19.艦内ライブは狂気
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結局殆どの連中に絡まれることなった俺はほぼ全員を紹介する事になり、ブリッジで1人…椅子へ腰かけていた。
サラはどうしたのかというと、彼女は今頃1人で艦内を歩き回っている頃だろう。
格納ゲート開閉用のパスコードデータもあいつにくれてやった事だし。
「俺はここで、のんびりしとくか…」
『各員へ通達。 現在ゴッド組は次元格納庫にて、敵戦艦の解体作業中です。 御用の方は、専用回線での通信をお願い致します』
アルジュナの音声で艦内アナウンスが響き渡る。
もう片方のアルジュナと言うべきか、戦艦全体の管理をしているアルジュナと俺をサポートするアルジュナは同一の存在。
しかし、意識は別にある。
ピンポンパーン!
軽快な音が聞こえたかと思えば、久々の艦内アナウンスに思わず笑みを零す。
『やっほ~! 撲殺アイドル・デスマーチ隊の隊長! アーミーちゃんだよ~♪ 現在、B1ステージライブ場にて。 私達、デスマーチ隊の定期ライブを開催しておりま~す♪ 手が空いてる奴ら~ライブに来ちゃいなよ!! 特に! ブリッジでのんびりしてる艦長とか艦長とか! ではでは! 以上!』
「………」
名指しと来たか。
流石はアーミーだ。 俺の行動は予想済みという訳か。
「動かざること山の如し…」
ピピピッ。
そう告げた俺の目の前には信じられない映像が映し出された。
『現在のライブ映像を中継致します』
ピンポイントで映し出されたそれは―――上下に激しく胸を揺らしながら、真っ赤な顔のサラが…
「ふぉぉぉぉ!!! デスマーチ最高ぉぉぉ!! いえぇーーい!!」
周りの連中と一緒になって我を忘れているご様子だった。
アーミー他、メンバーのサインが入った7色のペンライトを全力で振るうサラ。
「言わんこっちゃない」
映像を前に頭を抱えた俺は渋々、地下のステージライブ場へと向かった。
地下ステージライブ場とは。
もともと補助戦艦を収納する為にあった場所を取り壊し、こいつらの為だけに設けた場所である。
空間圧縮装置のお陰で、広さは東京ドーム3個分に匹敵する大きさだ。
各所に大型モニターとスピーカーを設ける事で立体的なサウンドとホログラフによるライブステージの映像を360℃完璧に再現出来ている。
つまり、何処に居ても彼女達の姿を楽しめるわけだ。
が、奴らのライブには欠点が1つある。
『こ、これが恋///』
『す、すごい!! 感情が高ぶってきたぁぁぁぁ!』
『うぉぉぉぉ!! イルナ―ダちゃぁぁぁん! こっちみてぇぇぇ!』
『湧き上がれ! 俺の中の何かぁぁぁぁ!!』
と、この様に特殊な音波による魅了効果を受け…彼女達以外を目視出来なくなる。
おまけに種、性別問わず全ての者に対して絶大な効果を誇る為、全員がハイな状態と化すわけだ。
『おぉ。 今日のアーミーちゃんは何時もより上機嫌だ。 やはり、艦長が見ているお陰ですかね?』
とはいえ、隣のこいつみたいに例外も居る。
こいつの名はパトレイダー。
勇者ロボ隊の1人で警官の様なデザインが特徴の全長4m程に及ぶ二足歩行型ロボットである。
「何時も先頭で見ているお前がなんでこんな最後尾に居るんだ?」
『ここに居れば、艦長とお話出来るかと思いましてね?』
成程。 俺を待っていた訳か。
そうこうしている内に、また1人…ライブ会場へ現れた奴が―――
『よっこらせ。 お? 艦長! 久しぶりだな?』
真っ黒なボディと禍々しい見た目の派手めなデザインが特徴のこいつは。
デススティンガー、魔王ロボ隊の1人だ。
『デススティンガー。 珍しいですね? 貴方が1人で此処へやってくるとは』
『お? なんだパトレイダーか。 お前も俺と同じ口か?』
『えぇ。 久々に艦長とお話をと思いまして』
『けっ。 やっぱり考える事は一緒か。 だったら――3人でのんびり話し合いでもしながら、このやべぇライブでも見ておこうぜ?』
「だな――」
ディスプレイに表示した手遅れの状態のサラを尻目に、俺達は3人で駄弁る事にした。
2時間後――――
「はぁ、はぁ…はぁ…ラ、ライブ最高~…」
「…………」
流石はサラだ。 並の人生を送っていないだけはある。
3時間に及ぶ地獄のライブを堪能して、まだ立っている事が出来るとは―――
俺なんて初め――1時間でダウンしたのにな…。
「た、楽しかったか?」
「は、はい。 またライブ来たいです!! 次は次は!?」
「あ~1週間に2回だから…3日後?」
「3日後…ふふ、ふふふふふ!!」
どうやら完全に彼女らに毒されたようである。
不気味な笑みを零したサラが、今は恐ろしく感じる。
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「へ、へぇ~! じゃあ、色んな施設があるんですね~!」
「あぁ。 まだ会ってない連中も居るだろうが、いずれ会えるさ。 さてと、一応案内は以上だな。 次は地上に戻って――格納庫の設計か」
「いよいよですね!」
「―――だな」
となると大気圏突入―――
「あ~…サラは後でアグニと一緒に地上へ降りるか?」
俺の表情を見て色々と察したのか、二つ返事で答えたサラを置いて。
1人で宇宙空間へと出て行った。
「さ~て。 久々の大気圏突入な訳ですが? 小型機での実験ってまだしてないよな?」
『はい。 小型機でも突入は艦長が初になります。 おめでとうございます』
「何処もめでたくねぇよ!」
『ご不安でしたら、突入用バリュートの1つや2つ…拝借してくればよかったですね』
「まぁ、死にはしないだろうが。 家に落下するのだけは勘弁な?」
衝撃で家を破壊――なんて笑えない現象はごめんだ。
『どうされますか? 落下ポイントの指定は出来ますが、前例がありませんので。 後は――』
「俺のマニュアル操作頼みか」
『はい』
ん~だったら少し離れた場所を指定するか。
辺りは森だらけだしな? 火事なんて起こったらもっと大変だ。
「じゃ、いっちょ行ってみるか? ブースター起動」
『了解。 大気圏突入に備え、各電力を遮断。 各部動作チェック開始――突入までの時間、約15分―――カウント開始致します』
「頼んだ」
そして俺は家へ帰る為に、大気圏への突入を開始したのである。




