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3話

3話


飛行機での空気は重かった。


高そうな料理や高そうなワイン、味もしなければ酔いも出来なかった。


お偉いさんはそうそうに酔っ払ってイビキをかいていたが…


長い空の旅を終えニューヨーク・ジョン・F・ケネディ空港へと着いた。


(行き先はニューヨークだったのか)


今まで全く気にして無かった自分に少し驚きつつ、ロビーで自分の荷物を受け取り他の面子を待つ。


なんとなく外を歩く人を眺めてみる。


外国人が歩いている。


それ以上の感想が出てこない自分に呆れていると


「何を見てるんだ?」

柳が声をかけてきた。


「いや何、どいつもこいつも体でかいなと思ってな」


「確かにでかいな、ただ俺も負けていない。また体がでかいということはストライクゾーンが広く、落ちる球に弱いからな。長所だけではない」


柳は福岡ファルコンズのエースでキャプテン、190を超える長身から投げるフォークが武器だ。


ただ、

「ここに野球選手はいないと思うぞ」

思わず言葉が出てしまった。


そんな話をしていると皆が集まりだしそこに合流する。


「皆機内は楽しめたか?ワインも料理も良いものを用意したんだ。ニューヨークまであっという間だっただろう。」


お偉いさんがいかに金をかけたのかをご高説していると


「ミナサン、お待たせイタシマシタ。ガイドを務めマス、ボブとイイマス」


金髪碧眼で少し小太りの男性が声をかけてきた。


「あぁ、よろしく。では私はこれで失礼する。ここからはボブ君に着いていってくれ」


そう言いながらタクシーに乗り込むお偉いさんを見送る。


「結局あれ誰だったんだよ」


三重の岩田がポツリと溢す。


「野球振興局の副局長様だ。そんな事も知らんのか」


筧が呆れた声で説明してくれた。こいつもしかしてお偉いさん全員把握してんのか?


「デハ皆さんまずはホテルに向かいマショウ」


ボブに続いて俺たちは貸切のバスに乗り込む。


車道が反対なこと、英字ばかりで日本語が見当たらないこと、ファストフード店が見た事もない店舗ばかりなのを横目にバスは走る。


道中でボブがずっと喋っているが俺たちは皆無言のままホテルに着いた。


豪華なホテルは期待していなかったが、予想よりも廃れたホテルの2人部屋に案内され俺は筧と同じ部屋だった。


荷物を整理していると筧が戸惑った声で話しかけてくる。

「おい田辺、トイレと風呂が一緒だぞ」


「海外はそうらしい」


「大浴場は無いのか?」


「無いな。ちなみに銭湯という文化もないしシャワーだけらしい」


「考えられん。…そうかだから海外は男も香水をつけるのか」

偏見だらけの着地点に落ち着いた筧に苦笑していると集合時間を知らせるアラームが鳴る。


「行くぞ。遅れるなよ」

さっきまで部屋を物珍しそうに眺めてた筧が先導する。


慌てて続きロビーに向かうと誰もいなかった。


「おい。集合何分前だ?」

俺は少し不機嫌な声で筧に尋ねる。


「もう30分前だ」


「まだ30分前だよ!」


俺たちが言い合っているとロビーに知らない日本人が6人集まってきた。

妙な偶然ってあるんだなと思っていると


「な、なんであいつらがここにいるんだ…」


筧が口を開き驚愕している。


相手の顔をよく見ていると確かにどこかで見た顔で…


「なぜ東日本のチームの奴らがここにいるんだ!!!!」


筧が相手の1人の襟を掴み詰め寄る。


「お前筧か!?なんでお前がここにいるんだよ!!」

襟を掴まれた東京ビッグボーイズの元坂が筧の襟を掴み返す。


「言える訳ないだろ!!お前らはなんでいるんだ!?」


「こっちも言えるわけないだろ!おいどうなってんだ!」


「一旦離れろ、落ち着け2人とも。落ち着けって」

俺は2人を引き離し筧を宥めていると他のメンバーとボブが現れた。


「皆さんハヤイデスネ。マダ30分マエデスヨ」


「「それどころじゃない!」」

元坂と筧の声が揃う。


「仲良クシテクダサイ、東日本ト西日本ノミナサン、アラタメマシテ、両国のガイドヲツトメマスボブデス。ミナサン仲良くシテクダサイネ!」


ボブの一言を俺たちはしばらく理解できなかった。


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