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ペットボトルで能力開放!? 【ソロキャンパーの異世界バックパッキング】  作者: 吉田C作
ソロキャンパー、大地に立つ(異世界の)
12/31

12、ソロキャンパー、謁見する。

12話目です。

明日以降は仕事の都合上2日に一回程度の更新です。

年度末よ!早く終わってくれ!

 



 ****




 僕たちは謁見の間で大公様と顔を突き合わせている。

 昨日抱いた疑念の通り、大公マモンは大きな熊の獣人だった。頬の部分が赤い。

 今はアイーシャと言葉を交わしている。

 ――これ、中に人が入ってるんじゃないの?

 等と考えていると、彼は突然こちらを向いた。そして感情の見えない眼でこちらを見据えると、こう言ったのだった。 



「中に誰もいませんよ」



「え、あ、……niceboat?」




 ****




 ……、………、ハッ!


「ハアッ、ハァッ、ゆ、夢か……誠(ry」




 ****




 そんな悪夢?から始まる一日は、夢とは相反するように順調だった。


 夜はタラちゃんが『タラスク』として本来の気配を出していてくれた事もあり、魔物が寄ってくる事も無かった。

『『美味い料理を堪能できたからの?お礼じゃお礼』』クフフと笑いながらそう言うタラちゃんに、昔飼ってた柴犬の姿が重なったのは内緒だ。


 それはさておき、道中でこれといった諍いも無く、公都に到着した僕達は今朝の夢と同じ様に謁見の間でマモン様が到着するのを待っている。


 公都フィーゴはオ・グーニに比べるとかなり大きく、それはやっぱり公都と呼ばれるだけの事はある街だった。

 東西南北にそれぞれ門があり、僕達は東門から入ったのだけれど、そこで衛兵さんに止められた。

 巫女の移動の旨を衛兵さんに伝えたらあっという間に大公様に話が言ったらしく、すぐに会う事になったというわけ。


「大公陛下がおいでになります。跪いて待つように」


 近衛だろうか、玉座の一段下にいる豪華な鎧を纏った騎士から声が掛かる。

 僕達は即座に跪いて頭を下げる。


 一人を除いて。


「そこの者!何故跪かぬ!?」


『『何故?逆に問うがの?何故わしが下々の王如きに、頭を下げねばならぬのじゃ?』』 


 ちょ、ちょっと?タラちゃん?


「き、貴様!陛下を愚弄するか!?」


『『ハッ!愚弄?愚弄と申したか?小童が。お主こそ、この『タラスク』を愚弄しておるように感じるがの?』』


「な、な、何だと!!貴様あっ!!」


 近衛であろう騎士が右手を腰の剣に手を伸ばしながら詰め寄る。

 てか、何やってくれてるのこの竜!?


「やめよ!」


 大きく威厳のある声が謁見の間に響き渡る。

 現れたのは恰幅の良い熊の獣人、……ではなく、ライオンの様な(たてがみ)を靡かせ、筋肉がみっしりと詰まっているのがありありと分かる体駆を持つ、威風堂々たる姿のまさに王と呼ぶに相応しい姿の獣人だった。


「マモン様!?し、しかしこ奴は!」


「聞こえんかったか?俺はやめよと言うたぞ?」


「はっ!も、申し訳ありません!」


 大公様に気圧されたかのように、近衛騎士がすごすごと元いた場所に退がる。


 そして。


「……さて、それにしても大変お久しゅうございますな。タラスク様」


 そう言うと大公様はタラちゃんの前に、しっかりと、しっかりと跪いたのだった。 




 ****




『『うむ、久しいの?獣人の子よ』』


「はっ!()()()二度も我が命を御救い頂いた事、このマモン一日たりとも忘れた事はございませぬ!」


「クフッ、それは嬉しい事じゃの。しかしいい加減(つら)を上げぬか、ワシの連れも困っておるわい」


 そうである。跪く姿勢というのは存外疲れるのだ。


「そうでしたな。いや失敬、それにここでは込み入った話も出来ませぬ、少し場所を移しましょうかな」


 マモン様はそう言って、僕達を応接室の様な所へ案内してくれたのである。


「さて、まずは巫女の移動についてでしたな」


 マモン様曰く、巫女の移動に際して公都への報告が義務となっているのにはしっかりとした理由があるとのこと。


 ()()とされるクジュ山と、公都、そして海の神域であるマクサーン地方の『シブカン』、この3ヶ所の地下深くを『魔脈』と呼ばれる、日本で言う竜脈の様な巨大な魔力の流れが8の字状に巡っているのだそう。

