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ブラックブレイド  作者: 冴木高
PR
1/11

アーサープロトコル

ブラックブレイド1 アーサープロトコル





アーサー王物語というものがある。


それはアーサー王を中心とする騎士道物語群である。





石の台より剣を引き抜いたアーサーは王になった。


そして、今、新たな王が生まれる。





ガタゴトと振動がする。


「ん……」


ああ。バスの中か。


俺の名前はクロウ・リアス。


外国人の名前のようだが、れっきとした日本人だ。


両親の顔を俺は知らない。


三、四歳の赤ん坊の頃、リアス家の軒先に捨てられていた。


それをリアス家に引き取られたのだ。


そして今、


「このように、アーサー王はブリテンの王になったのです」


アーサー王の遺跡巡りをしているのだ。


「ん……」


バスが停車する。


次の遺跡についたようだ。


ガイドの説明によると、ここは最も古く発掘された遺跡らしい。


遺跡の中に入ると、七つの石の台があった。


それ以外には何もない。


まったく何もない。


ガイドの説明では、七つの剣が最初刺さっていたのだが、六つの剣はすでに抜かれているらしい。


「あの、七つ目の剣は抜けなかったんですか?」


質問する。


それに対する答えはガイドが示してくれた。


ガイドが刺さっている剣を引き抜こうとする。


しかし微動だにしない。


「こうです。最後の剣だけは誰も引き抜けなかったのです」


「俺も引き抜いていいですか?」


どうぞ。


ガイドはあっさりと譲る。


石の台に登る。


剣の柄を握る。


『……あなた…………が……です』


誰かが囁く。


それは一瞬で、よく聞き取れなかった。


「……」


剣を握る手に力を込める。


「アーサーは石の台から剣を引き抜いて王となった……」


俺は、剣を引き抜いて何か変わるのか?


「まあ、引き抜いてからの話か……」


剣をゆっくりと引き抜く。


「え……」


ガイドが驚く。


数ミリ引き抜いてから剣を一気に引き抜いた。


「これが……剣?」


柄だけしかない。


刀身がないのだ。


しかし、石の台には刀身があったような穴がある。


一体、どうなっているんだ。





ブラックブレイド2





あの後、俺は突然現れた黒服の男たちによって拉致された。


そして、引き抜いた剣についていろいろ知らされた。


「この剣はランスロット卿の剣?」


はい。


と、目の前の少女は答える。


見た目は16歳ほどだろうか?


漆黒のゴスロリ服を着ている。


そして、それに似合うようなツインテールの髪型だ。


そして、外見に似合わないハスキーボイスで言った。


「アーサー王と円卓の騎士の剣が封印された遺跡。普段なら入ることは出来ないのですが……何かの手違いで入ってしまったようですね」


確かに、あの時ガイド以外に人は俺しか居なかった。


てっきり、トイレに行ってるのかと思ったが、違うようだ。


「ガイドが、ヤツはどこ行った?」


少女は『はて?』という顔をした。


「ガイド? あなたをお連れした時、誰も居ませんでしたよ」


どうやら、本当に知らないらしい。


「あなたの名前は?」


「私ですか。リスカ・ペティリオーネ。この組織、バベルのリーダーです」


バベルについて説明を受ける。


簡単に言えば、世界を守る秘密裏な組織らしい。


日本にも支部があるらしい。


また、剣はそれ一つで世界のバランスを崩すらしい。


俺が引き抜いたことでこの剣は俺の物らしいが、危険なため監視されるらしい。


らしいだらけだが、仕方ない。


昨日まで普通の学生だったのだ。


それが急に世界を左右する力を手にしたと言われたのだ。


「あの……」


「クロウ・リアス」


急に本名を呼ばれ、ビクッとする。


「はい」


「私のお願いを聞いてくれますか?」





ブラックブレイド3





九郎くろう……九郎……」


名前を呼ばれる。


何度も、何度も。


「……なに?」


朝。


自室のベッドの上。


金髪の女の子が俺の身体を揺すっていた。


鮮やかな金髪。


蒼い目。


柔らかそうな肌。


……え!?


「九郎……九郎リアス」


二、三分考える。


「…………誰?」


誰だ?


