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簡易設定集&雫の過去編パート1

過去編はこのまま続けるか、本編と並列して更新するか迷っています。

雨空雫

主人公。TS転生者。未来学院に所属している高校2年生。異名:魔女、災害、天使、歩く終末、女王

肩まである黒髪に妖しげな色香を感じさせる蒼眼。身体は細く四肢の先までスラリと伸びている。身長は160cm。道を歩けば間違いなく、百人が百人振り返る美少女である。

転生後の世界になれるためにロールプレイという狂気的な手段を取った。男とも女ともつかない口調で、ミステリアスキャラを演じている。結果、同じ転生者の仲間や五芒星の地位を手に入れ、魔術の実力もかなりのものになった。ただし、ロールプレイと運命の悪戯で噂に尾ひれがつき、悪魔のような人物像が出来上がっていた。表向きはそんなことはないが、少し情報通の人間は彼女の黒い噂を聞いている。ただ、8割方は嘘と曲解(トリミング)と誇張のため、証拠は存在しない。

噂のせいで、奇妙な組織や集団から勧誘を受けるようになっており、最近困っているらしい。過去に、面白そうな男を見つけては純情を弄ぶという割と最悪な行為をしていたせいで変な男や女性に目をつけられていたり………。

五芒星の中ではもっともフレンドリーのため、人気がある。


燈火

転生者。ロキ・アカデミー所属している高校1年生。


竹虎

転生者。青海学園所属の高校2年生。異名:人型城壁、変態

中二病でこじらせている。ガタイはかなり良く、厳つい見た目をしているがかなり温厚な性格をしている。実は成績もよく、戦闘面でも優秀である。しかし、ナチュラルに変態であるため、質が悪いと仲間内からは思われている。


光音

転生者。転生者組の中で唯一の大学生。所属は叡相大学の1年生。

さわやかなイケメンで温厚な性格をしているが、女たらしの一面を持っているためその内刺されるかもしれない。まとめ役である。


ウィリアム

転生者。所属は青海学園、高校2年生。

生まれはイギリスであり、かなりイケメン。光音とは違い、粗暴で荒々しい感じのイケメンである。竹虎とは別方向の問題児であり、問題行動のせいで順位を落とされていたりする。ただ、周囲からの信頼はあるため自治委員会に所属しており結構有名人である。理不尽が嘲り笑うかのように、誰かを傷つけるのをひどく嫌う。犯罪や行動に理由を求め、そこに理屈がない場合は大体彼の刃の餌食になる。雫や燈火から見れば、かなり歪んだ価値基準をしているらしい。


明立萌生

未来学院の2年生。自治委員会。順位:480位

雫とは同学年ではあるが、魔術の腕も研究も経験も何もかもが自分よりも上であり最年少かつ女性で初めての五芒星となった雫に敬意を抱いているため、雫先輩と呼んでいる。

雫に振り回される被害者。一番振り回されて、一番助けられているのは間違いなく彼女。

性格がよく、後輩思い。雫や鈴に助けられてきたため、十六夜たち後輩を助けなくてはならないと思っている。


星垣鈴

未来学院の3年生。順位:78位。自治委員長。

雫と対等に話せる数少ない人物。合理的に考えるのが癖になっている。昔とある先輩を慕っていたが………。


朝霧廉太郎

未来学院、1年生。十六夜と初めて友達になった人物。

人懐っこい人物。


リリア・ブラフィー

メイド服の少女。灰橙色の髪に灰色の瞳、基本的には人形のように無表情。異名:妖精メイド

メイドはバイトとしてやっているだけなので、れっきとした中学生である。



槙原十六夜

転校生。テロリストの戦闘に巻き込まれた少年。

才能にあふれた少年だが、過去のトラウマで全力を出すことができなくなっている。なお余談ではあるが、全力を出しても現段階では五芒星の足元にも及ばない。才能以外は普通の少年。15歳までは日本のとある施設にいた。


竜胆音々

転校生。青い髪を結い上げ、首には白と青を基調としたヘッドホンを掛けてている美少女。

気が強く、プライドも高い。自分の才能にコンプレックスを感じている。初日の決闘は音々は全力であったが、十六夜は5割程度にセーブしていた。実力は300位あたり。


鴨崎貫

事件の被害者。順位:50位

実際は事件の実行犯。











サバイバル・ロッタリーというものを知っているだろうか?哲学者のジョン・ハリスが提案した「人を殺してそれより多くの人を助けるのはよいことだろうか?」という倫理的問題のことだ。


俺はこの問題はひどく的外れなものだと思っている。だってそうだろう。この問題の本質は善悪を問うものだが、善も悪も立場によって変化するものだ。正義も悪も誰かの都合でしかない。そんなものについて考えるだけ非合理だ。善も悪も自分自身が見定めるものだ。


何が言いたいかと言えば、俺は前世の自分とは違い人殺しを絶対的な悪だとは思わないということだ。


人殺しが悪だといわれる理由の一つとして、法律の存在があげられる。法律とは人を縛り同時に守ること目的としている。そのため、法律は秩序たり得る。だけど、俺たち魔術師は法律で守られていない。自分を守ってくれない法律を守るというのは前提から食い違う。だから、俺は魔術師であることを理由に降りかかってきた火の粉を殺したことを後悔などしていない。


4年前―――


転生して12年。記憶が戻ってから8年が経過した。最初は転生にも性転換にも戸惑ったが、今は受け入れている。何なら、美少女ボディに歓喜した。徐々に慣れてきていたものの、口調と精神年齢そして、異性に関する問題が解決していなかった。