 巫女の祈りにはその流れを安定させる役目があり、1週間以上祈りの場を離れると魔脈の流れがとても不安定になってしまい、最悪国が滅びる可能性まであるそうだ。

 巫女はそれぞれの場所に一人ずついるらしく、その内誰かが祈りの場を長期間離れるとなった時は、他の二人の巫女が祈りを肩代わりしなければならないらしく、その為の手続きが王都で必要だったのだ。


 この魔脈から漏れ出て地表に上がって来たものが『魔素』と呼ばれ、地上で使用される魔力の素になっているのだそうだ。

 フィーゴ以外の国でも国ごとに魔脈の流れがあるそうで、大公様曰く「太古の昔人工的に作られたものかもしれんな」との事だった。


 ロストテクノロジーか、浪漫だね。


 そういう理由から、巫女の長期間の不在が確定する場合の処理は国にとって最優先事項の一つであるらしく、その為公都についてすぐの謁見となったのである。


「それにしても大きくなったな、巫女アイーシャよ」


「はい、巫女継承の際はありがとうございましたぁ」


「それで?はぐれ人に出会ったとな?」


「はい~。出会ってしまいましたぁ」


「そうかそうか!で?()()()()()?」


「そ、それは()()()()()()ですがぁ、頑張ります!」


 なにやら不穏な会話が聞こえてくるが気にしないでおこう。


「ふむ。それでは、長期不在時の手続きを祈りの間で行ってくると良い。リゼルよ、そなたはアイーシャの護衛として同行してくれるか?」


「分かりましたぁ」


「ハッ、王命しかと!」


「うむ。頼んだぞ」


 二人は、手続きを行うため祈りの間へと姿を消した。


『『行ったかの?』』


「行った様ですな、どれはぐれ人殿、いやユズル殿」


「…なんでしょう?」


「俺は幾つぐらいに見える?」




 ****




 その後の話は衝撃だった。大公マモンは300年目の【神々(Harvest)(of)収穫(the gods)】の生き残りだったのだ。まさかの御年315歳。

 300年前の【収穫】の際、一度はまさに収穫されそうなところを、2度目は大公の弟妹を守ろうとして盾になったところをタラちゃんに救われたのだそう。それ以来、タラちゃんをまさに神と慕っているらしい。

 そして【収穫】を生き抜いた大公は、いずれ来るであろう次の収穫に備え、もし再度はぐれ人が現れた時には手厚く保護し、全面的な協力を惜しまず、持てる情報を余さず伝える為に300年生きてきた。


 マモン様曰く「獣人族の寿命は平均150年程だが、衰えを感じるたびにタラスク様に二度ほど命を延ばす術をお願いしたのだ。後世の者、そしてはぐれ人の為にな」それ程に【神々の収穫】というのはこの世界の住人にとって脅威だったのだろう。


「タラスク様、アイーシャは【収穫】の事を知っているのですかな?」


 マモン様が尋ねる。


『『知っておる。あ奴の目の前でユズルに話したからの』』 


「ふむ、それは重畳。俺も長く生き過ぎました。・・・()()()として。あの娘ならば俺の後を担うに相応しいかと・・・、まあそれはおいおい考えるとして、このままマクサーンにいくとの事でしたな?」


『『そのつもりじゃの』』


「リヴィアス様にお会いになると?」


『『クフフ、何じゃ?心配しておるのか?』』


「心配も何も、お二人は会う度喧嘩ばかりだったでしょうが」


 そういってマモン様は苦笑する。


『『それは一々突っかかるあ奴がいかん。それに今回はユズルがおるでの。その心配はせずともよいわ』』


 え?仲悪いの?