幼馴染みでもなく。


母親でもなく。


女の子は応える。


「わたし。わたしはシルヴィア」


シルヴィア?


外国人か?


「だから、誰?」


「第二王権者。シルヴィア・ロウ」


「シルヴィア……ロウ……」


ダメだ。


頭が働かない。


何がどうなっている?


「第七王権者。九郎リアス。わたしと協力して世界各地の偉人が残した遺品を探して欲しいの」





ブラックブレイド4





女の子、シルヴィア・ロウに連れてこられたのはなんとカスピ海だった。


その中でも地図に載っていない島に、半ば強引に連れてこられたのだ。


「剣は、持ってきたよね?」


ロウに言われ、リュックサックから剣を取り出す。


「うわー、やっぱり刀身がないって本当だったんだ」


露骨に引かれる。


なんか、馬鹿にされている気分になる。


「第七王権者ってなんだよ?」


聞く。


「第一王権者。アーサー王の末えいであるルーク・ペンドラゴンを頂点とした七人の王様のことよ」


「へぇ~」


「順位は剣を引き抜いた順。あなたが最後だから第七王権者ってこと」


「分かった。で、俺は何をすればいいんだ?」


「疑問も持たず王様に手を貸すなんて、案外度胸があるのね」


「褒めているのか?」


「王権者は自分や他の王権者の剣に触れている間は超人的な力を発揮出来る」


「それは聞いたよ。バベルのリスカから」


「そう、じゃあ剣を握ってて」


「は?」


途端に地面が割れる。


現れたのは全長10メートルの巨大なゴーレムだった。


「剣を貸すわ!」


ロウからポイッと長剣が投げられる。


「おっと」


片手で受け取る。


確かに、剣に触れているからなのか、長剣が紙で出来ているかのように軽く感じる。


「ゴーレムは頭にあるルーン文字が弱点よ。壊して!」


「おう!」


長剣を持ち、ゴーレムに迫る。


「……」


ゴーレムから繰り出されるパンチを避け、腕に飛び乗る。


そして、そのままゴーレムの頭まで走る。


「終わりだ!」


顔のルーン文字を長剣で叩き壊した。


「ふぅ……」


「お疲れ様」


「ロウ。見てないで助けてくれよ」


「いやいや、第七王権者の実力を見たかったのよ」


「そうかい」


「さあ、奥に行きましょう」


ゴーレムが現れた場所の奥には結婚式場みたいな場所があった。


「結婚式場か?」


「みたいね」


奥に進む。


「あれ、なんか光っているぞ」


「え?」


奥のステンドグラスに光る何か小さなものがはまっていた。


「これは……」


ロウが触ろうとする。


が、


「痛っ!?」


バチっと音を立てて拒絶される。


「まさか……」


俺が触る。


拒絶は、されない。


「結婚式場なら」


俺は光る指輪を抜き取り、ロウの指にはめた。


「なんで?」


「婚約の証だから、かな?」


男しか抜けず、女しか付けれない。


愛の証。


後ろから声がした。


「遅かったか」








ブラックブレイド5





「遅かったか」


後ろから声がした。


振り返ると、スキンヘッドの黒人がいた。


「第六王権者のボイドだ。よろしくな。第七王権者、九郎リアス」


「よろしく」


ボイドの右手には鎖が巻きついている。


鎖の先は大剣に繋がっていた。


「ん、これか?」


ボイドは語る。


「パーシヴァル卿の大剣だ。能力は使用者の力を極限まで高める」


能力?


そんなものあるのか?


「第七王権者。刀身なしの出来損ない。その火除けの指輪を賭けて俺と勝負しろ」


この指輪は火除けの指輪なのか。


そう考えて、分かった。


そう言いかけたが、ロウに手で制される。


「第七王権者はわたしの味方だ。そして、火除けの指輪はわたしのものだ。だから、わたしが相手をしよう」


スラリと、剣を抜く。


「ガウェイン卿のレイピアか……」


「そうだ」


ロウが動いた。


人間離れした速度でボイドに迫る。


しかし、


「パワーならこっちが上だ」


ボイドが大剣を一振りする。


大剣による衝撃波で一瞬動きが止まったロウに容赦なくボイドは大剣を叩きつけた。


パリンッ!


