【付録】明暗
にゃにゃ子さんと夫くんが入籍した頃の夫くんの会社での話↓
その日の夕方夫くんの同期のみゆきさんは、エレベーターホールで夫くんを見かけ声をかけました。
「○○くん、あの…結婚したんだってね? おめでとう」
「うん、ありがとう」
「お、お相手さんは前に話してたバリスタさん?」(←同期だから他の人より色々知ってる)
「あー、違う。その人とは別れた。相手は婚活パーティで知り合ったOLさん」
「婚活パーティ?」
「うん、去年の今頃中央公民館であった市町村主催の」
「えっ?!」
「…なに?」
「あ…何でもない。
うん、でも水くさいなぁ、教えてくれれば同期でお祝いの会でもしたのに」
「ありがとう、夏に結婚式するから、二次会とか来てもらえる?」
「うん、行く行く。○○くんのお嫁さん見るの楽しみだな」
「はは、じゃあ、お先に」
「あれ、定時に帰るの?珍しい。さすが新婚さん」
「や、今日嫁さん体調悪くて会社休んでるんで」
「あら、それは心配。じゃあ早く帰ってあげて。お疲れ様」
エレベーターに乗り込んだ夫くんを見送って、みゆきさんは少し考え込んでしまいました。
みゆきさんは一年前の出来事に思いを馳せていました。
ある日曜の昼下がり、自分の部屋からリビングに降りていくと、従姉妹の咲ちゃんがいました。
「あら、咲ちゃん来てたの?」
「あー、お邪魔してます。お父さんが家庭菜園で作った大根届けに来たの」
「わざわざ悪いわね」
「うん、みゆき姉に話もあったし」
「ん?何?」
「あのね、来週二人一組で参加の婚活パーティがあるんだけど、連れが都合悪くなっちゃったの。
みゆき姉一緒に行ってくれない?」
「うーん、私そういうのは…」
「や、市町村主催だから参加費もやっすいし、場所中央公民館でやるからそんなにチャラいやつは来ないと思う。
はは、ハイソな人もいないだろうけど」
「うーん。ごめん、やっぱ…」
「あのさ、チャンスはどこに落ちてるかわんないよ?
そんなにバカにしたもんじゃないかもよ、毎年成婚者出てるらしいし」
「はは、結婚はしたくないわけじゃないんだけど、相手をわざわざ探してまではしたくないんだな」
あの時咲ちゃんが誘ってくれた婚活パーティーに○○くん参加してたんだ…
行けば良かった。
チャンス…逃しちゃったのなあ…私。
ちなみににゃにゃ子さんが婚活パーティに参加した経緯はこちら↓
「にゃにゃ子!これ行くよ!来月の第ニ日曜日開けときなっ!」
「ワンコ先輩なんですか?そのチラシ…」
にゃにゃ子さんはワンコ先輩に差し出されたチラシを受け取り目を通しました。
ん?市町村主催の婚活パーティ?
場所中央公民館?
ダサっ。
参加費1500円って子供会のお楽しみ会かって!
ワンコ先輩本来絶対こんなとこ行く人じゃないのに…
失恋で自分を失ってる。
先輩、弱ってる…
ジワッ
「ワンコ先輩!お供しますっ!!」




