第66話 依代
ディールから恋人ユウネの紹介をされたアデル。
穏やかでなかった胸中が杞憂だったことでホッとしたが、未だ本題には触れられていなかった。
いよいよ、アデルの口から”ディールに話すべきこと” 本題が、伝えられる。
「私がディールを必死で探していたのは、そもそも貴方が【加護無し】で村を追われて行方不明になったと聞いたからよ。」
紅茶を飲みながら、アデルが伝える。
ディールもユウネも顔を伏せる。
【加護無し】
それは、この世界の落ちこぼれの烙印。
加えて姉アデルが所属するグレバディス教国での最近の教義では、“【加護無し】は女神の寵愛から外れた邪神、もしくは邪神の眷属”という者で、誕生したその地には災いが降り起こるというものだ。
そして目の前に座る敬愛すべき姉アデルは、グレバディス教国の最高位神官。
教皇アナタシスに次ぐ権力者“四天王” である。
それこそ、【加護無し】を排除しようという組織の、筆頭者のような者である。
それを感じとったのか、アデルは微笑んで二人に向き合う。
「心配しないで。大事な弟であるディールが【加護無し】だからと言って、見捨てるような真似は絶対にしないから。」
その言葉で、顔を見上げるディール。
ユウネは、両手を口で押え、その目から涙が溢れた。
「幸運にも、と言って良いのか分からないけど……私はグレバディス教国の最高位神官。私が貴方に祝福を行いその庇護下に置いた、と言えば、大抵の教徒は納得するだろうし、おいそれとディールに害しようなんて輩は現れなくなるだろうね。」
紅茶のカップをテーブルに置いてアデルは伝えた。
しかし、その顔は険しい。
「二人はハンターなのよね? それもBランクの。」
「そうだが……。」
「“マレニア村の金髪パメラ”の話しって、聞いたことある?」
顔を曇らせるディールとユウネ。
その表情が全てを物語っていた。
「そうだと思った。わざわざラーグ公爵国から“赤の平原” 経由でここドラテッタ侯爵領まで来たんだもん。たぶん同行している商人の判断か、護衛ハンター達から“噂”を鵜呑みにして、そっちのルートを選んだのでしょうね。」
「そう、聞いた。」
ディールの表情は暗い。
アデルは、少し躊躇しながらも、ディールとユウネに尋ねる。
「これから話すことは……グレバディス教国内では教皇猊下、そして私の他“四天王”しか知らない話しなの。私はディールに隠し事をしたくない。だけど、この話しが漏れ伝わったとなると、【加護無し】の弟を持つ私が真っ先に疑われ、最悪は異端者扱いよ。ディールとユウネは、口は堅いかしら?」
それはかつて連合軍“総統”マリィが、アデルに尋ねたようなものだ。
もちろ、アデルは、ディールやその恋人ユウネを殺すような真似をするつもりは無いが。
「要するに、バレたら私も貴方も、下手したらユウネも危ないってことよ。秘密にできる?」
ディールとユウネはお互い目を合わせ、頷く。
「オレも姉さんに隠し事はしたくない。オレが今までどうやって生きてきたか、ユウネの事とか、全部話すよ。交換条件ってわけじゃないが、オレ達が姉さんに語る内容もかなり複雑だし、他には知られたくない事だからな。」
「ある程度は聞いているけど、そうね、ディールやユウネの口から聞きたい。……私に今、そういう事を言うということは、信用しても良いのね?」
頷く、ディールとユウネ。
一つため息を吐き出し、アデルは伝える。
覚悟は決まった。
「まず、6年前に“マレニア村”で【加護無し】となったパメラ・スィートルが去年豹変し、家族や恋人、それにグレバディス教国の司祭など多くの人々を虐殺したという“噂話”。……これは全て、事実よ。」
息を飲む、ディールとユウネ。
つまり……。
「……オレも、“豹変”するってことか?」
