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追放された俺だけが、魔物の感情を見ることができる ~役立たずスキル《閲覧》で助けた魔物たちに慕われました~  作者: 浦嶋亀タロー


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11/13

《閲覧》ナニモノ?

翌日。

 俺たちは再びダンジョンへ足を踏み入れていた。

「今日は昨日より少しだけ奥へ行く。」

 前を歩くガルドが言う。

「ただし、少しでも危険を感じたら戻る。」

「ああ。」

 ◇

 一階層の昨日より奥。

 通路は狭くなり、空気も少し重い。

 スウは俺の肩に乗り、周囲をきょろきょろ見回している。

 《閲覧》

 ――

【スウ】

Lv.10

状態:健康

感情

・くらい

・でも たのしい

・レンと ガルド いる!

 ――

 思わず笑ってしまう。

「どうした?」

「いや、なんでもない。」

 その時だった。

 ガサッ。

 岩陰から三匹のダンジョンゴブリンが姿を現した。

 俺はすぐに《閲覧》を使う。

 ――

【ダンジョンゴブリン】

Lv.9

状態:健康

感情

・ころす

・しんにゅうしゃ

・ころす

 ――

「来る!」

 ゴブリンが飛び出す。

 ガルドが一歩前へ出て、大盾を構えた。

 ガンッ!!

 先頭のゴブリンの棍棒が盾へ叩きつけられる。

「レン!」

「今だ!」

「ああ!」

 盾に弾かれ体勢を崩したゴブリンへ、俺は一気に踏み込んだ。

 剣を横薙ぎに振る。

 ゴブリンの喉を切り裂く。

 一匹。

 すぐに二匹目が飛びかかってくる。

 《閲覧》を使うまでもない。

 さっきと同じ。

 一直線に俺へ向かってくる。

 半歩だけ身体をずらす。

 空振った腕を払い、そのまま腹へ剣を突き刺した。

「ギャアァ!」

 二匹目が倒れる。

「左だ!」

 ガルドの声。

 最後の一匹が背後へ回り込もうとしていた。

 ガルドが盾で思い切り突き飛ばす。

 ゴブリンは壁へ叩きつけられた。

「決めろ!」

「任せろ!」

 俺は駆け出し、起き上がろうとしたゴブリンへ剣を振り下ろした。

 三匹目も動かなくなる。

 静寂が戻った。

「ふぅ……。」

 息を吐く。

 ガルドが剣を納めた俺を見る。

「いい動きだった。」

「ガルドが止めてくれたからだ。」

「盾役の仕事だ。」

 短い言葉だったが、少しだけ嬉しそうにも見えた。

 その時。

 ズン……

 地面が揺れた。

 二人同時に動きを止める。

「またか。」

 昨日も聞いた音だ。

 しかも今日は少し近い。

 ズン……

 ズン……

 重い足音が通路の奥から響いてくる。

「……嫌な音だな。」

 俺が呟くと、

「まだ姿は見えない。」

「だが、この先に何かいる。」

 ガルドが盾を構え直す。

 その直後だった。

 通路の奥から数匹のダンジョンゴブリンが走ってきた。

 俺たちには目もくれない。

 必死に逃げている。

「なんだ……?」

 俺は反射的に《閲覧》を使う。

 ――

【ダンジョンゴブリン】

Lv.8

状態:恐慌

感情

・にげる

・しぬ

・あいつ

 ――

「……!」

 さっきまで殺意しかなかったゴブリンが。

 今は恐怖しか抱いていない。

 俺は思わず叫んだ。

「ガルド!」

「逃げよう!」

「何?」

「説明してる暇はない!」

「奥から何か来る!」

 ガルドは一瞬だけ俺を見る。

 迷いは二秒もなかった。

「撤退!」

 その一言で二人は同時に走り出した。

 ゴブリンたちも俺たちを襲わない。

 ただ、生きるためだけに出口を目指している。

 ズン……

 ズン……

 ズン……

 足音が少しずつ近づいてくる。

 姿は見えない。

 だが、その圧迫感だけで十分だった。

 ガルドの額には汗が浮かんでいる。

 俺たちは振り返ることなく走り続けた。

 やがて眩しい光が見える。

 ダンジョンの入口だ。

 二人揃って外へ飛び出し、大きく息を吐いた。

「はぁ……。」

「助かった。」

 しばらく無言の時間が流れる。

 ガルドはダンジョンの入口を見つめたまま、小さく呟いた。

「何かがおかしい。」

「ああ。」

「一階層であんな気配は初めてだ。」

 そして俺へ視線を向ける。

「レン。」

「一つだけ聞く。」

「……なんだ?」

「お前は、どうしてあんなに早く危険だと分かった?」

 胸が少しだけ締め付けられる。

「……勘だ。」

 そう答えると、ガルドは数秒だけ黙っていた。

「そうか。」

 それ以上は聞かなかった。

 だが、その目には確かな疑問が残っていた。

 ダンジョンの奥では今もなお、正体不明の何かが静かに動いている。

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