指名手配?
エアルは宿のベットの上で朝日を浴びながら目を覚ます、あの騒動の後宿を探すのに一苦労してやっと宿を見つけたと思ったらもう食堂が閉まっており、外に出る気力が無かったのでもう何も食べずにそのまま寝てしまったのでお腹がなる。
「お腹すいたなぁ」
ベットから起き上がり食堂に降りるとまだ準備中の札がかかっており仕方なく街に出歩く事にした、そういえば昨日の荒くれ大丈夫だったのかな?そんなことを考えながら街を散策し風景を楽しんでいた、ヴェイリンは街中に水路が通っており綺麗な水の音が心地よく涼しい風が肌を過ぎる、太陽も温かく心地のいい朝に僕は自然と立ち止まり目を閉じる。
「昨日はドタバタで気づかなかったけどいいなぁこの街」
1人呟き目を開けると目の前に開店準備をしている店が目に入る、何の匂いかはわからないが食欲をそそるいい匂いがしてまたお腹がなる、エアルは少し駆け足気味で近づき店主に尋ねる。
「あのぉ、これ何の匂いですか?1つもらいたいんですが」
エアルの声に気付き店主のおじさんは元気よく答える。
「おぉ、お客さんかい?こりぁ”トードの丸焼きだぜ”うち自慢のタレで味も抜群だぜ、ちょっと待ってくれよもう少しでできるからな」
店主の言葉に目を丸くする。
トードノ丸焼き!?それって美味しいの?うぅ怖くなってきた、やっぱり宿に帰ろうかな。
そんなことを考えていると店主が僕の顔を見て何か気付いたように言う。
「坊主、もしかして昨日酒場で暴れたって言ってた奴かい?」
「うっ」
僕は目を泳がせながらも必死に否定する。
「あっ、暴れたって、な、何のことですか?ぼ、ぼぼ、僕は知らないですね」
「へぇ、違うやつか」
動揺しきった僕に何かを察したようだったが、気を遣ってかはわからないが店主はそれ以上追求してこなかった、僕からもこれ以上広げたくないと思い話を変える。
「そ、そういえばこの街いい街ですね、水も綺麗ですし風も涼しくて心地いい!」
僕が周りを見渡しながらも元気に言って店主の方を見ると、少し下を向いたようにも見えたがそれでも気さくに返してくれる。
「あ、あぁ、そうだな、この街は恵まれてるよ、本当に、な」
何か含みのあるようにも感じた、僕が不思議そうにしていると店主はトードの丸焼きを僕に1つとって渡してくれた。
近くで見るとエグいなこれ、本当に丸焼きじゃないか美味しいのかな?
僕がおずおずとトードの丸焼きを眺めていると店主はやれやれと頭を抱えてある提案をしてくる。
「わかった、不味かったら金はとらねぇから食べてみろって、こんなにうめぇのに」
言いながらトードの丸焼きを1つ手に取るとそのまま大きな口を開けて頬張っていた、美味しそうに食べている店主を見て覚悟を決める。
「い、いただきます」
意を決し、目を瞑り大きく口を開けてトードの丸焼きを頬張るとかなりの美味しさに驚いて目を見開いてしまった、味は村で食べた鶏肉に似ているがこのかかっている特製のタレがトードの美味しさを完全に引き出しているのがわかった、そんな反応を見て店主がニヤニヤしているがそんなことも気にせずに最後までがっついて食べ終わる、店主は嬉しそうに僕に聞いてくる。
「美味かっただろ?まぁ、今回はお代はタダにしといてやる、でもその代わりまた買いに来てくれよ!」
「はい、美味しかったです!絶対また来ます!ありがとうございました!」
例を言い店を後にすると、よほど嬉しかったのかお土産用に3本ほど追加でくれた、悪いと断ったのだが店主さんなかなかの頑固なのかなかなか折れずに結局もらう事にした、だいぶ良くしもらったのでまた買いにこようと1人で決めてまた少し街の中を歩く事にした。
そういえば店主さん僕を見た途端に昨日の酒場の事件のことを出していたけど見て容姿はどうやって知ったんだろう、まさか指名手配とかされてないよね?大丈夫だよね?内心プルプル震えながらもそれを隠すように冷静を装いながら冒険者ギルドとの約束の時間までを潰そうと道草を食べながら歩いていると、昨日の酒場の近くに来ていたので少し顔を隠しながら様子を見て見ると酒場の前にデカデカと貼り紙がしてあったのが見えた。
「人探し、芦毛の髪に腰に剣を携えた10代の少年、見つけ次第連れてきてくれ?報酬金貨5枚!?」
大きな声が出るがそんなことも気にならないほどの額だった、何でこんなに僕のこと探しているんだろう?何これ怒られる奴なのかな?怖い、ここにいて見つかったら困るし取り敢えず逃げようか。
そのまま宿に向かって分目も振らずに走り出した。
少し時間が過ぎた頃、冒険者ギルドの受付にて。
「あのぉ、エアルくん、その格好どうしたの?」
外套についているフードを深く被り目だけを覆う程の小さな仮面をつけているエアルにレインは顔を引き攣らせながらも聞いていた、エアルはまわりをキョロキョロと見渡しながら言う。
「色々あって指名手配されてまして、今日はこれでお願いします、あっ、法に触れることはしてないので安心してください」
「えっ、まぁいいわ、取り敢えず手続きしましょうか」
「お願いします」
真面目に手続きをしようとしているレインの前でキョロキョロとしているエアルに少し苛立ちを見せながらもカードと紙を取り出して説明を始める。
「まずはこれを渡すね、これは冒険者カードと言って自分
の冒険者としての証明になるものなの、それには今の自分のレベルなんかも書いてあるよ」
冒険者カードを手に取り見ると、Lv2と右上の方に書いてあった、レベル2の冒険者ということだろう、自分の冒険者カードを見てやっと実感が湧いてくる、冒険者になったんだとそう思い興奮しているとレインさんがそんな僕を見てどこか嬉しそうに紙を差し出しながら説明を続けてくれる。
「はい、これは冒険者としてのイロハが書いてあるからしっかり読んで理解してね、嬉しいからってあんまり無茶したらダメだからね」
優しく忠告してくれたレインさんにエアルはフードを脱ぎ、仮面を外して満面の笑みで答える。
「はいっ!ありがとうレインさん、じゃあまたきますね!」
そんな素直な少年に驚きそんな純粋な心を見て感動したレインがそこにはいた、エアルが立ち去ろうとしていた時に少し離れたところから声が聞こえてきた。
「おい、あれ酒場のところのやつじゃないか?」
その声にエアルはフードと仮面を付けて逃げるようにギルドの外へと走り出した、その光景を見て何事だと思い1人ぽかんとしているレインをよそに、エアルを追いかけるために走り出した冒険者達でギルドは大騒ぎしていた。
「本当に何したのよ、エアルくん」
先程まで10数人いたギルド内は職員を残し皆外に出払ってしまった、少ししてギルドの階段を不思議そうな顔をしたヴィルヘルが降りてきてあたりを見渡してレインを見つけて聞く。
「レインちゃん、騒がしいと思って降りてきたら誰もいないじゃん、なにごと?」
レインはぽかんとしたまま答える。
「さぁ?」
2人して原因がわからないまま不思議そうに見つめあっていた。
レインは小さくつぶやいた。
「本当にあの子何者なのかしら」