伏せるディール。
震える身体。
その手を握り、首を横に振るユウネ。
その二人の様子から、【加護無し】であるディールが、この“マレニア村の金髪パメラ” の話しを耳にして、どれほど苦しんだのか、そして恋人のユウネがどれほど心の支えになったのか、理解するアデルであった。
アデルの目に、涙がにじむ。
そして、笑顔で伝える。
「苦しんだのね、ディール。そして弟を支えてくれてありがと、ユウネ。……大丈夫よ。貴方が“豹変”するのは、まずあり得ない。」
その言葉に、驚愕するディールとユウネ。
「え、でも……【加護無し】であったパメラって女は……。」
「もう一つ、内緒の話。【加護無し】は、女性しか生まれない。」
そうだ。
かつて【碧海龍スイテン】から聞かされた“事実”
ディールは、稀有な【加護無し】の中でも、例を見ない“男” であるのだ。
「それは、知っている。」
「えっ!?」
驚愕に顔を歪める、アデル。
「どこから聞いたの、その話……。【加護無し】が女性からしか生まれないというのは、教皇猊下と私たち“四天王”でしか知らない“伝承”の一つよ!?」
「え、そ、そうだったの!?」
逆に驚愕するディールとユウネ。
ふぅ、とため息をつくアデル。
「隠し事は、無しだったよね。その理由は後で聞かせてもらうわ。まずここまでの話しを整理。【加護無し】は女性しか生まれない、“マレニア村”で豹変したのは、パメラという【加護無し】の女。」
頷くディールとユウネ。
「もう一つ例があるのよ。ソエリス帝国の南端にある“バズラット”と呼ばれる遊牧民族の村があるんだけど、そこでも【加護無し】の女が誕生し、3年前に姿を消したの。」
驚愕する事実。
敵対するソエリス帝国でも【加護無し】が誕生し、その女が消えたとのことだ。
パメラも村人たちを虐殺して姿を消した話しと、繋がる。
「だけど、“バズラット”の人たちは全員無事よ。調査した神官の話しだと、確かにその【加護無し】の女は豹変……というか、何故か髪の色が鮮やかな金髪になり、人が変わったように振る舞ったとのことよ。」
アデルの話しを聞き入るディールとユウネ。
アデルは続ける。
「その女の名は“セーラ”。村人には危害を加えず、家族にも何も告げず忽然と姿を消したみたいなの。そう、パメラのように姿は消したけど、村人には一切手を出していないとの事よ。」
共通するのは。
【加護無し】の女。
鮮やかな“金髪”になった。
姿を、消した。
「ここからが本題よ。この2つの【加護無し】の例と、グレバディス教国に伝わる“伝承”。あと【聖者】の加護を持つアナタシス教皇猊下しか知らない話しを総合して、私たち“四天王” が導き出した結論。それは……。」
ゴクリ、とアデルは唾を飲み込み、意を決して伝える。
「“豹変”したのは、【加護無し】の女たちに“邪神”が乗り移ったから。それが私たちの結論よ。」
目を見開き、固まるディールとユウネ。
この世界で“邪神” とは、一柱のみ伝承がある。
“邪神ルシア”
この世界に【覚醒の魔法陣】を散りばめた張本人。
その理由は、【覚醒の魔法陣】を使って自らの眷属を生むため、と伝わる。
後に、“女神ロゼッタ”の手によって、人々が【覚醒の儀】を以て【加護】を得るための神聖かつ大切な【覚醒の魔法陣】へと浄化されたと伝わる。
「でも、姉さん……邪神は確か……。」
「そう、伝説では【加護】を得た人々によって打倒されたわ。“伝説”では。」
青ざめるアデル。
「いい、ディールとユウネ。もう一度確認するわよ。私が話すことはずっと心の中で留めておいて。二人で話し合うことも禁ずるわよ。」
「あ、あぁ…」
頷くディールとユウネ。
「世界が混乱に陥るから、公表されていないだけよ。邪神は、討ち滅ぼされていないわ。」
