0日目 訓練生たちの最後の日 ~Last Day~
憲法第9条を破棄した日本は国の防衛力をあげるため、中学、高校の教育過程に「戦闘訓練」を追加する。アルファ隊に所属する主人公長谷川洋介は、「空戦」の項目を選び、訓練生の中でもトップの成績を誇っていた・・・
2018年6月23日。日本国憲法第9条が破棄された。国の防衛力を向上させるためだ。何で今頃かって?最近になって大規模なクーデター軍の存在が明らかになってきたからだ。そのおかげで中学校のカリキュラムには「戦闘訓練」なんてものが出てきた。選択授業で、「空戦」、「地上戦」、「海戦」と、3つの中から1つ選んで訓練をするのだ。成績がよく、素質があると見込まれた生徒には、入学金無料授業料無料で進学できる。高1ではシミュレータを使わない、実際に戦闘機を操っての模擬戦闘をし、高2から実戦で配備される。しかし進学できるのはたった一校、「東京都立新宿高等学校」だ。まったく国もよくこんなことをしたもんだ。地下に滑走路とハンガー(格納庫)を作るなんて、普通ありえないよなぁw。
ま、話はこれくらいにして自己紹介をしよう。俺は長谷川洋介。明日から実戦で配備される。選択科目は「空戦」。中学校時代シミュレータでかなり訓練したもんだ。自慢じゃないが(てか自慢に聞こえてしまうが)、成績はよかった。射撃はA+、模擬戦では176勝4敗。空戦のセンスはあったらしい。所属部隊は「アルファ隊」。成績順で、アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロン、と、5つに分類される。一隊あたり3人。ただしこれはあくまで訓練生時の部隊名で、実戦に配備されると、「アトラス」や「アトロポス」といった一流の名前がつく。俺の部隊はどんな名前になるだろう、と少しワクワクしている。ムフフ、ムフフフフ。俺キメェwww。
ハンガーにて
「明日、楽しみだな!」
こいつは相田章吾。アルファ隊2番機(1番機は俺)。隊の中ではかなり仲のいいやつだ。いつも明るい、俺の大親友。
「そうだな。ダッセェ名前は勘弁だよな」
「そりゃあな。『アルファ』とかありきたりだし」
「ウムウム。よく分かってるじゃあないか」
そう言って俺の右肩を叩こうとするが、
「ちょーーーーーーーーーーーっと待った!」
俺が止める。そう、こいつには一つの欠点があることを思い出した。手を洗わないことが多い。俺とあいつだけが知る、唯一の欠点。
「お前、さっきトイレに行ったよな?」
「あぁ」
「手、洗ったか?」
「・・・・・あwすまんwwwちょっと洗ってくるwww」
何だよお前!お前明日になったら高2だろ!!まともに手ぇ洗えない戦闘機パイロットとかきいたことねぇぞ!!!
「・・・・・はぁ」
そう言ってため息をついた。左から誰かが近づいてくる。これは・・・
「どうしたの?体調でも悪い?」
この子は月成茜。アルファ隊3番機。隊内では紅一点の存在。やさしい上にかなり美人なので男女問わず人気がある。
「いや、くだらないことで呆れてた」
「くだらないこと?」
「聞かないほうがいいぞあいつのイメージ崩壊するぞ」
「え~~そう言われるともっと聞きたくなっちゃうなぁ~」
「・・・お前らしくないな」
「たまにはイジワルしてみたいの、女の子だって。ほら、言って言って!」
「・・・・・・・・・・分かった。言うy」
「わりーわりー!遅くなったな」
章吾が帰ってきた。茜は「チッ」っと舌打ちしてどこかへ行ってしまう。いいタイミングで邪魔者が入ったら、そりゃ怒るわな。運がいいのか悪いのか。
「ほぇ?俺なんか悪い事あいつにしたか?」
「・・・・・分からん。とりあえず俺部屋に帰るから。今日はもう疲れた」
「お、おぅ」
そう適当にごまかして俺は寮に戻っていった。今日は対地、対空、対艦、あらゆる場面を想定した訓練が行われたのだ。神経は磨り減り、もうへとへとになっていた。アフターバーナーの轟音が地下を響き渡っていた。




