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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
3章

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69:お孫様ぁー!?

「はい、完璧です坊ちゃま。二年の間に都会の流行がどう変わったのかわからず、昨日と今朝とでいろいろ調査してまいりました。まぁ令嬢と違い、令息方の流行はあまり変わってないようです」

「あはは。まぁそうだろうね。ありがとう、マーガレット」

「ふふ。坊ちゃまは元がとてもよろしいので、どんな装いでもお似合いですよ」


 元、かぁ。そりゃまあ、美男美女の間に生まれてきてるんだし。そこはもう、両親のおかげってことで。


 今日は昼食会が、お城の庭園で行われる。立食形式なんだとか。

 そして明日は夕方からお披露目会。こちらも立食形式だ。

 明日のお披露目会は十歳になる令息令嬢とその保護者しか参加できないが、今日の昼食会は別。ただし、十歳以上の令息令嬢、その片親に限り参加可能だ。

 要は、将来の伴侶探しも兼ねた食事会ってわけだ。


「それだと、年上のご令嬢方は来ないんじゃないの?」

「そんなことあらしまへん。集まるのは結婚相手がまだ決まっていない令息たちでっせ。その令息たち目当ての令嬢方もおりますさかい」


 あ、なるほど。

 って、まんま婚活パーティーじゃん。あんまり行きたくはないけど、公爵様が後見人だからそうもいかない。

 まぁ、下級貴族の男爵家に狙いを定める令嬢はいないだろう。

 上級貴族なら同等の家門を求めるはずし、下級貴族ならより条件のいい家門を探すだろう。

 しかもうちは辺境の領主だ。誰も嫁ぎたいとは思わないさ。





 

 そしていざ、昼食会が始まってみると、俺は予想外にモテていた。

 令息たちに。


「ディルムットくん。君のところの特産品のランタンが欲しいんだ。なかなか手に入らなくて」

「ボクはグラファノコギリクワガタのランタン!」

「オーダーはしてくれないの?」

「ヘラクレルオオカブトはもう作らないのか?」


 うん。モテモテだ。主に昆虫ランタンが。

 受注生産かぁ。それもいいなとは思うけど、運ぶのが大変だからなぁ。

 なんせ貴族の大半は、自分の領地で暮らしている。領地を持たない貴族も、大きな領地を持つ貴族に仕え、その経営を手伝っているからね。

 そういう家門に荷物を届けるとなると、国内をあちこち運搬してまわることになる。

 今はフィッチャーが王都に構えた店で販売しているだけ。確かにこれでは、一部の客しか購入できないなぁ。


 従者は会場脇に控えている。フィッチャーとロバート卿もそこにいて、常に俺を見てくれているロバート卿に、ジェスチャーを送ってフィッチャーを呼んでもらった。

 すぐにフィッチャーがやってくる。


「どないしましたか?」

「ランタンをオーダー式にした場合さ、各領地で暮らす家門に荷物を届けるにはどうしたらいいかなと思って。コストもそうなんだけど、竹細工のためだけに国内のいたるところに届けるのって、重労働になるだろうし」

「そうですねぇ。運搬用の人手を新たに増やして、各方面に届けられるようにするか……」

「もしくは、わたくしどもの荷と、一緒に運ぶか」


 ん?

 突然声を掛けてきたのは、恰幅のいい初老の男性だ。

 貴族、には見えないけど、この糸目は……。


「おと、いえ、父上」


 あぁ、やっぱりフィッチャーのお父さんだったのか。

 ってことは、王室御用達の大商人だな。


「初めましてですね、フィレリクス殿」

「はい。お初にお目にかかります、ディルムット様。息子がご厄介になっておりますのに、ご挨拶もせんと、申し訳ございません」

「いえ、いいんですよ。フィッチャーが来てくれて、ボクたちは凄く助かっていますから。それで、先ほどのお話ですが。フィレリクス商会の荷物と一緒に、運んでくれるということですか?」

「えぇ。国内の各領地へは、注文のあった品を毎月運んでおります。これまで通り、王都に荷物を届けてくれさえすれば、目的の領地までお運びいたしますので」


 更に、各領地にはフィレリクス商会の店舗がある。荷物はそこで預かる形にし、注文のあった家門に俺から手紙を送り、それを持って店に訪れれば――。


「なるほど。なら手紙に引換券を同封するのがよさそうですね」

「引換券ですか。なかなか良い案ですね。それであれば、こちらも手紙の内容を目にする必要もなくなりますし」

「それで、運搬費用ですが。フィッチャー」

「はい、お任せください。親だからと言って、妥協はしまへん」

「ふん。望むところじゃ」


 うん。ここは親子バトルに任せるとして。

 目を輝かせている令息たちに、王都へ滞在している間に欲しい絵柄を手紙に書いて寄越すように伝えた。

 あと、ひとり五個まで……とも。

 不満を口にする令息もいたけど、こちらはひとつひとつ、職人(村の子供たち)が丁寧に手作業で絵を描くから、一日に作れる数はそう多くはない。

 しかも失敗することもあるし、畑仕事の合間の作業だから余計に進まない。

 少しでも多くの客に届けるためには、数を限定するしかないんだ。


「ただし。状況を見てですが、半年後にはまたオーダーを受けられると思います。その時にはまた好みが変わると思いますし、改めて、その時欲しいものをご注文ください」


 そう話すと、令息たちから不満の声は消えた。

 それから彼らは満足げに散らばっていく。

 ふぅ。モテ期終了っと。


「ははは。まさか昼食会で商売を始めるとはね」


 爽やかな笑顔で登場したのは、フィリクス小侯爵様だ。

 今世の俺より四つ年上で、今年は十四歳か。いやぁ、立派になられたものだ。


「久しぶりだな、ディルムット」

「はい、お久しぶりです。フィリクス小侯爵様」


 フィリクス小侯爵様が現れたことで、周囲の令嬢たちから溜息にも似た声が上がった。

 イケメンだからな、この方は。

 それに、今回はフィリクス様だけに注目が集まったのではない。


 彼の隣には、これまた超イケメン男子がいた。

 金髪碧眼のフィリクス様。

 その隣に立つのは銀髪・翠目のイケメン。


「あぁ、紹介するよディルムット。こちらは――」

「初めまして、ディルムット。わたしはエーリヒ。エーリヒ・ハルテリウスだ」

「ハルテリウス……公爵閣下の!?」

「うん。孫、だ」


 お孫様ぁー!?


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