アデルの言葉に、目を見開くディールとユウネ。
実姉とはいえ、目の前の女性は、グレバディス教国の最高位神官“四天王” だ。
至高神である【神ルーナ】を称え、女神を祀り、世界中の【覚醒の儀】を執り行う世界最大・唯一の宗教であるグレバディス教国の、トップに位置する者。
その者から語られる事は、即ち“事実”
「今も虎視眈々と世界を混乱と破滅を齎そうと企んでいると考えられるのよ。邪神“共”は。」
「邪神……“共”!?」
顔を伏せるアデル。
その身体は、“恐怖”で震えている。
「歴代の【聖者】、つまり教皇猊下のみに伝わり、私たち“四天王” から絶対に口伝してはならない伝承にあるのよ。邪神は、“邪神ルシア”だけじゃない。いわゆる“眷属” と呼ばれているけど、“邪神ルシア”と同列の邪神が、あと“6柱”だと伝わるわ。」
絶句するディールとユウネ。
まさに“聞いてはならない”話しを、聞いてしまったからだ。
「その“6柱”の邪神の名は伝わっていない。ただ、教皇猊下のお話しと伝承を照らし合せて出した結論。それが……。」
アデルは、小声ながらもはっきりとした口調で告げる。
「“邪神”がこの世界に顕現するには【依代】と呼ばれるモノが必要と謂れがあるが、それが女の【加護無し】じゃないかってこと。【依代】……女の【加護無し】を遣い“邪神”は世界に顕現して混乱と破滅を齎す、ということよ。」
つまり、消えた“パメラ”とソエリス帝国で生まれた“セーラ”は、“邪神の依代”となった、という事である。
唖然とするディールとユウネ。
「伝承のとおり“邪神ルシア”はすでに倒されている。だけど、残り“6柱”もの“邪神”が、【加護】を授からなかった【依代】、【加護無し】を利用して、この世界に顕現する。その際、髪の色が“金髪”となり、精神が“邪神”に乗っ取られたため豹変するように見えるってことよ。」
「……それと、オレが“豹変”しないという理由は?」
震えるディールが、一番聞きたいことを尋ねる。
「アナタシス教皇猊下がおっしゃっていた事よ。“6柱の邪神”は、全て“女”。“邪神ルシア”のみ“男”だったということ。かつて女神様から賜った【加護】により“邪神ルシア”は討ち滅ぼしたが、残り女の“6柱”は姿を暗まして逃れた。その後、【依代】を遣って世界を裏から混乱と破滅を企てている。つまり……」
「“男”の【加護無し】であるオレは、【依代】にはなり得ない、と言うことか……。」
頷くアデル。
「グレバディス教国で奉る【至高神ルーナ】を中心とした、6柱の女神。そして【邪神ルシア】を中心とした、世間には公表されていない6柱の邪神。この“聖神7柱”と“邪神7柱”が、太古の昔より神々の代理戦争として、人間に授けた【加護】と、その隙間を縫って生み出された【依代】を遣ってこの世界を舞台に争っている、こういう結論に辿り着いたのよ。」
静まり返る、ディールとユウネ。
ディールが、“豹変”する可能性は“まずあり得ない”と言ったアデルの言葉は理解した。
だが、その理由を知るには、あまりにも盛大なものとなってしまった。
掻い摘んでしか聞いていなかったグレバディス教の伝承。
いや、本来、グレバディス教を信じる敬虔な司祭ですらその事を知らないだろう。
それは目の前の最高位神官“四天王”から語られた、世界を混乱に陥れる“危険な伝承”であった。
「で、でも。その話が本当なら……。善い神様がご健在で、6柱の女神様もいらっしゃる。中心であった“邪神ルシア”が亡き今なら、善き神様たちが有利なのでは……。」
思わず口にするユウネ。
しかし、アデルの表情は暗い。
「またまた内緒の話しね。6柱のうちの2柱の女神様。“エリアーデ様” と “グリヘッタ様”は、邪神の策略によって地中深くに封じられてしまっているとのことよ。」
