表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/44

第41話 クラン壊滅

 「やはり、皆さんの所にも来ていなかったんですね」

 「ってことは今もこのダンジョンにお前さん方、聖光の守護者を襲ったゴブリンがいるってことか」


 アリサはこの最深部が自分達を襲い全滅させたゴブリンがいる場所だと思っていた。

 しかし、そこには誰もいなかった。


 (そもそも、あのゴブリンがここにいたかもわからない。それに誰もいないのも気になる)


 だが、次の瞬間だった。

 団長達とアリサがいる場所に突如、巨大な魔法陣が現れ一瞬の内に姿が消えてしまった。


 「な!?しもうた!やっぱり罠やったんや!!」

 「ふっふふのふー!こーんな簡単に罠に引っ掛かるなんて」


 頭上からした声に残されたそれぞれのクランの団員達が一斉に顔を上げる。

 そこには聖光の守護者の一員である魔法使いのイーナと騎士の鎧をきた戦士、そして報告にも上がっていた細身で筋肉質のゴブリン、ジェネラルゴブリンが浮いていた。


 「マズハオマエタチカラダ」


 そう言ったジェネラルゴブリンは真下にいた団員達の元へと降りていった。

 当然、隙をつかれたとはいえ副団長やそのレベルに近いもの達一瞬で状況を理解し、それぞれが直ぐに迎撃を行える範囲にまで後退した。


 「ハハッ、ナカナカ」

 「なっちゃん!」


 最初に動き出したのは白銀の狼であるなおっちとなっちゃんの二人であった。

 なおっちは自身の魔眼を展開し、なっちゃんはスマホを取り出し、ジェネラルゴブリンに向けた。


 「縛り付けてあげる」


 スマホが光画面から何十本もの鎖がジェネラルゴブリンに巻き付きその動きを止める。

 その隙になおっちの魔眼"空間歪曲"が発動する。


 「捻れて潰れろや!」


 必殺必中の魔眼。

 なおっちが異世界に転生した際に手に入れた力であり、視界に入れなければならないことと発動が少し遅いことを除けば、これほど強力な力はないと自他共に認める代物。


 「ハハ、オンナデナイコトガザンネンダ」

 「は?」


 笑った。

 必殺必中の魔眼を受けた筈のジェネラルゴブリンは、痛みによる悲鳴ではなく愚か者を嘲笑うような笑みを浮かべた。


 「な、なおっち・・・」


 怯えたような、恐ろしいものを見たようななっちゃんの声が耳に聞こえてくる。

 そして、なおっちは初めて自分に起きたことを認識する。

 自分が放った筈の魔眼の力を()()()()()()()()()()()


 「はえ?」


 全身至る所が捻って曲がっており、そのままなおっちは血を吐きながら倒れ込んだ。

 

 「なおっち!!!」


 倒れ込んだなおっちに慌ててなっちゃんは駆け寄る。

 既に呼吸も難しかなって来ており、今にもその生命が終わりそうな一刻も争う状態のなおっちを見たなっちゃんは、直ぐにスマホを取り出し画面をなおっちに向けた。


 「死なないでなおっち!原初の息吹!」


 回復魔法の中でも最上位に位置する一つである魔法をなおっちに向けて使用する。

 だが、それが無意味なことだと言うのはなおっちと共に居続けていたなっちゃんが一番理解していた。

 

 「ムダダ。マガンノチカラハ、マホウデハナオセナイ。マガンハノロイノタグイダ」


 ジェネラルゴブリンの言うことは正しかった。

 魔眼は呪い、呪術と呼ばれる物の類であり、魔法では治すことは不可能な代物であった。

 

 「ソンナコトヨリイイノカ?ジブンノシンパイヲシナクテモ」

 「え?」


 なおっちの治療に意識を向けてしまっていたなっちゃんの側には、既にジェネラルゴブリンが座り込んでいた。


 「オマエハイイ。ゴウカクダ」

 

 言葉すら発する暇がなかった。

 ジェネラルゴブリンはなっちゃんの衣服を一瞬の内に剥いた。

 そして、彼女に覆い被さるようにして襲いかかった。


 「いけない!」

 

 ジェネラルゴブリンがやろうとしている事にそれぞれの副団長達が一斉に動き出す。

 いや既に動き始め、近くまで接近していた。


 「ジャマヲスルナ。オマエタチノアイテハ、コノオンナヲオカシタアトダ」

 「邪魔はさせないわよ」

 

 接近していたクランの者達の道を巨大な氷の壁を作り塞いだのはイーナだった。

 

 「お前は聖光の守護者のものじゃないのか?」

 「兄貴!そんな事よりあの女やばいって!あのままじゃ、」

 「いやぁぁぁぁ!!!」


 狂戦の鬼刃副団長であるジンガとその弟であるルーガは、氷の壁の向こう側でおこる惨劇を止める為動こうとした。

 しかし、それよりも早く氷の壁の向こう側から若い女性の声が響いた。


 「ふふっ。もーさいっこぉー!女の子の悲鳴なんてあーもう!濡れちゃうじゃないのぉ!!」

 「チッ、サイコ野郎が」

 「イーナ遊ぶな」

 「「!!」」


 ジンガとルーガの背後から声が聞こえ、後ろを振り向くと既に毒蛇の蛇骨団のステイとエウ、そして紅蓮の戦乙女の二人組が地面に伏して倒れ込んで意識を失っていた。


 「お前は確か姫様のところの騎士・・・」

 「うげぇ!?マッジで?そんな凄い奴も裏切ったってことか??」

 「ごめんなさ〜い。女の子の悲鳴が聞こえちゃってムラムラしちゃったのよ〜」

 「戦闘とは一瞬の内に終わらせるものだ。・・・このようにな」


 次の瞬間。

 再び騎士の姿が見えなくなり、気がつけばイーナの隣に姿があった。


 「がはっ!」「ぐっ!?」


 そして、ジンガとルーガの二人が気がついた時には横腹を切られ、大量の血を流してその場で倒れた。


 「あら、殺しちゃった?」

 「当然だ。だが、ジェネラルゴブリンの言われた通り女どもは気絶させるだけにすませた」

 「オ、オオオオオオ!!!」

 「あら、あっちも終わったようね」


 動物のような雄叫びが聞こえたと同時に氷が崩れ、向こう側にいたジェネラルゴブリンが複数のゴブリンを引き連れて現れた。


 「オワッタヨウダナ」


 そう言ったジェネラルゴブリンの片手の中にはなっちゃんの姿があった。

 しかし、そんななっちゃんは既に生きる気力を無くしてしまったのか、その目は焦点があっておらず、口からはうわごとのように何かを呟いていた。


 「約束通り女は殺してない」

 「フッ、ヨクヤッタ」

 「ギギ・・・オンナ・・・オンナ・・・」

 「イイゾ、ワガムスコタチヨ。ゾンブンニアジワエ。ツイデニコノオンナモヤロウ」


 そう言って手の中にいたなっちゃんをゴミのように捨て去り、自分の座する場所へと移動していく。


 「そこまでよ」


 その一言と共に一筋の閃光がクランメンバーを襲っていたゴブリン達の首を斬り裂いた。


 「キタカ!アラタナニエヨ」

 「これ以上、貴方達の好きにはさせない!!」


 閃光は人の形を為し、聖光の守護者副団長アリサが姿を現した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