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女友達と仲良くしたら、親友の男の娘が壊れた話  作者: 黒髪
第一章:日常が崩壊するまで
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「えーと、お前らに悲しいお知らせがある。実は最近女子の体操服が盗まれている。今回で何回目だ。一体どんな理由があってこんな行動をしているのかは知らんが……そろそろ警察に相談することも学校側は考慮している」


 担任が険しい顔で教室に入ってきたと思ったら、早速声色を変えて、俺たちへの説教を開始した。誰の体操服が盗まれたかは知らんが、俺の斜め前に座っている女子だろう。涙をボロボロ流して、手の甲で拭いているし。


「とりあえず何をしたいのかさっぱりだが、クラス内で問題を起こすのはやめろ。何か悩みがあるなら、先生が話を聞く。それでいいだろ。これ以上、クラスメイトに迷惑をかけないでくれ。頼む、オレと全員約束してくれ!!」


 HRが終わるとすぐに、元気な声が聞こえてきた。


寄道(よりみち)ー!? 一緒に帰ろー!!」


 手をパタパタ振って、幼馴染みの朝日さやかが走ってきた。

 肩まで伸びた長い茶髪が揺れ動き、柔らかそうなピンク色の唇は「ふぅふぅ」と可愛らしく息を切らしている。


「ちょっと走っただけで息切れって……どんだけ体力ないんだよ」


 俺が独り言を呟いた瞬間。

 さやかは足を挫いたのか、前へと倒れてしまう。


「あわわわわわわわわわわ!!」


 どこにも段差とかないと思うんだが、ドジすぎるだろ。

 そんな気持ちがあるものの、このままでは机と頭をゴッツンさせてしまい、怪我してしまう可能性がある。

 空かさず手を差し伸ばして、俺はさやかを抱きしめる。


「ほら……大丈夫か?」


 柔らかかった。

 力を入れたら壊れてしまいそうなほどに華奢な身体だ。


「う……うん。あ、ありがとう。寄道」


 照れているのか、妙に顔が赤い。

 その姿は相変わらず愛らしかった。

 柑橘系みたいな香りが漂ってくる。


「あの……そろそろ大丈夫だよ。手を離して……」

「あ……? わ、悪い……」


 慌てて俺はさやかから手を除け、本題に入る。


「今日、俺の家に寄ってけよ。一緒に遊ぼうぜ」


◇◆◇◆◇◆


 教室を出て下駄箱まで向かっていると。


 さやかは「あ、そういえば」と呟いて。


「寄道はさ、最近LIMEの返事が遅い!」

「別にいいだろ。てか、お前は俺の彼女か!!」

「もしかして……カノジョとかできたの?」


 訝しげな瞳が、俺を射抜いてくる。


「生憎なことに、俺の周りには全く女っ気はねぇーよ」

「でも、女子の間で寄道の話は結構出ててくるらしいよ」

「マジ……? その話を詳しく教えてもらおうか?」


 詰め寄る俺に対して、さやかはとぼけた顔で言う。


「どうしようかなぁ〜。最近、寄道は付き合い悪いし」

「高校デビューしたばっかなんだよ。今が正念場なんだ」


 俺——真夜中寄道(マヨナカヨリミチ)は、数ヶ月前まで冴えない男子中学生であった。拗らせ限界オタクという種族であり、心の底から『二次元最高。三次元ゴミ』と思っていた。


 しかし、本音では生身の女の子と少しでもお近づきしたいし、三次元の女の子とキャキャウフフな展開をしてみたい。その衝動だけは抑えることができず、頼りになる妹の力を借りて、無事に高校デビューを成功させるのであった。


「ふぅ〜ん。寄道は僕よりもあの人たちを取るんだ」

「お、怒らないでくれよ。頼むからさ」

「僕が怒るような真似を、寄道がするから悪いだけ」


 だが、俺の幼馴染み——朝日さやかは、俺が高校デビューしたことを許せないらしい。


「……最近、寄道の周りに女の子が集まるようになってきたし。そっちを取るんだ?」

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