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第6話

彼女の顔は急に青ざめた。



「そう、それがどうかしたの」



「木田さんと言い合いになったんだ」と彼が言った。



「それが何なの?私には関係ないでしょ」と彼女は言った。



「それが・・メールの件でね。僕に送ってくれるメールがどこか不自然だった」



恵美は傘を下げ、苦しい表情を隠した。



「木田さん、白状したよ。メール、自分が書いたんじゃないって」と彼が言った。



「それがどうかしたの?あなたと彼女との事でしょ」と彼女は言った。いつしか声が震えていた。



「木田さんは友達に頼んだと言っていた」と彼が言った。



「そう」と彼女は言った。



彼は言葉を飲み込んだ。そして・・



「その友達って、君じゃないか?」と彼は静かに言った。



「ばか言わないで」と彼女は言うと、再び地下鉄に向かって歩きだした。



彼女は泣いていた。



「待って、待てよ」



彼は走って来ると、彼女の前に立った。



「これ、この間、君のバックから落ちたものだ」



彼は背広の内ポケットから、1枚のチケットを取り出した。



彼女は声を失った。



カミーユ・クローデルの美術展のチケットだった。



「これだけは返さないで、ずっと持っていた」と彼が言った。



「メールに書いていたよね。カミーユ・クローデルのこと・・」



雨が強くなっていた。



二人は雨の中で、お互いを感じていた。



「本当のことを言ってほしい・・」



彼女の中から気持ちがあふれ出てきた。彼への想いが・・



彼女の唇が自然に動いた。



「そう・・私が書いたの。自分の本当の気持ちを・・」



彼女は、やっと素直に話すことができた。



もう、それだけでいい。



彼は彼女を見た。涙にぬれたその顔を



「恵美、ありがとう。さがしていた君をみつけることができた」と彼が言った。







                              完








































































































































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