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毒親育ちの俺、異世界で優しい家族を得る~不運な男爵家ですが、錬金魔法で辺境領地を発展させます~  作者: 夢・風魔
3章

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123/124

123:さすが冒険者だ!

 町から届いた荷車には、定番野菜がゴロッと積み込まれていた。

 あと、フィッチャーからのメモに「料理できますやろ?」と一言。


 できるさ。できるとも!

 錬金術でポーションを製薬する場合、洗浄だの乾燥だの炒る、煮込むという作業がある。

 俺の錬金魔法は、それらの工程を秒でできるのが特徴だ。


 炒る=炒める。そして煮込むことができるなら、料理にだって利用できるってこと!


 野菜と一緒に運ばれてきた寸胴鍋に、これまた一緒に運ばれてきた樽の中の水を入れ、そこに野菜を投入。

 もちろん、予め錬金魔法で皮は剥いてある。

 タマネギ、ニンジン、ジャガイモだ。


「肉が欲しいな」


 そう思って、冒険者が狩るモンスターに目を付けたが、ダンジョンから出てきたモンスターは、倒すと消えてしまう。

 たまに消えずに残っていたのは、山に生息するモンスターたちだった。


「この角ウサギ、貰っていいですか!?」

「好きにしてくれ。今はそれどころじゃないし!」

「ありがとうございます! 頑張ってくださいっ」


 角ウサギを何匹か持ってきて、錬金する。

 欲しいのは身の部分だけなので、残りは捨てる。

 その肉も寸胴鍋にぶち込み、送られてきた岩塩、コショウ、なんかのハーブも入れて錬金!


 煮込め~、煮込め~、ニコ煮込め~で完成!


「ふぅ。時短料理は楽でいいねぇ」


 調理時間数分。そのほとんどが材料を運んで来たり、寸胴に水を入れる作業だったけど。


「みなさ~ん。野菜スープできました~! 食事、まだな方を優先に、交代で食べにきてください~い」


 休憩小屋の前に石テーブルを錬金して、寸胴鍋を置いて待機。

 器を持っていない冒険者には、その場で錬金した木製皿を貸し出す。


「い、いつの間にスープなんか作ったのさ、坊主」

「さっきです。お皿を持っているなら出してください。持っていない方はこちらで用意がありますので」

「ほ、本当にスープだ。作り立てか?」

「そうですよ。さ、どうぞ。まぁ味の方は大したことないと思うので、そこは期待しないでください」


 味見してみたけど、可もなく不可もなくだった。


「ぷはぁ~。しみるなぁ。夜中からずっと討伐しっぱなしだったし、疲れた体にしみわたるぜ」

「角ウサギか。何匹か寄って来てたのは見たが、その肉か?」

「はい。転がっているのをいただきました」

「血抜きもしっかりされているし、臭みもない。さっき手に入れたにしては、しっかりしているじゃないか」

「錬金魔法でやったんで、臭みとりもやりました」


 せっかく食べるのに、臭いのは嫌だ。

 そんな冒険者の会話を聞いてか、続々と休憩スペースには人が集まって来た。

 ただ、休憩する人が増えすぎると、モンスターがすり抜けて逃げられてしまう。


「あの、どなたかここを代わってくれませんか?」

「いいわよ。私が交代してあげる。君も疲れたでしょ」

「ありがとうございます。では行ってきます」


 疲れたわけじゃないんだけどね。


「え、ちょっと君。どこに行くの!? そっちは危ないわよっ」


 モンスターが他所へ逃げられないようにする。

 そのためには。


「すみません、ブロックを置きます!」


 ダンジョンの入り口は、まるで地下鉄の入り口のようになっていた。違いは、入口に厳つい門があること。

 それをぐるっと囲むように、巨大なブロックを錬金して置いていく。

 大きさは1.5×1.5×1.5ぐらいでいいか。それを横に二つ並べたら、モンスターが通れる程度の隙間を空けてまた二つ並べる。


「前衛のみなさん! ブロックを壁にして使ってください」

「こ、こんな岩、どこから!?」

「崖に坂道を錬金した時に持ってきたんです」

「いや、そういうことじゃなくって……えぇぇぇ……」


 ブロックでぐるっと一周したら、今度は前後にもブロックを追加。さらに高さも少し上げる。

 遠距離職の人が上から攻撃できるようにだ。

 階段も錬金してっと。


「よし。これで囲まれることなく、戦えるだろう。うん」

「「えええぇぇぇぇ」」


 ん? えぇーって、どういうこと?

 あ、モンスターが!


「錬金!」


 地面に手を突き、魔法陣が展開される。

 狙いを定めて、土を錬成!


 ズガンッと地面からせり出した、錐状の土。

 モンスターが串刺しになり、体が浮き上がった。


「冒険者のみなさん、今のうちに止めを! あ、向こうからもっ」

「「ええぇぇぇぇぇぇ……」」

「錬金! 止めをお願いしますっ」

「「えええぇぇぇぇぇぇ」」

「いや、もう死んでるし」


 さすが冒険者だ!






 夕方にはゼナスから騎士団と砂漠の民の応援が駆けつけた。

 その後は生成直後に逃げたモンスターを探すため、冒険者が山に入り騎士団と砂漠の民でダンジョンから出てくるモンスターを討伐。

 

「ディルムット。お前は山を下りなさい。入口を閉じるための扉を錬金するのだろう?」

「はい。鉄の件は子爵に依頼しています。明日には取りに行こうかと」

「だったらなおのこと、山を下りて町で休みなさい」

「そうよ、ディル。モンスターの数も減って来たし、さっきAランクの冒険者が言っていたけど、そろそろ終わるだろうって」


 父上殿と母上がそう言うので、町へ戻る冒険者と一緒に行くことにした。

 現状の報告も必要だしね。


 騎士団も来たし、砂漠の民の応援の中にはエルフもいる。

 父上殿も母上も、休む時間が取れるだろう。

 戻る前に、温かいスープを錬金しておいた。

 その様子を見ていた冒険者が、全員首を傾げていたのには笑った。


 町へ到着してから、子爵の屋敷に転移する。

 素材の一時保管もできるようになったから、一回で鉄や鉄鉱石を運べるだろう。

 明日は朝から山へ行って、ダンジョンの入り口を囲ってしまおう。


「グランシュ子爵、ありがとうございます」

「いえ。この程度のことでしかお役に立てず、むしろ申し訳ないぐらいです」

「そんなことありませんっ。他所から仕入れなきゃならなかった場合、扉を錬金するのはもっと先になっていたでしょうし。採掘も順調なようでよかったです」

「地底湖側の坑道は封鎖しました。少し調べてもらいましたが、鉱石はあまりないようだということで」


 そうだったのか。俺は水が噴き出すのを警戒して封鎖を決めたけど、結果的に正解だったようだ。

 宿場町に戻ったら、夜はゆっくり休んで魔力を回復。

 翌朝、すぐに山へと向かい、ダンジョンの入り口を囲う作業を行った。


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