春は案外近くにいるらしい
気がつけば春爛漫
春を気付いて欲しい彼女
春に気づけない彼
「うわーん、フラれたぁ!」
私は、藤原 由香里。
今が一番楽しい高校2年生。
泣いているの私の前で呆れているのが、同じ高校2年の笹川 彬。
「お前、これで通算何回目だよ…。」
「そんなの一々覚える訳無いでしょー。てゆーか慰めなさいよぅ。」
ため息を吐きながら言う彬にムッとして言い返す。
「フラれる度に付き合わされてんだぞ。呆れしか出て来んわ。」
私は彬の中で超惚れっぽい事になっている。
まぁ、約一月に一回のペースでフラれたと騒いでいれば当然の評価なんだろうなぁ。
別に私は惚れっぽい訳じゃない。
今回のも前回のも前々回のも、ぜーーーんぶ嘘なのだ。
特に可愛いという訳じゃないし、自分が至って普通だというのは分かってる。
身の程を弁えてるのだ。
なのになんで毎度そんな嘘をつくかと言えば。
目の前の彬が全ての元凶だ。
私は幼い頃から彬が好き。
幼稚園の時は結婚の約束までしたのに、それなのに目の前の男はそんな約束を綺麗さっぱり忘れた揚句、私など眼中にないのだ。
ムカつくちょームカつく。
「酷いひどーい!目の前でこんな可愛い女の子が泣いてるのにっ。鬼、悪魔!」
「鬼で悪魔の俺は帰りますよっ。」
「彬が虐める~。」
「俺を罵ったその口で何を言う。大体こーゆー話は女友達にするもんだろ。」
「しましたよー。でも毎回彬に報告してるからさー。私と君の仲じゃないか。潔く慰めたまえ。」
「ただの幼なじみだろー。はぁ。ま、次頑張れ。」
どんなにムカついていようが、好きな人に触られて嬉しくないはずがない。
幸せだなぁ。
これだから、焦れったいこの関係も悪くないかもと思ってしまう。
でも、でもでも。
気付いて欲しいし、どーせなら彬から告白されたい。
だから私は、彬の注目を集める為に嘘の恋愛をする。
お願いだから、早く早く気付いて!
翌日、私はボーイッシュなショートにして登校した。
嘘のフラれた報告を彬にしたら、髪を切ることにしている。
心機一転して次の恋を頑張る為と言ってるけど、前に彬がショートが好きって言ってたから。
私なりにアピールしているのだが、全然気付いて貰えない。
早く気付け、この鈍感!
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