終幕 王太子
3/16 四話目※前話と同時投稿になります
「まぁ! 凄くかっこいいわ。試着の時も見ていたけれど、今日のティモはより一層素敵ね」
私、ティモ・リードレの前には真っ白な花嫁衣裳を身に纏った私のミリー……ミリセント・アグエッドスの姿がある。
ミリーは嬉しそうに微笑んでいて、その様子が愛らしくて私も自然と笑みが深まる。
今日は、私とミリーの結婚式。
幼いころからの婚約者であるミリーをようやく奥さんに出来ることに胸が熱くなる。
私にとってミリーは、昔から特別な女の子だった。明るくて真っすぐで、優しい女の子。でも優しいだけじゃなくて、王族の婚約者としての強かな部分も持ち合わせていて、魅力的だ。
ミリーの赤い瞳も、その美しい髪も、全て好きだ。意思の強い瞳に見つめられると、愛おしいなという気持ちでいっぱいになる。
「ミリーも可愛いよ。よく似合ってる。こんなに可愛い奥さんをもらえることが嬉しいよ」
「ありがとう。……って、抱きしめようとしたら駄目よ? ドレスがしわくちゃになるじゃない」
「分かっているよ。自重してる」
「ティモって、本当に私のことが大好きよね? ふふっ、こんなに余裕のない姿を見せるのは私の前だけだものね」
ミリーが嬉しそうに笑った。可愛い。ミリーを見ていると可愛いって言葉しか出てこない。
少し挑戦的な表情で、私が感情的になるのが嬉しい様子のミリー。私にとってミリーが特別であることが嬉しく感じているんだろうなというのが分かる。
ミリーはとっても素直だ。交換日記をずっと交わしていて、ミリーのことが好きだって気持ちを私も隠すことなく伝えてきた。ミリーも同じように私に対しての愛情を隠さない。
そういうところも、ミリーの可愛い部分。ミリーの良いところ、私は幾らでも言えると思う。どこを可愛いと思っているかも、そう。
「うん。そうだよ」
「ふふふっ、そうよね!」
ミリーが笑っている。それだけでなんて幸せなんだろうと、そんな気持ちになる。
ミリーは前世の記憶とか、乙女ゲームに纏わることとかでずっと悩んでいた。ミリーが悪役令嬢なんて冗談じゃない。こんなに可愛いのに。
私がミリーを手放すわけがない。
その乙女ゲームの中の私は、ミリーを選ばなかったらしい。信じられない話だ。
でも前世の記憶やその影響を受けているからこそ私のミリーなんだろうなと思うから、そのあたりの関係もあるのかもしれない。
警戒していたはずなのに魔法の影響を受けたりもしてしまったけれど、そういうことがあってもミリーは私を諦めないでくれた。
ミリーは私のことを信じてくれていて、何があってもこの手を放さないでくれる。
そんな素晴らしい伴侶を迎えられることが、ただただ幸福だと思う。
「ねぇ、ティモ。私ね、交換日記をはじめて良かったと思っているわ。ティモとのやり取り、見返すのも好きなの。急に交換日記をはじめたいなんて言って、様子がおかしくなった私のこともティモは受け入れてくれた。ティモがずっと寄り添ってくれたから、今の私が居るの」
優しい表情で、ミリーは告げる。
ミリーは私のおかげだなんていうけれど、ミリー自身が頑張ってきたからこそだとは思う。
ミリーは頑張り屋さんで、いつだって最善を考えて動いていた。
そもそも私だって、ミリーが諦めないでいてくれたから此処にいるんだ。
「私のことを大切にしてくれて、愛してくれてありがとう。ティモの奥さんになれるの、本当に嬉しいの。まだ結婚式の前だけど、改めて伝えさせてね? 私ね、これから何があったとしてもずっとティモの味方で居るから。これからどんな困難を迎えたとしても、私はずっとあなたと一緒なの。寧ろ嫌がられても離さないから、覚悟してね?」
「ははっ、ミリーらしいね?」
「私の全てをもらってくれて、ティモも私に全部くれるんでしょ? そう言ったのだから、約束は守ってもらうから」
ミリーは愛情深い。多分、人によっては少し重いなと感じるような愛情を抱いていたりもする。私はそういう愛情が心地よいというか、ただただ嬉しい。
「もちろん。私だって、何があってもミリーの味方だよ。愛しているよ、ミリー」
「ええ。私も、愛しているわ。ティモ」
互いにそう言って微笑みあう。
その笑みを見ていると、やっぱりすぐに口づけしたくはなる。結婚式が終わるまでの我慢だし、まだおさえているけれど。
これから先も、私はミリーと一緒に居る。
可愛い、私の婚約者。そして今日、奥さんになる女の子。
私はこれから先も、彼女と一緒に居られることが幸せだ。
こちらで完結になります。
想定よりも時間がかかってしまいましたが、最後まで一先ず書き切ることが出来てほっとしております。
婚約者同士の交換日記という形の本作、いかがでしたでしょうか。交換日記なのであくまで情報は最低限ですが、二人のやりとりを楽しんでいただけていれば嬉しいです。
ミリーとティモの二人はお気に入りなので、気に入っていただけたらなと思います。
ではここまでお読みいただきありがとうございました。感想などいただけると嬉しいです。
2026年 3月16日 池中織奈




