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終章  蒼の瞳

 王妃の生家の公爵の謀反に伴う、突然の王太子の交代劇から十一年の月日が流れた。

 時の王も即位から七年を数え、未だ空白の王妃の座を、女たちが虎視眈々と狙っていた。


 そんなある日の事。

 王は一人の男子を王家へと迎え入れた。

 王が王宮へとやって来たのと同じ、十を数えたばかりの男子は、父王と同じ艶やかな黒髪を揺らして、人々の前に姿を現した。


 男子は本当に王の子なのか、と疑念を抱いたものもいたが、その男子の姿を見ると、みな一様に口を噤んだ。

 男子は、王の幼き日に、王が王宮へと来たあの時の姿に、髪の色、顔の造形、身体つきさえ、あまりに似ていたのだ。まるで、生き写しともいえるほど。

 だが男子は、たった一つ、父王の持たぬものを持っていた。

 男子が目を開くと現れる、鮮やかな色―――


 王は男子をとても愛したという。

 とくに男子の持つ、己と唯一違うそれを、愛おしげに微笑み見つめるのだ。


 男子の両の瞳に輝く、蒼玉(サファイア)……


 それは、歴史に埋もれた女の色。

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