茜色のハナ
一日遅れ投稿です!すみません!
トイレに行く途中、二人とすれ違った。どうやら何か話していたようで、私を見ると気まずそうにしていた。
はあはあ、と荒い呼吸を繰り返す。理科室からトイレまで、結構な距離があり、移動するのにも、急な階段をたくさん登るため体力の消耗が激しいのだ。特に私みたいな体力が皆無な人間はなおさらだ。やっとのことトイレについた。
道中に見ても良かったが、何があるかわからない。
「⋯⋯やっと、つい、たぁ」
トイレについたときには息も切れ切れ。最悪である。
トイレにて、メールを開くと店主のメールが一件増えていた。
〝やー、萊猫。そろそろ、感の鈍い君でもこれがいつも通りの仕事じゃないってことぐらいわかるだろう?ここは、廃校。そして、君以外の参加者は全員デスゲームだと知っていて参加している。勝った人には賞金が与えられるんだ。単に人を殺したくて参加した人――快楽殺人鬼等――は、もってこいの職場を用意するとも言ってある。もちろん、君に最初にデスゲームだと伝えるのもありだったんだよね。でも、「アイギリが、店主がそんな事してたなんて……!もうやめます!」なんて、君に言われちゃ困るんだよね。君ってうちのエースだし。だから、バレてしまったものはしょうがない。アイギリでの仕事をこれで最後にするも良し、アイギリはデスゲームも主催していて、度々自分も参加しなければならないとわかったうえで、組織の一員として殺しを続けるのもありだ。デスゲームのプレイヤーとして生きていくのもありだ。君の情報は誰にも漏らしやしないさ。前のように悪人殺しに戻りたいと思ったときには戻ってきてくれたっていい。いいかい、萊猫。ここにいる人は、悪いやつも少なくない。萊猫は、悪人ばかり殺してきて少々心苦しいと思うが、君には生き残って来てほしい。あと、この会場には盗聴器と監視カメラが小さいのが設置されている。これらは、他のプレイヤーたちも知っていることだ。ここの出口という出口はすべて閉じてある。君たちが必要人数を殺しきったら、出口を開ける。入学式はほとんど説明がなかっただろう。違和感なかっただろう。君は高校の入学式初めてだもんね。悪かったね。騙すようなことして。健闘を祈ってるよ、萊猫。〟
はああああああ?! 何が「健闘を祈るよ」だクソ。人を勝手にデスゲームに、しかも嘘をついて参加させるなんて。私がアイギリがデスゲームをやっているからって幻滅することはないというのに。そもそも、この手の職業上これくらいはあるかもしれないと覚悟して仕事しているのだ。店主もアイギリも私のことをわかっているようでわかっていない。
「っチ」と小さく舌打ちをする。長い文章を?デスゲームの最中に? ふざけんじゃねえよ。時間無駄にしちゃったし。簡潔にまとめてほしいね。
ああ、やばい。グダグダしている時間はないな。そう思い、私は理科室へ急ぎ足で戻る。
復讐も終わったし、デスゲームのプレイヤーとして生きるのもありだななんて考えながら。
◆◇◆ ◇◆◇
「ごめんね〜。今戻ったよ」
私が、理科室の戸を開け開口一番にそういう。
「ううん。全然待ってないし、気にすることないよ」
「そーそー」
「同感ー」
すると、糖を筆頭に数来、穫盧と続く。
ちなみに、行き道にすれ違った二人は、理科室の隅でコソコソ話している。
「うーん、そーいやさ、糖たちはなんで理科室に?」
「あー、私ね〜理科室も理科っていう科目も好きなんだ。しかも、理科室って薬品多いでしょ?武器にも丁度いいし、ね……?」
「あー、確かにね〜」
そう行って笑い合う彼女たちは殺気に満ちていた。はあ、だめだな。殺気を隠しきれていないなんて。殺人鬼に向いているのかいないのか。まあ、無差別に殺しをできるところがあるならば、そこは評価に値するだろう。すぅ、というか、私は今誰目線だ?私は関係ないことで頭を一杯にし、考えを巡らせていた。⋯⋯が、
「んじゃあ〜早速逝かしてもらいまぁす!!」
たった一言だった。その一言で場の空気が一瞬で凍てついた。そう言ったのは、さっきまで呑気にしていた糖だった。花のような儚さと華を持ち合わせている、茜色の目をした女の子。⋯⋯やっぱ、統率力とか積極性がある。本人が啖呵を切ったわけだしここで私が糖を殺しても問題ないだろう。
たった一言だった。その一言で場の空気が一瞬で凍てついた。そう言ったのは、さっきまで呑気にしていた糖だった。⋯⋯やっぱ、統率力とか積極性がある。本人が啖呵を切ったわけだしここで私が糖を殺しても問題ないだろう。
「⋯⋯ふーん? やる気満々だね〜。とーう?」
「さっきまでの呑気さはどこへやら。そっちがやるってんなら私もやっちゃうよ?」
「「私達は、糖さんにつきます」」
冷めた空気を、ひどく煽るような口調の数来が破り、穫盧もそれに乗る。春燈と御酒は、気が合うのか声もセリフも揃っていた。
「あーあ。糖たちVS私達で構図出来上がっちゃったね〜」
「⋯⋯へえ?よく言うよ。さっきまで私より能天気だったのに、ね?」
私としてはラッキーな構図である。ここで、糖をあわよくば、春燈と御酒も殺せるチャンスなのだ。さっさと仕事を終わらせたい。店主には騙されたが、いつも通りぱっぱと殺しておしまい。誰から殺すかもだいたい決めてるし、すぐ終わるよね。
私が、呑気に考え事をしている間に、棚が開く音がした。
「⋯⋯ははっ!数来〜どうしたの?もしかして、これがなにか気になる?」
「すごい楽しそうだね。理科好きなんだもんね。もちろんさ、気になるよ?それは何かな」
「これはね、苛性カリ。すごいよね、さすがデスゲームの会場。こんな劇薬までおいてるなんてね。やるよねえ、本当に。今から、これをあなた達にぶっかけるよぉ!?飲んでもいいけどね?さあ、生きるか死ぬかの戦いが始まるねえ!?」
早口で興奮気味にいい切った糖は、まだ興奮が収まらないのか顔が真っ赤だった。
「生きるか死ぬかの戦い、か……洒落たこと言うじゃん」
穫盧の言葉に、その場に居合わせた全員が反応する。動揺する者も明らかに挙動不審になる者もいた。ただ一人、糖を除いて。
「違うっていうのか?だって、お前ら数来、糖も御酒、春燈も自殺志願者だろう?」
糖の、美しい茜色の目が揺れていたのを私は見逃さなかった。
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次の投稿は3月11日です!
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※エピ=エピソードの略




