温と郁のボディスキャン
それぞれの基地で変身前と変身後の検査をすることになりました。
「初めまして、中野郁くん。私はIPWAのヒルデガルトです。変身すると美少女戦士になるということなので、こちらで調査することになりました。日野温さんはWEECに行ってもらっています。」
「中野です。よろしくお願いします。」
「まず身体検査をします。変身前と変身後、両方の身体をスキャンして、何が起こっているのかを調べます。よろしいですね?」
「はい。」
「では検査室へ行きましょう。医療スタッフと技術スタッフがいます。指示に従ってください。」
「了解しました。」
「では変身前のボディスキャンをします。この錠剤を飲んで、アイソレータードームに入り、アイシールドを付けて仰向けに寝そべってください。」
「はい、OKです。では次に、変身した状態でスキャンします。変身してから今と同じ要領でアイソレータードームに入ってください。」
「はい、これでスキャンは完了です。結果をお知らせします。あなたは変身後は完全に別人です。変身前の身体データは何一つ変身後の身体からは検出されません。血液型も遺伝子データも何一つ。性別ももちろん女性です。」
「だけど、俺の意識は...」
「そうです、意識だけが別の身体にダイブしている。マインドトランスファー....とも違うか...ボディスワップ?まあ、名前は良いでしょう。変身すると完全に美少女戦士ビブリアになるようです。」
「どうすれば良いでしょう?」
「しばらくは経過観察ですね。今はそれしかできません。」
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「初めまして、WEECのイリーナ・イオネスコです。検査にご協力していただきありがとうございます、日野温さん。」
「初めまして。ナイス・トゥー・ミート・ユー、イリーナさん。」
「中野郁くんもIPWAで検査していると思いますが、あなたにもボディスキャンを受けてもらいます。検査室へ行きましょう。」
「はい、よろしくお願いします。」
「では、検査着に着替えて、あのアイソレータードームに入ってください。中にアイシールドがあるので、目を保護するため装着してください。」
「ふむ、何の異常もない健康な若い女性です。健康診断、1回パスしても大丈夫ですよ。文句のつけようがない健康体ですから。では次に、変身後を調べます。メタリックな改造人間になるので、ここの設備では調べられません。技術部の検査室へ移動します。」
「了解しました。では変身します。Verwandle mich!」
「ふむ、なるほど。結果が出ました。お伝えします。変身後の身体からあなたの身体データは何一つ検出されませんでした。我々が知る中野郁の身体データとすべて一致します。つまり、変身中は、意識は日野温、身体はヒーローの中野郁です。ボディスワップですね。」
「スワップって交換という意味ですよね。受験用単語帳に書いてありました。でも、郁さんがビブリアに変身しているときでも、日常の私が消えることはないし、私が改造人間に変身しているときも郁さんは日常の郁さんとして存在しています。」
「そうですね。そうなるとスワップと呼ぶのも間違っているかもしれません。呼び名はともかく、現象としては、あなたは日野温としての意識を保持したままで中野郁の改造人間として戦闘しているということです。」
「私が戦闘に敗れて死ぬと郁さんはどうなるのですか?」
「まったくわかりません。なので、負けないように気を付けてください。」
「そんなあ。だって改造人間の初心者なんですよ。バーニアも使ったことがないし、武器もないし。」
「美少女戦士ビブリアのとき、武器は使ってたのですか?」
「はい、光線技を使えるロッドとミスリルの剣ブラウリヒトが使えました。」
「なるほど。バーニア制御は訓練してもらうとして、武器は考えておきましょう。何か希望はありますか?」
「近接戦闘用のソードと遠隔用のガンです。」
「見た目によらず好戦的なんですね。」
「攻撃は最大の防御ですから。」
「郁くんより性格が改造人間に向いているかも知れないわね。」
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「それでは訓練を開始します。先生役としてヴァイオレットに来てもらいました。」
「よろしくね、ビブリア。」
「ちょっと!変身前のこの身体のときにその名前で呼ばないでください!」
「ふふふ、ごめんね、郁くん。」
「両名、テストフィールドで変身してください。」
「ではビブリア、基本情報を確認しておきます。身体能力は15倍、飛行時間は15秒、ただし郁くんの身体能力ではなくて温ちゃんの身体能力がベースなので気を付けて....と言ってもあまり関係ないかな。どうせ変身中の身体能力は画期的に上昇しているから。武器の取り出し方だけど、ロッドは”Kristalstab herausnehmen!” あ、自分のが出ちゃった。まあいいか。郁くん、ドイツ語履修してるよね?」
「はい。召喚はherausnehmenで、収納はaufbewahren ですね。」
「そうよ。ではロッドを出してみて。」
「クリスタルシュタープ、ヘラウスネーメン!」
「出なかったわね。ドイツ語の発音が悪いと反応しないの。シラブル(音節)を意識して。Kristalstabは3音節よ。文字の数に惑わされないで。herausnehmen は4音節。」
「Kristalstab herausnehmen!」
3~4回のトライ&エラーの末にロッドが出現した。
「良いわ。では光線技を3種類教えます。あ、その前にロッドを収納して。出たままだと発動しちゃうから。…… まず基本のクリスタルシュトラールからね。これも発音のシラブルを意識しないと発動しません。カタカナにすると長いけれど、ドイツ語としてはたったの3音節よ。あのシミュラントに向けて撃ってみます....Kristalstrahl!」
まぶしい光線を受けてシミュラントは塵となって消えた。
「すごい。」
「威力は抜群なの。だけど気を付けて。新仕様になってから連射も可能になったけれど、5発しか撃てません。乱用はできないの。次は電撃系のKristalstrom と Kristalblitz ね。これも同じで5回で打ち止め。シュトロームは多数の敵の動きを封じるのに使い、電撃で撃破するときはブリッツ。」
「わかりました。」
「では訓練を開始するわね。敵も攻撃を仕掛けてくるので回避してね。もし負傷したらheilen ですぐに治療、良いわね?」
「了解です。」
「では敵を動かします。Simulanten aktivieren!」
温ちゃん版改造人間の武器はどんなものになるのでしょう?そして愛機は?




