十字路に棲む女霊 10
この話に来てくださりありがとうございます。
超………お久しぶりです。
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結局、俺の家に行かずに、またこの十字路にまで来てしまった。
那森さんはここに来て姿を消した。
もうその姿は俺達には確認できないけど、おそらく何処かからか見張っているはずだ。
狭間さんの家を出る前、狭間さんのPCを借りて俺は藤巻の唯一と言っていい友人、マロンと結構な時間をやり取りした。
それで結構時間を食ってしまった。
その間、狭間さんは携帯で勝丸さんとSNSでずっと話しあっていた。
何を話していたのかは分からない。
だけどその話内容はかなり深刻な内容らしく、さっきからずっと険しい表情のまま話そうともしない。
なりを潜めて無言のままさすがに居心地が悪くて仕方ないので、何度も見た周囲の風景をまた見る。
陽は沈んで、辺りはかなり暗くなってきた。
携帯で時間を確認すると、18時過ぎ。
那森さんは俺達の事も見ているんだろうか。
もし、このまま藤巻が来なかったら、きっと今度は呪いじゃなくて”この役立たず!” と、俺は改めて那森さんから呪殺を受けることとなる。
これから起こる二つの予想。
一つ、藤巻が来なかったら俺と狭間さんは死ぬ。
もう一つ、藤巻が来たら、俺と狭間さんはが藤巻の命を差し出して助かるってことになる。
そりゃ狭間さんと那森さんからすれば、藤巻が殺られても自業自得なんだろうけど、俺にとってはかなり後味が悪い結果だ―――。
「なぁ、涼」
黙、の状態だった狭間さんに急に呼ばれた。
「な、何?」
「もし、いや……『もし』じゃねぇな。解決できて助かったらお前はすぐに帰れ」
さっきまでの穏やかさの欠片もないトーンで狭間さんが言う。
「え……? 何で? 狭間さんはどうするの」
「俺は……この一件でやる事がある。……っつうか、出来たからよ。俺が合図したらお前はすぐに家に帰るんだ。何も見ずに何も聞かずにだ……分かったな?」
念を押すかのようにギラついた視線を、狭間さんは俺に突き刺す。
「うん……。分かった……よ」
いや、圧がすごいよ。
仕方がないので躊躇いつつ、あっさりと受け入れた……。
そうしたものの……。
ねぇ、うん。
めっっっちゃ、くっっっっっちゃ気になるだろ。
何があったか話せない重力かけてくるけどさ!
絶対に何か進展があったんだろ!
しかも悪い方向に!
勝丸さんと僅か一時間足らずの会話でナニ話したの?
ちょっとぐらい何か言えよ!
そう俺がモヤッッッ!としていると、それはなんとも間が悪く。
「涼と同じ制服姿の奴……が……来たぜ…? あいつが藤巻か? 涼」
狭間さんが潜めた声で慎重に訊いてきた。俺達は十字路を東の道路側で潜んでいる。
そこから左手の道路、南側から何人かのまばらな人影がいる中に。
一人、辺りの様子をキョロキョロと見たりまた、睨むように視線を散らしている奴がいた。
ご丁寧に中之中高の制服まで着ている。
あの世の中を信用しない独特の姿勢、間違いない。藤巻だ。
「うん……。藤巻だよ」
その姿に落胆と安堵感と、うじゃうじゃモヤモヤ感が一時に押し寄せてきた。
ターニングポイントとか運命が変わる瞬間ってなんでこう、来なくていい時に来て、来て欲しい時に来ないのか。
それはまるで便意が如く………。
俺は今きっと、かなりややこしい表情をしている。
……はずだ。