レイピアが、折れた。


「九郎! しばらく戦っていてくれ!」


「分かった!」


右手に剣を。


左手に長剣を持ち、ボイドとの間合いをはかる。


「お嬢ちゃんは負けたんだぜ。お前もさっさと降参しろよ」


策ならある。


だが、可能なのか?


いや、やるしかない。


「こっちだ! ついてこい!」


外へ出る。


「待ちやがれ!」


ボイドもついてきた。


「さあ、勝負だ」


長剣で地面をなぞる。


「行くぞ!」


ボイドの大剣が迫る!


「くっ……」


長剣でガードしながら、反動で地面に長剣をぶつける。


あと少し。


「おいおい、防戦一方かよ?!」


ボイドの大剣をガードする度、長剣がひび割れていく。


だが、後は一撃だけ持てばいい。


「終わりだ!」


大剣と長剣がぶつかり合い、長剣が壊れた。


だが、


「……」


「な、ゴーレムだと!?」


さっきから地面、つまりゴーレムが倒れた場所にいたのだ。


そして、長剣で破壊した部分のルーン文字を彫ったのだ。


「まさか!? そこまで考えて!?」


「ああ、そうだよ」


ゴーレムはボイドと僕を敵と認識し、攻撃を仕掛けてきた。


「くっ!?」


ゴーレムのパンチを大剣でガードしたボイドに向かって走る。


「吹っ飛びやがれ!」


剣を握りしめる。


そして、左手の拳でボイドを殴った。


ボイドは気絶した。


「あ……」


ボイドを倒してからのことを考えていなかった。


「はぁあああ!」


ゴーレムのルーン文字が切り裂かれる。


「なんで……?」


ロウだった。


指に火除けの指輪を身に付け、レイピアでルーン文字を切り裂いたのだ。


「レイピアは折れたはずじゃあ……?」


「わたしのレイピアの能力は


自己修復。折れたり刃こぼれしても自然に治る」


「なんだよ。そんなのアリかよ」


ロウは無情にも言った。


「さあ、次行きましょう」


「え~!?」








ブラックブレイド6





今度はエジプトらしい。


狙いは死者を操る『死者の書』という本らしい。


で、


「なぜ、ここにいるのかしら?」


ロウは目の前にいる白髪の美少年に向かって言った。


「第一王権者。ルーク・ペンドラゴン」


ルークは手にした本をパタンと閉じた。


「死者の書はこれだよ。そして、僕は君たちと戦う気はない」


「戦う気はない?」


リスカからのお願いを思い出す。


「第一王権者にこれ以上力を持たせないで下さい」


そして、


「死なないで下さい」





「九郎リアス。君はロウのお気に入りらしいが、非常に不快だ。視界から消えてくれ」


「なんだと!」


「はぁ……」


ルークは鞘に収まった剣を取り出す。


「エクスカリバー。唯一鞘と剣が同時に存在する聖剣。鞘はあらゆる傷を癒し、剣はあらゆるものを切り裂く」


「だから何だよ」


「君は僕に勝てない」


ランスロット卿の剣を握る。


そして、左手でもってきた長剣を握る。


「はぁあああ!」


突撃する。


愚直に、真っ直ぐに。


だが、


「ぐはぁあああ!?」


一瞬で胸を刺し貫かれる。


血が噴き出す。


意識が朦朧もうろうとする。


くそったれ。


死ぬのか?


こんなところで?


「シルヴィア・ロウ。彼を助けたくば僕と結婚しろ」


何を、言ってやがる。


「ロウ。君は美しい。だから僕にこそ相応しい」


「……」


ロウ!


行くな!