肉体に精神年齢が引っ張られるとはいえ、元は16歳の高校生だったわけだ。前世の記憶はかなり抜けているがそれでも男だった意識は強い。精神年齢の乖離と性別に対する価値観の強烈なずれ。子供はそういうのに敏感だ。だから、学校でも浮いている子供だった。加えて、捨て子だったというのも大きいだろう。そして、最大の問題点は魔術師であること。


異物を嫌うこの国ではこれだけ条件がそろった子供は受け入れてもらえない。一応、俺が生まれた時点で魔術師は正式に認められた存在で表面上は人権が保障されていた。だが、裏では違う。魔女裁判のようなものから小さな迫害まで様々なものが各国に存在しており、社会問題となっていた。正直、魔術師が徒党を組んでテロを起こすのは自然な話だと思っていた。朝のニュースを見ては、加害者が被害者面してるんじゃねえと思ったし、実際そう言う指摘も多かったように思う。迫害している側が逆襲されているだけだ。なにも不思議はないだろ?そんなことを考えつつも、俺はずっとこの場所から抜け出したいと考えていた。周囲に馴染めないストレスからも、魔術師であるが故に迫害される危険性からも、生まれ持った才能を振るえないやるせなさからも、逃げ出したかった。


孤児院のシスターは昔、魔術は様々なことに利用できる人類の可能性であり誰かの役に立てる素晴らしい力だと言っていたが、それもこの国にいる限りは無理な話だ。


爆発寸前だったその時だ。あの人に出会ったのは。


「やっほ~、聞こえてる?ねえねえ、聞こえてますか~」


いい歳して魔女のコスプレは痛いですととっさに口から出そうになった。この世界では、俺の元居た世界とは違い価値観が少しずれているのだ。ちょっと中二臭い言動もスルーされるようで、この程度のコスプレはファッションに入るらしい。


「私は悪~い魔女です。迷える子羊ならぬ、黒猫ちゃんを勧誘しに来たの~」


魔女帽をかぶった少女はあまりにも美しかった。それと同時に、怖かった。紫がかった桃色の髪を靡かせ、スカートの裾を閃かせながらグルグルと飛び跳ねる少女の仕草は、その容姿と制服と相まって天真爛漫なただの少女の様だったが、その目の奥に宿るなにかが肌を泡立たせた。


「君は今の現状にストレスを抱えているよね?知ってる知ってる。魔女のお姉さんは何でも知っているんだぁー。君が襲われたことも、それを素晴らしい魔術で撃退したことも、他の子たちと違って大人びていることも。何より―――――とびっきり歪んでることを私は知ってるよぉ」


おそらくこの時の彼女が鮮烈だったからこそ、俺のロールプレイの設定はこの魔女にどこか似ているのだろう。


「私は君をここから連れ出してあげられる。大丈夫、私も魔術師で君の仲間だ。私たちの楽園に興味はなあーい?」


差し出された手を取るのに迷いはなかった。こうして俺は問題を残しつつも幻想島に旅立ったのだ。





「ようこそ、幻想島へ。ここは、日本とアメリカの中間地点の海上に建造された人工島でさー、魔術に適性のある人たちの学び舎であり、研究所でもあり、そして同時に魔術師を閉じ込めておく檻でもあるんだー。でもでも、心配する必要性はないよー。扱いは各国が必要以上に干渉できない、独立した一つの国と言えるから」


そう説明した彼女はすごく誇らしげだった。後から知ったことだが、魔術師を一か所に集めておくことでもしもの時は島ごと原爆や水爆などで沈めてしまえるようにしたかったらしい。だが、そんなことは不可能だ。魔術師は各国に黙ってそれなりの兵器を作り上げている。それにこの島のトップが用意している魔術は原爆や水爆の威力では破れない。


「何で俺はここに今まで連れてこられなかったの?」


「どういう意味かなー」


「だって、この島には俺よりも小さな子が大勢いる。この島は出来てから12年しかたっていないんだろ。なら、ここで生まれた子供たちだとは考えづらい。仮に、魔術師だと発覚した時点でこの島に連れてこられるのであれば、ここに子供たちがいるのは納得だけど今度は俺が今まで連れてこられなかった理由が謎だ」


「………生きにくかっただろうね、黒猫ちゃん」


そう言ってきた彼女の表情は、どこか懐かしそうだった。


「君がここの存在すら知らされていなかったのは、黒猫ちゃんがいた孤児院のシスターが意図して隠していたからだよー。知らないんだろうけど、あそこは魔術師の子供を一般の社会で普通人として生活させられるかを検証するための実験場だから」


衝撃の事実を「私、実は彼氏がいるの」くらいのテンションで明かされた俺は一瞬フリーズしそうになった。思い当たる節がないこともなかった。ショックだったかと聞かれれば、ショックだと返答するが拾ってもらった恩もあるので水に流せた。正直、あの場所のことはどうでもよかったし思い出したくもなかったというのが大きい。だが、前世の記憶がなければその場で泣き叫んでいたかもしれない。


「………」


そんな俺を黙って眺めていた彼女をよく覚えている。


「口調がブレブレ。君はまだアイデンティティの確立ができてないんだねー?でもでも、不思議だなぁ、その割には大人びてるし。ほんとに歪な人格だねぇー」


昔からこういうところが怖いのだ。


「名前、聞いてない。俺はあんたのことをなんて読んだらいい?」


「んー、そうだなぁ。どうしようかなぁ、そうだなぁー。うん、そうしよう。私のことは鬼灯茉莉花って呼んでね!」


「絶対偽名じゃん」


「茉莉花って呼ばれるとこが一番多いからよろしくー」


「話聞けよ!」










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