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「まさか……!こいつ地下のマグマを!」
剣を握り直し『一閃』で対抗しようと考えるが、この数を防ぎきるのは不可能に近い。
一つくらいなら破壊できるかもしれないが、同時に攻撃されればひとたまりもないだろう。
「くっ、刀音!掴まれ!」
脇の方で頭を伏せて避難していた、刀音の手を掴んで肩に担ぎ上げる。
魔力を足に全集中……『イグナイト』
ダァンッ!と、普通なら考えられない強さで僕は地面に足を踏み込んだ。
振り落とされるなよ……刀音!
光属性特有の輝きに包まれて僕はその場から逃げ出した。
「……へぇ」
赤髪の少年はフワリと音もなく空中に浮かび上がると、猛スピードで退避をしていく勇者に狙いを定めた。
「『インフェルノ…』いや…やめだ」
この程度の距離なら簡単に潰すことも可能だが、まだその時ではない。
それにこんなにも面白い相手が見つかったんだ。
次に見つけた時は、全力を出させてやるよ……!
最初は嫌々ながら勇者に襲撃してきた少年は、楽しそうな笑みを浮かべて地面に下りたっていった。
「……くっ、身体が重い…!?」
「ねぇ!それって私が重いってことだよね!?そうだよね!?」
違う……と言おうと思ったが、僕達の食料を食べ尽くした刀音だ、重くなってても仕方ないかもしれない。
僕は街を駆け抜けていき、かなり離れたところまで行ったところで体力の限界を感じて走るのを停止した。