絶句するディールとユウネ。
「実質、5対6という事。しかも、女神様達は人間に【加護】を始めとするいくつかの祝福を与えたため、この世界に顕現するためには“自らの肉体”が必要であるとのことよ。【依代】を遣って顕現する邪神共とは違い、その力を十全に揮えない……というのがアナタシス教皇猊下のお話しなの。」
「だから……人間の【加護】と【依代】を利用した邪神共との、戦いなのか。」
ディールが呟く。
頷くアデル。
「その通りよ。そして先日までに発生した事件を考える……。」
「すでに“2柱”の“邪神”が、目覚めたということか!」
震えるアデル、そしてユウネ。
その名は、“パメラ” と “セーラ”
すでに“邪神”の【依代】として覚醒してしまった、哀れな娘達だ。
「お義姉さん。もしかして、グラバディス教国が【加護無し】を、の理由って……。」
口を両手で押さえながら尋ねるユウネ。
「そうよ。“邪神”の顕現を阻止するため、教皇猊下が40年程かけて少しずつその教義を広めたの。もちろんその理由は、教皇猊下のみが口伝で受け継ぐ伝承の内容だから、あくまで自然に、そして少し捻じ曲げ、あたかも事実かのように浸透させていったみたいよ。」
驚愕の事実であった。
【加護無し】排除の元凶は、教皇であったのだ。
「ただ、結果的に見れば“間に合わなかった”けどね。でも、まだ浸透しきる前のおかげかで、ディールはギリギリ命を繋げたのかもしれない。」
俯くアデル。
そうだ。
もしその“教義”が“常識”になっていたら、恐らくナルも村長も助けてくれなかったかもしれない。
震えるディール。
そのディールの手をしっかりと握り、目に涙を溜めるユウネ。
アデルは話しを続ける。
「私や他の“四天王”に与えられた教皇猊下のご命令よ。“【依代】の行方を調べよ”。私も色んな神官の皆さんのご協力を得て調査しているけど、手がかりは無し。もしかすると、連合軍が何か情報を得ているかと思って、ソリドール公爵国先代国王で連合軍先代“総統”であったマルゼン様の御葬儀と合わせて、【雷の神子】レナ様と共に、フォーミッドへ訪れたら……。貴方の顛末を知ることとなったの。」
伏せるアデル。
その目から、涙。
「姉さん……オレはこうして無事だ。それに、ありがとう。オレが“豹変”することが、まず無いっていう事を知れて……本当に嬉しいよ。」
だが、アデルはその涙が止まらない。
「もう、一つ。ディールに話さなくちゃいけないことが、あるの。」
「な、なんだい。姉さん。」
涙で顔を濡らし、ディールを見るアデル。
「私が……、ディールの顛末を知ったのは、兄さんに会いに行ったから、なの。」
「兄さん! 元気にしていた!?」
笑顔になるディール。
ディールの7つ上の兄【剣聖】ゴードン。
連合軍の将軍である“十二将”に名を連ねる、自慢の兄だ。
だが、泣きじゃくるアデルの様子で、兄に何かあったと理解する、ディール。
声を震わせながら尋ねる。
「姉さん……。兄、さんは?」
「……4ヶ月前に、連合軍と帝国軍で大きな衝突があったの。そこに将軍として戦地に立った兄さんは……敵の刃で致命傷を受け、命は繋いだものの、今も、目を覚まさないの、よ……。」
『ガチャンッ』
思わず立ち上がった衝撃により、テーブルの上の紅茶のカップが倒れる。
滴る、紅茶。
震える、ディール。
隣でユウネも両手で口を押さえ、涙を流す。
「うそ……だろ……、兄さん、が? だって、兄さん、は……。」
「本当のことよ、ディール……。兄さんが倒れたって事で、私は、兄さんの奥さんと会って、ナルちゃんとも、会って、そして貴方のことを知った……の。」
号泣するアデル。
信じられず、全身を震わすディール。
嘘だろ?
あんなに強く、凄い兄さんが?
