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俺とお前(ら)の壊れた青春  作者: 井石知将
ココ
20/20

ただ高みを目指して

俺の今身につけなきゃいけないことは……

星屑はそんなことを考えて帰路を歩いていると携帯が振るえた。

「三浦先輩?どうしたんですか?」

「星屑………」

やけにもったいぶる。少し長すぎるくらいに間をあけて言った。

「新しい戦術……………欲しくないか?」

「!?どういう事ですか?」

「いや、なぁ鍵矢からお前の、その……………」

三本鎖(フィフス)が思い出せないらしい。

三本鎖(フィフス)ですか?」

「ああ!それそれ!………で、今より効率よく、エネルギーを取り出して戦う方法を考えたんだ。今からうちに来い」

電話では説明しにくい。という事だと思い、星屑は三浦の家に向かった。


「お前から来るとは思ってなかったな。村雨」

「僕も自らここにくる事になるとは考えて無かったよ」

村雨はある教会に来ていた。理由は簡単だ。こいつ(・・・)に会うためだ。

「久しぶりだね。情報屋、いや日々野鉄也」


「すいません。どなたかいらっしゃいますか」

三浦の家に着いた星屑は取り敢えずチャイムを鳴らした。


「おぉ!よく来たな。さ、入れ入れ!」

「お邪魔しまー………げっ!」

中はすごくきたなかった。はんだづけをしたような匂いと、訳の分からない機械やパソコンで埋め尽くされていた。

「あのー……これはなんですか………?」

星屑はガラクタを指差して聞いた。

「ん?あぁ、それは俺の作った盗聴器と暗視カメラ。それにモニターとかモデム」

「三浦先輩ってパソコン強いんですね……」

真っ暗な部屋で眼鏡をかけ、一人黙々と機器をいじる三浦先輩。シュールっていうかなんかマッドサイエンティストみたいだ。

「で、なんで盗聴器とかあるんですか?」

ニヤニヤ笑いながら返事をした。

「……商売道具」

脅す方か、それを手伝う方なんだろうな。

「単刀直入に聞きます。俺の力の効率を上げる方法は?」

「いきなりだな。まあ座ってくれ」

そこらのガラクタを退け、足場をつくり、そこにあぐらをかいた。

「お前の力、ようは不可逆の強制発動だろ」

不可逆。それは簡単に言えば氷とお湯を混ぜて水は作れるが、水から氷とお湯を取り出すことはできない。ということだ。

「まぁ、一概にそれだけではないですが」

「じゃあさ、50と-50をつくったとして、さらにそこから100と-50ってできないか?」

は?

星屑がわかってないことが分かると三浦は紙に50と-50をかいた。

「いいか、このうち-50の方だけ何らかの方法で使ったとするだろ。ここまでいいか?」

三浦はシャープペンで-50にバツ印をし、星屑が頷いたので話を続けた。

「残った50を片方は+100、もう片方は-100をさらにするんだよ。こうすれば150と-50が残るだろ」

「つまり…………どんどん炎の温度を上げていくってことですか?」

「そうだ」

もし、もしもだ。そんなことが出来るなら俺の炎はどこまでも熱くできる。

それだけで星屑は勝利への道筋が見え始めていた。


暗い道場の中、一人の男が正座していた。そこに影から現れるように鍵矢が道場に入ってきた。

「久振りです。親父殿」

「よく来たな。鍵矢」

親父殿に会うのは何年ぶりだろうか。親父殿、それは俺の血縁者でもなく、この道場の師範代だ。

「実は前々から溜めていた例のアレ(・・)を使いたい。頼めるか?」

師範代の目が光った。

「…………あれを使うのは禁じたはずだが?」

「あぁ。誰かを『助けたい時』意外な」

師範代はニヤリと笑い、鍵矢に聞こえるか聞こえないぐらいの声で小さく言った。

「お前も…………強くなったな」

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