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理の継承者  作者: 鈴本 流幸
第六章
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届かぬ物資ー決着ー

 魔人が迫り来る中、支配人はゆっくりと自分の武器を抜き、眼前に構える。

 支配人の武器は一般的な剣の形をしているが、剣と異なっているのは刃の部分。

 形は剣の刃と同じだが、細さが剣の半分くらいだった。

 支配人はこの武器の切先をスッと前に出す。

 そう、この武器は斬るというよりかは——()()()()であった。


「しっ!」


 魔人は確かに速かったが、それにも恐れず支配人は武器を突き出す。

 その結果——()()()()()()()()()()()()()()

 予想だにしなかったことに魔人は驚き、目を見開く。

 そんな魔人をよそに支配人は次々と突きを繰り出すと、それに合わせて魔人の各部から血が流れていった。

 さすがの魔人も急いで支配人から距離をとる。


「お前……俺に何をしやがった!?」

「何も特別なことはしてないが?ただこれで突いただけだ」


 支配人は再び眼前に構える。


「ふざけるなっ!さっきの槍の攻撃でさえ、こんな傷は付かなかったんだ!そんな細いやつで出来るわけねーだろ!」


 魔人が激昂する中、支配人は静かに嘆息する。


「これは『刺突剣(レイピア)』という呼び名があるんだが今は置いておくとして……さっき言った通り特別なことはしていない。が、()()()()()()()()


 再度魔人が何かを言いかけるが、それよりも早く支配人が前に出た。

 魔人は大きく舌打ちをしたあと、自らも前に出る。しかし結果は先ほどと同じだった。


 (クソがっ!こいつ一体何をしている……いや待てよ、さっきから血が出ているとこって……)


 何かに気付くと魔人の動きが少しずつ変わっていった。

 それに伴い、先ほどは支配人が攻撃するたびに血が舞っていたが、徐々に傷を負わなくなっていった。

 余裕が出てきた魔人は次の支配人の攻撃で刺突剣の切先を掴もうとしたが、それに気付いた支配人は急いで攻撃を中断し、距離を取る。


「気付いちまえばどうってことない。お前が狙っていたのは『槍で傷ついた部分』。そうだろ?」


 槍の男性の攻撃は確かに魔人に大した傷を負わせていなかったが、全く傷をつけていないわけではなかった。


「……そうだ。小さくても傷があるなら、そこを大きくしてやれば……結果はお前自身の姿だ」

「ちっ!……あぁ、認めてやる。お前はさっきのやつよりも強い。けどなぁ、もうお前の攻撃は効かねぇ。この意味がわかるか?」


 魔人は徐々に前傾姿勢になる中、支配人は微動だにしない。


「お前は俺に殺られるってことだ!」


 魔人は先ほどよりかは遅くなっているが、それでも人間からにしたらとてつもない速さで迫る。


「俺も一言いいか?」


 魔人が迫って来ている中、それでも微動だにしない支配人が声をかける。


「はっ!ダメだなっ!」


 支配人の問いかけを鼻で笑って退けた魔人に対して、「そうか」と一つ呟く支配人。


「死ねっ!……?……あ……がっ…!?」


 魔人が怒声をあげたと思ったが、その後の声がつまっていた。

 それもそのはず。

 魔人が口を開けた瞬間を狙って、支配人が刺突剣をその口の中目掛けて突き出し、そして貫いたのだ。


「『攻撃するとき口を開けない方がいい』と言いたかったのだが……人の話はちゃんと聞くんだったな」


 支配人は話を続ける。


「お前は確かに硬い。だが全てが硬いわけではないだろう?半信半疑ではあったが……俺たち人間と同じで目や口の中は硬くはないようだな」


 刺突剣は魔人の頭の後ろを貫通していたのだが、痙攣しながらも支配人を睨みつける魔人。


「まだ生きているのか?そこは俺たち人間とは違うか……まぁいい、終わりだ」


 そういうと支配人は刺突剣を勢い良く、引き抜く。

 (クソがっ!こんな人間に俺が……?タダじゃ死なねーぞ!)

 支配人が油断したところを襲おうと(たくら)む魔人。——だったのだが。


「あぁ、そうだ。一つ言い忘れていた」


 支配人は刺突剣の切先を魔人の胸部、人間でいう心臓部に合わせ、突き出す。


「硬いのは硬いが……貫けないほどではない」


 この言葉のとおり、刺突剣は魔人の体を貫いた。

 魔人は驚愕の顔をし、今度こそ息絶えたのだった。

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