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南の有翼人の国②

「チラサンさん、うちの子達の居場所って解ったりしない?」

「魔法が使えればよかったのだがな・・・」

「あー、ですよねぇ」


コ・チラサンの首にもマォと同じく魔封じの首輪が付けられている。

エルフだから魔法に長けているのだろうか。

マォの中ではエルフとは弓やダガーを駆使して戦うハンターのようなイメージがあるのだ。


兎に角子の首輪を外す方が先決なのだろうか。

マォは首輪を触りながら感触を確かめる。


(鎖は固い金属だけど首輪自体は硬い金属ではないっぽい。

 力業でなんとかならんじゃろうか)


手で引っ張ってみようかと思ったのだが首に密着しており指が入る余裕はなかった。

これが首輪でなくて足枷手枷であれば骨を砕くとか関節を外すとかで抜く事はできるかもしれないのだが、さすがに首は無理である。

首輪が駄目なら鎖をどうにかするか。

なんか脱獄映画とかで尿や味噌汁で錆びさせて脆くしたとか見た記憶がある。


(尿?ここで?臭くなりそうじゃしチラサンさんもおるし却下だな。

 味噌汁もある訳ないし・・・

 協力するフリをして隙が出来るのを待つ方がええんじゃろか。

 でも面倒臭いんよのぅ・・・)


「マォが探しているのはマォの子だろうか」

「養子だけど儂の子だね。人族と亜人種、恐らく有翼人のハーフだと思う。

 川で保護した子だけど、明るい金髪で緑の瞳の可愛い子だよ」

「ふむ、特徴が似ておるな」

「誰に?」

「先程来た男がいるだろう?

 もう1人の長候補で過激派の男なのだが

 あの男が古代エルフの子を見つけたとか騒いでおったのだ。

 その子の特徴と似ておる」

「は?! あれが長なんぞなったらいかんじゃろ!

 ってか、古代エルフってなにさ。

 人族とのハーフが古代エルフな訳ないじゃろ!」

「いやそれがありえるのだ」

「へ? マジで? いやでもそうだったとしても

 勝手に儂の子奪うんじゃねぇわな!」

「んむ」

「古代エルフだろうがなんだろうが知ったこっちゃない。

 ガイアは儂の子だ!

 くそったれが!なにがなんでも抜け出してやる」


ガチャガチャと鎖をひっぱったりするマォは鎖の先が楔で床に打ち付けてあることに気が付いた。


(床に打ち込んであるんなら抜けるんじゃね?)


鎖を腕に巻き付けてしっかりと握り力を込めて引っ張ってみるもびくともしない。


(駄目か・・・ いや継続は力なり。引っ張り続ければ緩んでくるかも)


継続は力なりの使いどころが違うような気もするが誰に聞かせる訳でもないので気にしない事にするマォであった。


しばらく引っ張り続けて楔がわずかに緩んだ。


(よっしゃぁー!この調子で頑張れば・・・) ぐぅ、ぐきゅるるる・・・

「「 ・・・ 」」


このような状況でも腹は減る訳で、マォはしばらく何も食べていない事に気付いた。


(普通さぁ、監禁してても硬いパンとかうっすーい水みたいなスープとか

 最低限の食事は出てくるんじゃないん?・・・)


「もしかして飢えさせて言う事きかせようとかしちょんじゃろか」

「そうであろうな」

「古典的なやり方じゃねぇ、まぁ数日は食わんでもなんとかなるけど

 水は無いとヤバイじゃろうなぁ」

「魔法さえ使えれば・・・」

「無い物ねだりしてもしゃーなかろう。

 今自分に出来る事をやるのみじゃけぇ。

 チラサンさんも鎖どうにかする事考えれば?」

「マォが助けてくれるのではないのか」

「なんで儂が助けんにゃいけんのん。

 自分の事は自分でしんさい、人任せにせんのよ」

「なるほど、そうなのか」

「そうなのかって、アンタねぇ・・・

 兎に角、儂は自分の事で精一杯。

 子供達を助ける事しか考えんけぇ

 此処にとどまるも抜け出すもご自由にどうぞ」

「わかった」


コ・チラサンは少しの間何かを考えていたようだがマォのマネをして鎖を引っ張り始めた。

2人してジャラジャラ音をさせているのに誰かが様子を見に来ることも無い。

見張りというものが居ないのだろうとマォは思った。

ならば遠慮はいるまいとさらに力を込めて引っ張る。

ガンッガンッと音がして床の敷石が崩れる。


(あれ?床の方が脆い? て事は左右に揺さぶれば床が壊れて抜けやすくなる?)


