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「(ニャアー)」
「あ、悪りぃ悪りぃ」
「ニャアァー」
俺はリュックの中に放置していたプリンを肩の上に乗せる。
テレポーターに乗るときにリュックに入れたのだ。
「荷物邪魔だな……そうだ!」
「ニャア?」
良案を思いつき、リュックに向けてある魔法を使った。
「『世の理の歪みを生み、法則を覆せ』」
と、こんな感じで周囲から見れば「何こいつ頭いってんじゃないの?」的な呪詛系魔法を施す。
「これでこの荷物達も入るな」
先程購入した女性用の服などを袋ごとリュックに詰めていく。
「ニャア?」
不思議に思ったのかプリンはリュックの中を覗こうとする。
「ニャニャ!」
「うぉ!あぶねえぞ!」
リュックの中に入りかけたプリンを引っ張る。
いまリュックに落ちればやばい。
この魔法は任意の空間の広さを広げられる便利魔法なのだ。そのかわり実践では使えないが。
「さーて、そろそろあいつらも買い物終わったかな……ん?」
周りを見渡すと、店のある筋の人混みの中に明らかに浮いている人影を見つけた。
服装はボロく薄汚れていて、顔つきもかなり悪い。どこのチンピラだこら。
「んー、まぁ関係なさそうだし良いか」
俺はリュックを背負うとエレナとミイと合流するために再び服屋へ入った。