「……分かった」


「素直でいいね」


ルークは鞘を俺の胸に当てる。


失った血が戻り、傷が癒えるのが分かった。


「さあ、行こうか」


「……うん」


ロウはレイピアを俺の目の前に刺し、ルークと共に去って行った。





「おい、大丈夫か?」


見覚えのあるスキンヘッドの黒人に起こされる。


「……ボイド?」


「何があった? なぜロウのレイピアがある?」


俺はボイドに全てを話した。


「そうか。災難だったな」


「俺は、ロウを守れなかった。逆にロウに守られた。男として最低だ」


「なら、どうする?」


……


分かっている。


第一王権者。ルーク・ペンドラゴンが反則的に強いことくらい。


でも、ここで逃げたら一生後悔する。


「ロウを、救いたい……」


「なら、俺も手伝ってやるよ」


「ボイド……何故だ?」


「リスカにお願いされたのはお前だけじゃないってことだよ」


「そうか」


「時間がない。本当はあいつにも手伝ってもらいたかったが仕方ない。二人だけでルークを倒すぞ」


「分かった」


俺はレイピアを手に一歩を踏み出した。





ブラックブレイド7





イギリス。


結婚式場。


「綺麗だよ。ロウ」


「……」


「第二王権者。シルヴィア・ロウらしくないな」


「……」


結婚式場の席には骸骨たちが座っている。


死者の書によって安眠を妨げられた死者たち。


「……外道」


「僕は騎士道精神を重んじる男だよ。アーサー王のようにね」


「……」


式は進んでいく。


「……」


助けて……。


そう、ロウが思った瞬間。


バ、バババン!


爆発音が連続で起き、結婚式場が崩壊する。


「な……」


「助けに来たぞ。ロウ!」


「九郎!」


「ちっ、雑魚が!? 何しに来た。死に損ないが!」


「爆発物を仕掛けて注意を俺に逸らし、ボイドがロウを助け出す」


ボイドがロウをお姫様抱っこで奪い取った。


レイピアを渡す。


「な!?」


ロウはレイピアを手にして、俺の近くに移動した。


「死者よ!」


骸骨共が動き出す。


だが、


「はははは!」


ボイドが大剣で骸骨を次々に壊していく。


「くそっ!」


ルークが剣を抜く。


カキンッ!


ルークとロウの剣がぶつかり合う。


だが、圧倒的にルークが強い。


ボイドが叫ぶ。


「九郎! ルークまでの道は俺が作ってやる。殴れ!」


「おう!」


骸骨たちの間を走る。


もう迷わない。


俺は……


「ロウ。弱いな。だが、か弱い乙女は好きだよ」


「くそっ!」


「ルーク!」


俺はルークに接近すると、殴ろうとする。


しかし、ルークに避けられる。


「九郎!」


ロウがレイピアでルークを切ろうとする。


だが、ルークはかわした。


ロウがつぶやいた。


「勝てない……」


「いや、まだだ!」


「じゃあ、ゆっくり絶望を味合わせてあげるよ」


ルークが突進してくる。


とっさに避ける。


その先には!


ボイドがいた。


「ボイド! 避けろ!」


鮮血が舞った。


「ボイド……」


ボイドは死にかけている。


「次は君だよ。九郎リアス」


「くっ!?」


死にたくない!


まだ、負けたくない!


生きていたい!


