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パーティーから追放された僕の最弱スキル『武器強化』が、気付いたら最強スキル【武器錬成】に進化していた件  作者: 五月雨前線
第2章

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第52話 自分自身への怒り

※投稿が遅れてしまい申し訳ありませんm(_ _)m

「九重塵羅だと!? そんな……! どうして教団の奴らはこの場所が分かったんだ、クソが……!」


 団員からの報告を聞いたノルドは顔を歪め、盛大に舌打ちをした。


「九重塵羅はミラエル様を追い詰める程の戦闘能力を有する危険な存在だ! 実験は即刻中止! 戦闘部門に所属してない団員は今すぐ退避しろ! これは緊急事態だ! 急げ!」


 ノルドが周囲に視線を向けながら叫ぶと、事態を察知した周囲の団員が慌てて撤収作業を始めた。その間にも、耳をつんざくような轟音が何度も聞こえてくる。

 今この瞬間、ミラエルは強大な敵と戦っている。そう思うと胸が締め付けられ、居ても立ってもいられなくなってきた。僕は抜刀し、戦闘が行われている場所へ向かおうとしたのだが……


「リューオ、お前は他の団員と一緒に退避しろ」


 僕を手で制したノルドにかけられたのは、信じ難い言葉だった。


「え……? あ、あの、何を言ってるんですか?」


「今言った通りだ。退避しろ、と言っているんだ」


「退避なんて出来ませんよ! ミラエルが敵と戦っているのに、僕だけ退避するなんて嫌です!」


 僕は慌てて抗議するも、ノルドは厳しい表情で首を横に振った。


「神級スキルを使えるリューオとユミナは今や最重要人物だ。敵の攻撃で命を落とす、もしくは敵に連行されるという最悪の事態は絶対に避ける必要がある。これは今後の戦いを見据えた戦略的な行動だ。何も恥じる必要はない」


「ちょっと待ってください! 今まで僕は何度も戦いに参加してきました! 今回だけ退避しなきゃいけないなんておかしいです!」


「今まではリューオが戦わざるを得ない状況が続いていただけだ。今回は状況が違う」


「嫌です! ミラエルと一緒に戦わせてください!」


「駄目だ」


 僕の主張をにべもなく退けるノルドの表情は、いつになく厳しかった。


 ノルドは優しいからはっきり言葉にはしていないものの、「リューオは弱いから、戦闘に参加しなくていいなら参加するな」という無言のメッセージを僕は敏感に感じ取っていた。


 そしてその主張は……残念ながら正しい。ミラエルと出会ってから経験した戦いの中で、僕はいつもサポート役に回っていた。メインの戦いはミラエルや他の仲間に任せきりだった。

 僕は弱い。神級スキルは使えるものの、単純な戦闘能力ではミラエルの足元にも及ばない。それが悔しい。本当に悔しい。胸が張り裂けそうなほど悔しい。


 僕にとってミラエルは、最早ただの友達ではない。3週間前、共に一夜を明かしたあの時を経て、僕の中でミラエルは友達を超えた大切な存在になりつつある。

 だからこそ、僕はミラエルを守りたい。一緒に戦って、少しでもミラエルの負担を減らしたい。そう思っていたのに……。


「うっ……うう……くそっ……!」


 気がつくと僕の頬を涙が伝っていた。弱い自分に対する悔しさ、怒りのあまり、自身の腿を拳でぶっ叩く僕を見て、「その怒りを忘れるな」とノルドは静かに言った。


「自分自身への怒りは最大の原動力になる。その怒りを忘れず、強くなるんだ」


「…………」


「リューオがこれまでずっと努力してきたことは知ってる。だが、その事実を踏まえても尚、リューオは今戦うべきじゃない。分かってくれ」


 ノルド、更には大勢の団員の視線が僕に向けられている。こうしている間にも轟音が幾重にも重なって聞こえてくる。戦いは続いている。僕がここで皆を足止めしている場合じゃない。


「……分かりました」


 涙を拭い、悔しさを押し殺しながら僕は声を絞り出した。


「ただし、僕に出来ることは最大限させてください。九重塵羅を倒せる程の強力な武器を錬成します。その武器をミラエルに必ず渡してください」


「わ、私も協力しますので! 是非リューオさんの気持ちを汲んであげて欲しいです!」


 様子を見守っていたユミナが声を発した。ノルドは僕とユミナを見比べた後、ウラナさんに「2人は神級スキルを使用して大丈夫ですか?」と質問をぶつけた。


「先程2人が摂取したアルオスの効果が持続しているはずなので、恐らく大丈夫かと」


 ウラナさんは緊張の面持ちで言葉を返す。


「では、3週間前のように消耗でダウンしてしまう、という事態にはならないということですね?」


「絶対とは言い切れませんが、恐らくは」


 ノルドは深く頷き、覚悟を決めた表情で「分かりました」と言った。


「リューオ、ユミナ、2人で協力して武器を錬成してくれ。錬成が終わったらすぐにここから退避しろ。俺はキュオルと入れ替わる形で戦闘に参加し、代わりにキュオルをお前たちの護衛にあてる。いいな?」