敵の刃に?
「兄さんを刺したのは、帝国軍大将団“十傑衆”の、“金髪の女” らしいの。」
“金髪”
嫌な、予感がする。
「……十傑衆の女性は、2人だけ。2位アーシェ・ラナトリアと、【風の神子】10位アメリア・ラナトリアの姉妹。どちらも、鮮やかな青髪と聞くわ。だけど、“邪神” は恐らくその髪の色を自在に出来る可能性がある。つまり。」
震えるディールと、ユウネ。
先程聞いた話と“符号”してならない。
「私も、そう思う。兄さんを刺したのは、【依代】、つまり“邪神”じゃないかしら。【風の神子】は【依代】にはなり得ない。つまり……。」
「アーシェ……ラナトリア!!」
顔を伏せて頷くアデル。
「グレバディス教国では、連合軍“十二将”と帝国軍“十傑衆”、それこそ世界中の人々の【加護】の情報があるわ。何故なら【加護】の儀式をするのが、グレバディス教国の司祭だけだから。そして……。」
涙を拭き、アデルは伝える。
「唯一、【加護】が不明な“十傑衆”がいるの。それが、2位アーシェよ。」
姉アデルの口から伝えられる、兄ゴードンの“敵”
そして、その女は“邪神”の【依代】である可能性が、高い。
「この情報は、今のところ私しか掴んでいないと思う。そして、これが意味することはもう一つ……。」
「け、顕現した“邪神”は……3柱!?」
ユウネが口を押さえながら言う。
アデルは静かに頷く。
「ジワジワと、でも確実に。世界は混乱と破滅へ向かっている気がするの。恐らく、連合軍と帝国軍の衝突も、“邪神”が関わっているのかもしれない。教皇猊下はこうもおっしゃっていたわ。“邪神は人に溶け込むのが巧い。人を唆し、操り、かき乱す” とね。」
静まり返る3人。
意を決して、アデルが伝える。
「ディール、貴方が生きていた今、私の憂いは兄さんの事だけとなった。私は兄さんをグレバディス教国で最高の治癒士である【土の神子】サリア様に診てもらうため、兄さんをグレバディス教国へお連れする。そのために、まずはフォーミッドへ行き、兄さんの奥さんである“テレジさん”の了解を得なければならない。」
「……さっき、聞き洩らしたんだけど、兄さんに、奥さん!?」
今更驚くディール。
呆れるように頷くアデル。
「その件は私も驚いたわ。詳しいことはフォーミッドで確認しましょう。そして、ディール、貴方は“総統”マリィ・フォン・ソリドール閣下にお会いしなければならないのでは?」
「ど、どうしてそれを……。」
「ご本人から聞いたわ。きっと、これから貴方から教えてもらえる話しだと思うけど、“風の龍神様”よね?」
驚愕するディールとユウネ。
そう、師匠たる【金剛龍ガンテツ】から聞いた話しのとおりだ。
目の前の姉アデルは、総統マリィからその話しを聞いていたとは!
「話しを進めるね。まずは私も一緒にフォーミッドへ行き、貴方と一緒にテレジさんと総統閣下とお会いします。そして……一緒に、グレバディス教国へ来てはもらえないかしら?」
真っ直ぐディールとユウネを見つめるアデル。
頷く、ディールとユウネ。
「もちろんだよ、姉さん。」
「お伴します、お義姉さん。」
笑顔になるアデル。
「ありがとう。ディール、そしてユウネ。」
「さぁ、私の話しはだいたい以上よ。次はディールと、ユウネね。色々教えてね?」
「ああ。まずは、“こいつ”を紹介しなければな。」
アデルと、ディール、ユウネの会話を聞きながら、驚き、叫んでいた、紅い魔剣。
ディールは腰の剣帯から魔剣“ホムラ”を取り出し、空いていた椅子の上にソッと置いた。
そして、告げる。
「今まで我慢してくれていてありがとう。もういいぞ、ホムラ。」




