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建物内
何だか外で雷が落ちる音が聞こえたが、取り敢えずこっちのテロリストが優先だ。
「『フォース』」
「なんだ!?消えっ……」
バギィッっという鈍い音と共にテロリストの1人は地面に組み伏せられ、その上に座り込んでいたのは赤髪の少年。
その目は燃え盛る炎のごとく赤いがその奥は氷の様に冷たい。
「この程度でテロやってんのか?」
俺は右手で組み伏せている男の頭を地面に押し付ける。
「おいおい、早くしねぇとこいつの頭が吹き飛んじまうぜ?」
「……がぁぁ!?いぎぎっ!!」
男の頭が少しずつ陥没を始める。
まだたったの2ミリだが、頭が陥没するだけでかなりの痛みだろう。
「ちくしょう!!
『ファイアスピア』っ!」
「そうそう、そんな感じだ」
俺は至近距離からのファイアスピアを右手で受け止め、組み伏せていた男から離れる。
「な、なんて奴だ!
うわぁぁ!!」
組み伏せられていた男は地面を這って壁際に逃げ、他のテロリストは一斉に攻撃を開始する。
「くくっ、やっぱ命をかけた闘いっていうのは生きてる感じがする……『フォース』」
だが始まったのは強者による、まさに『弱者のみ』が命をかけた、圧倒的な闘いだった。