 今の僕には、ノルドの指示を受け入れる以外の選択肢はない。僕は力なく頷きを返した。


(というわけで、武器の錬成よろしくね)


《本当にこれでよろしいのですか? リューオ様がどう行動するかを決めるのは他ならぬリューオ様だけです。ノルド・ラローアではありません。私はリューオ様が選んだ道に付き従うだけです》


 優しさからか、神級スキルはそう言ってくれた。しかし僕の気持ちはもう固まっていた。


(いいんだよ。今の僕に九重塵羅の一角と正面から渡り合う力はない。僕が戦場に飛び込んだ所で足手纏いになるだけだよ。3週間前も僕はまともに戦ってないからね、それと同じだと思えばどうってことない)


《……左様でございますか》


(うん。とにかく武器の錬成よろしく。八鬧と戦った時に錬成した2本の剣あったじゃん、あれを錬成してほしい。アルオスを飲んだ後だから出来るよね?)


《可能です。承知しました、全てはリューオ様の意のままに。7.1秒で<紫電しでん絢爛けんらんのかみ義閃ぎせん>と<冥王剣・ヘルアビスダークネス>の錬成が完了します》


【ミラエル視点】


 今私が対峙している、九重塵羅の一角、六愧は明らかに異質な存在だ。


 六愧の見た目は年老いた老婆。身長は私よりも10センチほど低い。肌と腰の辺りまで伸びた髪は濃い灰色で、不気味に大きい目は禍々しく赤い。

 黄色の和服のようなものを纏う六愧の両手には、鉤爪がついており、その鉤爪は今や鮮血で染まっている。六愧によって殺された団員の血だ。


「やはりミラエル・ソードフレアとキュオル・マイズロードが残ったねえ、全て予想通りだねえ」


 剣を構える私、そして傍のキュオルを見やり、六愧は口角を上げた。残忍な行為には似つかわしい、優しい老婆の如き穏やかな口調。それが不気味さをより一層助長させている。


 実験の最中、六愧は突然出現し、瞬く間に何人もの団員を葬った。さらに六愧は、「死者を蘇生させ、強化した上で使役する」という信じ難い能力を有しており、死んだはずの団員は異形の怪物として蘇った。そして蘇った団員に他の団員が殺され……という惨劇の末、生き残っているのは私とキュオルだけだ。


 数十人の団員の死は防げなかった、とすぐに割り切れる程私は強くない。深い後悔に胸を痛めながら、私は今剣を握っている。


『五行、【土剛弾どごうだん】!!!』


 キュオルが高速で杖を振ると、虚空から数十センチほどの土の塊が幾つも出現し、六愧めがけて飛んでいった。キュオルの遠距離系のスキル攻撃はしかし、六愧が使役する死者の壁に阻まれてダメージにならない。


「どちらも若くて美しいねえ、女としての人生を全うしてるんだろうねえ……私は一度たりとも女として扱われなかったのにねえ、不平等だねえ」


 六愧はぶつぶつと呟きながら、鉤爪で自身の体を傷つけている。鉤爪で体が抉られるたびに再生し、その都度青い血が吹き出している。なんともむごたらしい光景だ。


「イカれてやがる……」


 そう呟くキュオルと視線が合った。私もキュオルも攻めあぐねている。安易な攻撃を仕掛けると死者の壁で弾かれ、逆に猛烈な反撃を喰らってしまうからだ。


「ミラエル様っっ!!!!!」


 その時、ノルドの叫び声が轟いた。その声音で状況を察した私は、瞬時に後ろに飛び退いた。異変を察知した六愧が死者を仕向けるも、キュオルの妨害によって私に達することはない。


 全身で感知する強大な魔力に引き寄せられるように、私は飛び退くと同時に両手を目一杯伸ばした。次の瞬間には、私の右手には美しく強靭な2本の剣が握られていた。


※第53話は2026年5月24日の午後9時50分に投稿します。お楽しみに。

5月23日、ロッテ、まさかまさかのミラクル大逆転勝利〜!!!


まりほ〜!!!!!


4点ビハインドの9回表に5点をとり、逆転出来ました!


すごい! えらい! 強い! かっこいい!


この調子でどんどん勝ち進んでいきましょう!


マリーンズファイティン!

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