【付録】なしよりのアリ
夫くんの勤める会社の社食の片隅で。
「○○さんのこといい人だなーとは思っていたけど、男として意識したことはなかったんですよ…
なんか地味だし。
飲みに行くときなんかいつも、同じ服着てるし。
だけど左手の薬指に指輪してるの見たらあ〜ら不思議、急に素敵な人に見えてきちゃって…
いや、素敵な人は言いすぎかな。
アリだったかも…くらいか?
誰に対しても優しいし、常識的だし。
うんと出世はしないだろうけど、リストラにもあわなさそう。
結婚指輪しているってことはどこかの誰かがその人を人生を共にするに価するって評価したってことですもんねえ…
そういう品質保証書みたいなものがついて、自分の中で初めて○○さんの良いところが際立って見えてきたというか…」
社内でめっちゃ浮いてるB子さんを気にかけて自分のグループに入れてあげたみゆきさん。
別にB子さんはそのことについて感謝していません。
全然一人で大丈夫な人。
それに浮いてはいるけど、意地悪はされていませんからね。
みゆきさんは部署が違いますがゆるくB子さんの面倒を見ています。
もちろんなんの下心もなく。
あとB子さんは夫くんがいつも同じ服着てると思ってますが、みゆきさんはちゃんとわかってます。
彼が似たような服を好んで着ていることを。
織りの違いとか、微かな色のトーンの違いで、この前着ていたのとは違うなと、識別してますから。
ずっと夫くんのことが好きだったのですが、自分の方が二歳年上なのが気になって身動きが取れなかったみゆきさん。
同じ会社の人と付き合って上手くいかなくなったときのリスクも恐れました。