試しにと鎖を左右上下と揺さぶってみれば、敷石はさらに崩れ楔も緩む。

ニヤリと顔を緩ませて、思い切り鎖を引けばズリッと抜けた。


「やったぜ、イェーイ!」

「おお、よかったなマォ。私もこのまま頑張ってみる」


助ける気は無いと言ったものの、コ・チラサンを残していくのも後味が悪い。

しかも力仕事とは無縁なのだろう、手はすでに擦り切れて血だらけになっている。


(しゃーないか)


一応非力なりに頑張ったみたいだしと手伝ってやる。

2回目ともなると少しはコツを掴んでいたようで、抜けるまでの時間は思ったよりも短くてすんだ。


「すまない。助かった」

「首輪を外すのは無理じゃけぇ頑張ってこの鎖ひきずって逃げんさいね。

 まぁ使いようによっては武器にもなるじゃろうし、頑張って?」

「マォは子供達を探しに行くのか」

「勿論。そのために鎖抜いたんじゃけぇね」

「では私も一緒に」

「却下! 一緒に行動とか効率悪い。

 チラサンはさっさと脱出して仲間んとこに戻りんさい。

 んであの馬鹿の事を伝えてどねぇか対策を取りんさい。

 こんままじゃと国際問題に発展するよ?

 ちゅうかそれ以前に儂の仲間が押し掛けてくるじゃろうね」

「そうか。分かった。なるべく急いで脱出しよう。

 仲間に伝えこちらにも人をよこすようにしよう」

「いやそれはいらん。巻き込んで怪我させても嫌じゃけぇ」

「武術に覚えのある者達だ、心配はいらぬと思うが」

「んにゃ、儂ブチ切れたら何するか分からんけぇ危ないよ?」

「そ、そうか。では健闘を祈る」

「お互いにね。子供達を無事救出出来たらまた会おう」

「その前にだな、まず扉をあけねば」

「あ、そうじゃったね」


鎖が抜けた事でテンションがあがり扉の事を忘れていたマォである。

さてどうやって開けるかなと扉に手を掛ければ、スゥーと開いた。


「「 ・・・ 」」

「なんで普通に音も無く開くんよ!

 いくら鎖で繋いじょるからって鍵くらい掛けとけよ!

 ちゅうか、表も裏も鍵とかどこにもないじゃんこの扉!

 それってどうなん?! なんなんいったい!」

「落ち着いてくれマォ。大声を出すと気付かれてしまう」

「いや大丈夫じゃろ。だってこんだけ叫んでも来る気配ないじゃん」

「そう言われれば・・・」


なんとも拍子抜けというか、詰めが甘いというか。

マォは大きな溜息を付いてしまうが気を取り直して先へと進むことにする。

またね、なんて言ったものの、どうやら此処は塔の3階だったようで階段を下りて塔から出るまでは一緒だった。

まさかと思ったが当の出入り口の扉でさえ鍵は掛かっていなかった。

というか、半開きになっていた。

敵ながら防犯面や防衛面で大丈夫かと心配になるマォである。

まさか油断させておいてなにか罠があるのかと用心してみたがそれも無かったのだ。


「チラサンが長になったらこういった場所の防犯面とか考えた方がええよ?」

「そうだな。

 今の我等には都合が良かったが防犯という面ではいささか不安があるな」

「いささかどころじゃないよ、すこぶる不安だよ!」

「長老方と相談する・・・」

「ぜひそうしてくれんさい。んじゃここでお別れじゃね。

 無事に仲間んとこへ戻ってね」

「マォも無事子供等に会えることを願っておる」


別れを告げてもっちゃんとガイアを探し始めるマォだったが驚く事になる。

空中都市とまではいかないが、地面から10mくらい離れた樹の上に作られた場所だった。

しかも建物はどれもこれも似たような塔のような作りだ。

ムー〇ンハウスがズラッと並んでいるような感じである。


(うわぁ、雰囲気だけならメルヘン!

 千夏や千秋が喜びそう。って、そうじゃない。もっちゃん達探さんにゃ)


とは言え表札がある訳でもなく、屋根の色が違う訳でもなくどれも似たような感じなので語っばしに見ていくしかない。

幸いにして人影もなく無人だった。


(こんだけ人もおらんで無防備じゃと逆に罠かと怖いな)


頭の中で某ホラーゲームのサイレント〇ルが浮かぶ。


(メリーゴーランドで詰んだんだよなぁ。

 まぁさすがにメリーゴーラウンドなんてないじゃろうけど)


念には念を入れ、ゆっくりと扉を開き1つずつ塔の中を確認していくのだが。


「ぶっ・・・」


3つ目の塔を覗けば、ちゃっかりと小さな木製のメリーゴーラウンドがあったのだ。

何故に?と思わなくもないがそれどころではない。

マォはなんとか動揺を抑え込み次へと進む。

小さな塔はもっちゃんが入れなさそうなので無視をしている。

次々と塔を覗いてはいるのだがもっちゃんの姿はみあたらない。

それどころか本当に人の気配が無く靄まで掛かり始めた。


(うぇぇ、なんでこねぇなホラーチックな雰囲気だすん・・・

 勘弁して欲しいんじゃけど。

 でも、こんだけ人気がないって事はガイアは別んとこなんじゃろうな。

 古代エルフがどうのこうのいいよったけぇ酷い扱いは受けんじゃろうし。

 もっちゃんの方が危なさそうじゃね)


有翼人達がモファームの事をどう思っているのかが分からない。

下手をすれば魔獣だからと攻撃されているかもしれない。

どうか無事でいてくれと思いながらも塔を探し続ける。

しばらくして半分くらいの塔を調べただろうか。

塔が立ち並ぶ場所の奥の方で人が叫ぶ声とぴぎゃぁと言う叫び声が聞こえた。

読んで下さりありがとうございます。

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