死ぬのは、怖い。


『本当にそうかよ』


「ああ、怖いさ。恐ろしいさ」


『なら、なんで逃げなかった』


「逃げたら、きっと一生後悔するから」


『自分に正直になれよ』


「そうか、俺は……」


「何をごちゃごちゃしゃべっている」


ルークの剣が迫る。


そして、切られた。


「……」








ブラックブレイド8





ロウが泣いた。


「うわぁあああん! 九郎! 九郎! 九郎!」


「ロウ。今度は彼を助けないよ。また結婚式の邪魔されたらいやだからね」


「……大丈夫だ」


俺は立った。


「傷は浅いか」


俺は、死ぬのが怖い。


けれど、もっと怖いことがある。


それは、


「好きな子が泣くことだ」


「九郎……」


ロウと出会ったのは数日前で、まだ何も知らないけど、でも……


「ロウ。俺は君が好きだ」


「……九郎」


だから、負けない。


負けられない。


「王権者最強の僕にどうやって勝つつもりだい?」


確かに、勝算はない。


だが、


「無茶を押し通すのが俺、九郎リアスだ!」


「くだらない。死ね」


剣が肩に刺さる。


「ぐ……」


「お前みたいなのは嫌いなんだよ」


剣で肉がえぐられる。


「ぐぁあああ!」


「もうやめて! わたしなら結婚でもなんでもするから!」


「やめないよ」


「……そうだな」


俺は立つ。


「俺は今まで死ぬのが怖かった」


「ん?」


ルークが首を傾げる。


「だが、好きな女の子が泣く方がもっと嫌だ!」


ルークが剣で俺の剣を飛ばす。


剣はロウの足元へと落ちた。


「九郎……わたしは……」


「ロウ! お前がなんと言おうと俺はお前が好きだ。だから、戦う!」


ロウはうつむいた。


「わたし……九郎のこと。好きになっていいの?」


「ああ」


「いっぱい迷惑をかけるよ。危険な目にもあうよ」


「ああ」


「それでも、わたしが好き?」


「ああ、大好きだ」


出会ったのはきっと偶然で、この気持ちはきっと必然なんだ。


数日しか一緒にいなかったけれど、でも、その数日で俺は変われた。


ロウが泣く。


「わたしも、九郎のことが……好き」


涙が俺の剣に落ちた。


と、


剣の柄から紅蓮の炎が溢れ出す。


「え……」


ルークの剣が抜ける。


急いでロウの元に駆け寄った。


「これは、一体……」


ルークが忌々しげに言った。


「魔剣。まさか実在するなんて……」


ロウと二人で剣、いや魔剣を持つ。


『我、魔を断つつるぎ。ランスロットの剣にして破壊の化身けしん


「我、魔を断つ剣……」


ロウがつぶやく。


それに合わせて俺も言った。


「ランスロットの剣にして破壊の化身」


「正しき怒りを胸に」


「我は今、悪をめっする」








ブラックブレイド9





紅蓮の炎は四方八方へ広がる。


だが、俺たちが焼きつくされていないのは、ロウの火除けの指輪のおかげだ。


バリアのように俺たちを守っている。


「ルーク。お前を倒す」


「やってみろ!」


紅蓮の剣とエクスカリバーがぶつかり合う。


「まだだ。まだ、いける」


炎の威力が上がる。


「ぐっ……」


エクスカリバーが押されている。


「舐めるな!」


押し返される。


「このままだと、ヤバいな」


このままだと、肩からの出血多量で死ぬ。





「はっ!?」


ここはどこだ?


一面真っ黒な世界に俺はいた。


そこには、仮面を付けた俺がいた。


「誰だ?」


「お前だよ」


「何の用だ?」


「まだ、負けたくないんだろ?」


「ああ」


「だったら俺様の力を貸してやる」


もう一人の俺は仮面を外した。


「使え」





「九郎!」


「はっ?!」


今のは夢か?


だが、手には仮面がある。


賭けるしか、ない。


俺は仮面を付けた。


「ぐぁああ!」


意識が黒で塗り潰される。


そして、


「……」


「九郎?」


炎の色が変わる。


全てを飲み込む、漆黒の炎に。


「……なんだ?」


ルークが首を傾げる。


炎はだんだんと小さくなり、剣の形になった。


九郎が無造作に放った黒い炎の一撃。


ルークはエクスカリバーでガードする。


が、


パキッ!


「エクスカリバーが、折れた!?」


王権者最強の、アーサー王の聖剣が折れたのだ。


「何なんだ!? 黒い魔剣なんて聞いたことないぞ!?」


「……剣に封印されし、我が名は旧支配者……アーガス」


旧支配者?


ルークは考える。


そして、結論に至った。


「まさか! クトゥルー神話の古の神か?」


「……」


クトゥルー神話とは現代に作られた神話であり、巨大な力を持つ古の神が眠りから目覚めれば、人間にはどうしようも出来ないことを意味する神話でもある。


「……燃え散れ」


炎の斬撃が飛ぶ。


「くっ!?」


剣で防ぐ。


ミシリ。


「やはり力の差がありすぎる」


ルークが死を覚悟した瞬間。


パリンッ!


九郎の顔を覆っていた仮面が割れた。


炎は紅蓮に戻り、徐々に小さくなっていく。


「助かった。のか?」


ロウがルークにレイピアを突きつける。


「鞘を出しなさい。ルーク」


「負けた。降参だよ」


ルークは鞘を放り投げる。


ロウは受け取り、ボイドと九郎に当てた。


二人の傷が癒えていく。


「九郎リアス。化け物だな」


ルークがつぶやいた。


「いえ」


ロウは否定する。


「ただの王様よ」

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