18.超巨大駆逐型宇宙戦艦ガーンデーヴァ
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宇宙戦艦ガーンデーヴァ。
正式名称は超巨大駆逐型宇宙戦艦ガーンデーヴァと言う。
その名の通り、全長1200mに及ぶ図体をしていながら内部には30基以上の核融合炉を搭載している、超大型の宇宙戦艦。
こいつもアーティファクトと呼ばれた存在の1つで、製造過程など詳しい情報は未だに解明されていない。
誰が何の為につくったのか…それはこの船を造った本人しか解らない事だ。
経緯は不明だが、ガーンデーヴァは俺の以前所属していた組織、”アストラル”の手によって基地の奥深くへ格納されていた。
アリス曰く、詳細については彼女の父が知っていたらしいが―――俺がやって来たと同時に全ての情報を消去したらしい。
その結果――こいつに振り回された俺は人間を止めた。
いや、そうする他…生きる選択肢はなかったのかもしれない。
今となっては後悔どころか、あの時の自分をほめてやりたい位だ。
なんせ―――
「半分―――人間のまま? って事はうちら、まだ人間なんですか!?」
「の様なもの? 元々その義眼は船に眠ってた代物でな? なんでも両目を移植すると――」
『人間の感じる欲望―――所謂三大欲求なるものですね? それを失い、効率的な運動―――及び脳の活性化――休息を必要としない身体になります。 ですが―――』
――感情を失うも同然――だと無理やり止められた俺は、義眼をアルジュナに奪われた。
今思えば、本当に道を外しかけた。
というか、選択を間違えそうになったのはあの瞬間だったんだろう。
「そ、そうやったんですか…」
『はい。 私達であれば割り切る事が可能なのです。 何故なら―――元々存在していないものですから。 ですが、元々あるものを失う。 それはあまりに残酷な事です。 欲望そのものを失う――それはもはや無と言っても過言ではない』
「だからこそ、俺を止めたんだろ? お前等は?」
『はい。 私達はただの機械ではありません。 感じる心が存在しています』
にしては世話焼きな連中な事だ。
と、それは置いておいてと―――
「で、説明の続きだな? 俺達が通ってるこの道は所謂俺達人間サイズ専用の通路だ」
「人間サイズ?」
「そう。 不自然に扉が何個もあるだろ? 左右に」
俺は通路の両脇に並ぶいくつもの扉を指さした。
「た、確かに」
「俺達が通ってるのはこの船の丁度中央だ。 まぁ見て貰った方が早いだろうな」
目に映った扉のパスコードを入力した俺は赤色に染まる『J』の文字が刻まれた扉を開放した。
カシュン―――
「へっ?」
目の前の景色に大口を開けるサラ。
無理も無いか。 どうみても機械的な通路を通って来たかと思えば、開いた扉の先には広大な大自然が広がっているのだから。
「紹介しよう。 ダイノ隊の隊長。 ダイノ・レックスだ」
『おぉ? 艦長じゃねぇ~か! 本物を目にするのは久しぶりだな~』
ドシンドシン!
と音をたてながら現れた真っ赤なカラーリングのティラノサウルスが、俺を見つけるや否や、ノソノソとやって来た。
「あ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁ! 食べられるぅぅぅぅ!!」
レックスの大きな顎を目の前にしたサラは顔面蒼白の状態で俺の後ろへ隠れる。
ん? あ…そうか。 恐竜しらないんだったな?
『お~そいつが艦長の招き入れた新たな乗組員か~? って、なんで俺は怖がられてんだよ…見た目か!? このティラノサウルスの見た目が駄目なのか!? 困ったなぁ~デカさはどうしようもねぇし…見た目もな~』
そりゃ13mある巨体な恐竜が目の前に出てきたらビックリするわな。
小さくなれ! なんて言ってもなれる訳がないし、ここはサラに慣れてもらう他ない。
「まぁ。 今、こいつに艦内を案内しているところだったんだよ。 お前等の格納庫を見せて、びっくりさせたやろうと思ったんだが…まぁ。 恐竜自体を知らなかったっぽい…」
『なんだそりゃ!? あ、そうか…ここ異世界なんだっけか? そりゃ知らなくて当然か…というか艦長よぉ!? 何時になったら俺らも地上に降りられるんだ? 早く本物の自然を拝みたいぜ~こんなパチモンじゃなくてよぉ~』
そう。 此処に広がる広大な自然は人工的に再現した偽物でしかない。
なんというか、雰囲気だけの代物。
「そこは安心しろ。 もうあと少しで降りられるさ。 お前等に大気圏突入機能があればぁ~」
『いや、どう考えても無理だろ? 見た目恐竜だぜ!? 変形したらもっとヤバい!』
等とドヤ顔で告げるレックス。
「へ、変形!?」
「あ、そうか。 なんていうか、こいつらはこんな姿をしているが実はロボットなんだよな。 ちゃんと二足歩行型のロボになるぞ? まぁ、残念ながら―――」
『定期メンテ中で変形できないんだけどな? すまねぇなぁ~。 あ~っと』
「サ、サラです!! よ、よ、よろしくお願い致します!」
『おうよぉ! サラ! これから仲良くしようぜ! 地上に降りたら、他の連中も紹介してやるよ! という事で、あばよ~』
「まぁ、ゆっくりしといてくれ」
2人でレックスに手を振った後、俺達は再び通路を進み始める。
「す、すごい…まだまだ知らない事が沢山!」
「そりゃなぁ? この船にはもっと色んな奴がいるぜ? あんなのとか―――」
丁度目の前を通り掛かった奴を指差す。
『ふぇ? なんだ~艦長じゃ~ん! お・ひ・さ! 後、サラちゃんは初めましてだね! どうも! 私は歌って踊って戦える最強アンドロイドのアーミーちゃんデス!! キラ☆!』
ピンク色のドレスに見立てたパーツを装着している、桃色ツインテールのアンドロイド。
輝く青いツインアイが特徴で、胸には赤いリボン風のパーツを装備している。
彼女は”撲殺アイドル・デスマーチ隊”の隊長を務めている実力者なのだが…。
『やっぱり艦長。 おっぱいミサイル…採用してもよくない?』
サラの胸を凝視しながら俺にそう告げるアーミー。
いや、だから―――
「胸に爆弾を抱えたまま被弾したらどうするんだよ!? おまえなぁ、常に危険と隣り合わせで真面に戦えんのか!?」
『いやさぁ? 私達一応アイドルな訳じゃん? それが全員胸無しってのもどうなのよ? やっぱりさ? 巨乳のメンバーも1人は必要だと思うのよね。 そう…7人居る内の1人が爆弾を背負うのよ!! よし、早速作戦会議ぃぃぃぃ!! じゃあね~!!』
勝手に話して、勝手に格納庫へ戻っていったアーミーは物凄いスピードで目の前から姿を消した。
それも―――
キュィィィィン!!
ローラーダッシュしながら。
「へ!? な、な、な、なんですかあれ!?」
「足裏に車輪が内蔵されてるんだよ。 それで、あんだけ早く動ける」
「しゃ、車輪!?」
い、一体どれだけ居るんですか!?と詰め寄るサラを尻目に俺はため息を付いた。
全部相手にしてたらキリがねぇ…ここはちゃっちゃと済ませようと。