 ****




 ここからはマモン様とタラちゃんに聞いた話。


【#神々の収穫】は神が降りて来た場所を中心に波紋のように広がっていき、この世界を蹂躙していく。


 その兆候を感じた神代の者がはぐれ人の召喚を行い、更には他の神代の者に繋ぎをつける。

 この兆候は神代の者皆が感じることだが、それ自体に強弱があり、その強さで神が降りる場所の推測がつく。

 兆候が表れてから実際に【収穫】が始まるまでの期間はおおよそ半年。


 その間に神代の者は【収穫】を少しでも抑える為に、神が降りる場所に集結し、準備し、いざ神が降りてきたらそれに相対し、はぐれ人を助け、共に闘い、被害を抑える。

 ただ神を退ける事は出来ても、倒す事(殲滅)は今まで一度も叶わなかった。


『『いつか必ず倒してみせるわ』』とタラちゃんは息巻いている。


 しかし今回は勝手が違う。

 まず兆候が出ていない。兆候は直感の様なものらしく、頭の中に警告が鳴り響くらしいので、それを間違える事はないらしい。その兆候が出ないまま、僕が召喚された。それがまずイレギュラー。


 その上で、はぐれ人には神に対抗できるスキルを()()()()()()()()()。しかし僕のスキルは破損している。もしくは存在しない。これが二つ目のイレギュラー。


 最後にはぐれ人が呼ばれた場所が前回と同じくこのフィーゴ公国である事。今までの【収穫】ではぐれ人が呼ばれる場所や国が重なる事は一度も無かったとのこと。三つ目のイレギュラー。


 イレギュラーが三つも重なったことで「これは何やら只事ではない」とあの日僕に出会ったタラちゃんは、僕に付いていく事を決めたのだそうだ。

『『まあ、面白そうだから、というのも事実ではあるがの』』とタラちゃんは笑う。



 マモン様からは【収穫】当時の状況や、神の力の恐ろしさを聞かされた。

 神の乗りものであろう、白銀に輝く船が空いっぱいに広がり、まずその船から放たれる光の魔法で地上を焼き払う。 


 ある程度焼き払ったところで神々その者が地上に降り立つ。その姿は様々だ。一つだけ共通しているのはどんな姿であろうとも、()()()()()2()()()()()()()()()()()


 彼らは高威力・広範囲の魔法で辺りを焼き尽くしながら、地上の種族を船へと刈り取っていく。その攻撃の範囲を徐々に拡げながら。


 神代の者達は、同じような高威力・広範囲の魔法やスキルを駆使し神の力に抗うが、圧倒的な物量と威力もあり地上のすべてを守ることはかなわない。

 それでも、ある者は強力な結界を構築し、またある者は強力な魔法で神々を怯ませ、近接戦闘が得意な者は神々と刃を交わす。


 そうやって、神代の者が作った隙を、神代の者がこじ開けた道を、はぐれ人が前へと、前へと進み、神の長(便宜上大神と呼ばれている)をその唯一のスキルで退ける。

 神々は大神が退くことで空に帰るが、地上は燦燦たる状況。地は抉れ、森は焼かれ、町は潰れ、生きるものは等しく疲弊し・・・。

 それでもその後何年も、何十年も掛けて復興し、再生を成していく。


 しかし、その復興し再度豊かになった世界は数百年後にはまた蹂躙されるのだ。神々の手によって。


 神代の者、生き残った者たちは忸怩(じくじ)たる思いを胸に、いつか、いつか必ず神々を倒して見せると誓いを立てる。


 いつか必ず……と。




 ****




『『と、まあこういう訳じゃの。』』


 話は続く。

 重ねていうが今回の召喚はイレギュラーが多い。その為まずは情報を収集するのが先決である。

 しかし、闇雲に動いてもどうしようもないので、僕たちにはそのままマクサーンへ行ってもらい、マモン様は個人的に情報を集めるとの事。只、前回の【収穫】を生き抜いて命を今までつないでいる者はそうはいないらしく過度な期待はするな、とのことだった。


 ふと思い出したようにマモン様が言う。


「そうそう。前回のはぐれ人から預かっているものがある」


 マモン様はそういって、首にかけていた飾りの一つを外して僕に渡す。


「……え?」



 …これは……まさか、これは。



「次のはぐれ人に渡してくれ、と、もしかしたら自分を知る者かもしれない、と、仰っていたな。()()殿は」





 ――地球でいうドッグタグ、そこに記されていたローマ字。そこには『SEI NAGAMI』と記されていた。




予想通り、伯父さんはこの世界に来ていました('ω')

しかしまだ謎は解き明かされません。


では次回!

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