表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある夜の物語  作者: 星六
37/56

第六章 月光市場のある騒動

「よし、取引だ。今、契約書を持ってくるから待っていてくれ」


そう言って店に引っ込んだ長鼻さんが戻ってきた時には手に分厚い紙の束。


「これが契約書だ。ここにサインして横にハンコを押してくれ。ハンコがなけりゃ拇印でいい」


長鼻さんがニヤニヤと笑いながら差し出してきた紙の束をキネムは受け取らなかった。


「面倒なのは嫌いです。この話はなかったことにしましょう」


「い、いまさら何を言う」


「取引はもっと簡潔にしましょう。こちらは星のかけらを渡す。そちらは馬を渡す。それだけです。紙一枚もいりません」


キネムと長鼻さんの見つめ合いが続いて、一分ほど。「はぁ」とため息を吐いた長鼻さんは「わかった。それでいい」とあきらめた様子で柵の方へ向かった。

それと同時に工藤さんがひょこりと立ちあがって、キツネにつままれたような顔になって、その後パッと顔を明るくすると私とキネムの手を取った。


「ありがとう! 本当にありがとう!」


力任せにぶんぶんと手を上下させられ、肩が抜けるかと思うほどだ。


「ど、どういたしまして」


「けれど俺にはどうお礼したらいいのか分からない。とりあえず、新しい鞍を買うために持ってきたお金を受け取ってくれ」


「あの石はもらった物ですから、私は何も損をしていないんです。だからお金は受け取れません」


「それでも何かお礼をさせて欲しいんだ」


工藤さんの気持ちは嬉しいけれど、本当にお礼なんて必要ないから困り果てていると、そこに長鼻さんがセント・エルモ号をつれてやってきた。


「さぁ、工藤さん。セント・エルモ号を」


キネムが促して、工藤さんは「ああ。もう離さないぞ」と本当に嬉しそうな笑顔でセント・エルモ号の鼻先にすがりついた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