くに聞かせて欲しかったと言ってたな。

 そもそもエーリヒ様たちが同行していたことも突然だったし、ご馳走もあまり用意できず不本意だったようで。

 しかも父上殿の出世もあって、余計にその気持ちが強かったらしい。

 だから明日、うちの騎士団にフラワースコーピオンの狩りを命じていた。

 そう、命じていた。


 うん。俺も食べたいから料理長を応援しておいた。

 夕食後、しばらく父上殿やエーリヒ様と話をした後部屋へ戻る途中で、ティファニーとエリン嬢を見かけた。

 二人とも、少し髪が濡れている。昼間にもお風呂に行っているはずだけど、また入ったのか。


「ティファ。夜は冷えるから、早めに髪を乾かすんだぞ。エリン嬢もお気を付けくださいね。ここは昼夜の寒暖差が激しい土地ですので、濡れたまま放っておくとすぐに風邪を引きますので」

「ひゃいっ。あ、あの、は、はい」


 あ、はは。なんかいっつも驚かれてばっかりだな。

 ん? エリン嬢の首元……あ、あれは……白髪!?

 え、結構ごっそりというか、小指の半分ぐらいの束の量で白髪が生えてる!?


 ま、まだ九歳だってのに、ストレスだろうか?

 俺も子供の頃、親の虐待が原因のストレスで、白髪があった。

 さすがにエリン嬢は俺とは違うだろうけど、上級貴族もいろいろとストレス抱えやすいんだろうなぁ。


「は、はわっ。わた、私、どこか変、ですか?」

「え、いや、その……」


 白髪の件を教えてあげるべきか? いや、言わない方がいいよな?

 でも言わなかったことで、他の誰かに笑われたりしたらそれこそ大変だし。


「ひっ。ちょ、ちょっと兄さま! レディーをじろじろ見るなんて、失礼でしょう! エリンちゃん、行こうっ。今すぐ行こう!」

「あ、おいティファッ」

「兄さま。エリンちゃんが可愛いからって、そんなに食い入るように見つめるのはイケナイと思うの!」


 え、えぇぇぇ。

 い、いや、確かにまぁエリン嬢はかわいらしい子だと思うよ。ティファに引けを取らないかもね。

 でも、まだ九歳の子供じゃないかぁ。

 ちょっと見てただけで、イケナイことなんて言われるのは心外だなぁ。


 ってか白髪の件!

 あぁ、ティファがエリン嬢の背中を押して、走っていってしまった。

 白髪……気づくといいんだけどなぁ。

 気付いたところで、髪を染められるわけでもないし。


 この世界にも髪染めの習慣はあるけど、さすがに持ち歩いたりは……する、のかな?





 ◇◆


「うわぁ、エリンちゃん髪の毛の色っ」

「え? 髪……ふあぁ!? い、色が抜けてるっ」

「兄さま、きっと髪の毛見てたんだよ」

「ど、どうしましょう。バレてしまわれたのかしら……はうぅん。ど、どど、どうしましょう。は、恥ずかしいっ」


 それはきっと大丈夫。兄さま、鈍感だもの。

 気付いてたらさっきみたいな反応してないもん。


「また黒く染められるの?」

「あ、はい。それは大丈夫です。念のため、染料を持ってきたので。あとでメリンダに染めてもらいます」

「よかったぁ。んもうっ、兄さまったらいくら鈍感だからって、気づかないなんて酷いわ」


 そりゃあ、初めて会った時に比べてエヴァちゃんは凄く痩せたけどさぁ。


「い、一度しかお会いしていませんし……」

「でもエヴァちゃんは兄さまのこと、覚えてたじゃない! うふふ、でもそれって恋だからかなぁ」

「ひやぁぁ。ティファちゃん、恥ずかしいからやめてぇ」

「うふふふぅ。エヴァちゃん可愛いぃ~」


 約五年前の、侯爵家で開かれたお茶会。

 あの時に初めて兄さまに出会ったエヴァちゃんは、兄さまに一目惚れをした。

 しかも。


「隣にいた私を見て、兄さまの好みの子と間違えたなんてぇ」

「やめて。恥ずかしいからやめてぇ。ティファちゃんの意地悪ぅ」

「だって可愛いんだもぉん」


 あの時のエヴァちゃんは、うん……凄くぽっちゃりしてた。

 でも優しい子だってのはわかったの。だってこけた私に、手を差し伸べてくれたのエヴァちゃんだけだもん。他の子たちは陰で笑ってただけ。

 それに、私にはわかるの。

 優しい人と、そうじゃない人が。

 お母さまもそうだって言うから、きっと私はお母さまに似たのね。


 あと、人のオーラっていうの?

 そういうのも見えちゃうんだよね。だからエリンちゃんを見たとき、すぐエヴァちゃんだってわかったの。


 私が兄さまの好みの子だと勘違いして、エヴァちゃんはダイエットを決意。

 五年近くがんばって、こんなに痩せるなんて凄い!


「でもエヴァちゃん、どうして髪を染めたり別の子のフリをするの?」

「だ、だって私。ま、まだダイエット、成功……できていないんですもの」

「えぇぇ!? 十分細くなってるよぉ。ほらっ」


 自分の腕を出して、エヴァちゃんと比べる。


 ……あ。


「やっぱり太いわ。私、絶対太いものぉ」

「そ、そんなことない。うん。大丈夫だってエヴァちゃん」


 私の方が、細、かった。

 で、でもお茶会の時と比べれば、もうほんと別人みたいに細くなってるよ!

 それでもエヴァちゃんはもっと頑張るんだって。


 なんでも昼間に、キャロさんとリディアちゃんを見たらしく、二人みたいに細くならなきゃいけないって。

 エルフは細いのが当たり前なんだから、リディアちゃんとは比べちゃダメだよぉ。

 私だってリディアちゃんより太いんだもん。

 キャロさんも同じで、キャット・ルー族の女は細い人が多いって。

 痩せてないと、動きにムラができてモンスターに食べられちゃうから……と。

 

 んー。あとで兄さまの好みを聞いておこうかな。

 兄さまはエヴァちゃんの婚約者候補だけど、できればエヴァちゃんが私の妹かお姉さんになってくれると嬉しいな。

 そのためにも、まだ形式上だ~とか言ってる兄さまを、その気にさせなきゃ!


「お嬢様、ただいま戻りました」

「あ、メリンダ。大変なの、黒色が落ちちゃって」

「まぁ。ではすぐにお色を入れましょうね。あ、ティファニーお嬢様、いらしていたのですね」

「うん。こんばんはメリンダさん。でも私、そろそろお部屋に戻るね。明日、町の案内してあげる」

「はいっ。楽しみにしています」


 ふふ。兄さまも連れて行こうっと。

 さて。兄さまの部屋に行こうかな。

 

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