動く石像(仮)
フラガラックの守護神を名乗る少年の挑戦が始まる。
肩慣らしにと、彼が呼び出したものは……コンクリ像だった。
「すごいですね! はんどぱわーみたいです。驚きのあまり、いろいろ出てしまいそうになりました~」
まく朗は手品を見た子供のような反応をした。
マイペースを貫くつもりのようだ。
「どうだい? 本当は、あの迷宮にいた時点で起動するんだけど、織田の血を引く者がいると動かないように作ったから素通りされちゃったんだよね」
「ほお、ワシがいると罠が起動しないのか。それはすごい仕組みだがや」
「比部、僕たちの技術力を甘く見ない方が良いよ。人間よりもずっと優れたテクノロジーを有しているんだから。……それで、これは一体なんだと思う」
「コンクリートの変な像にしか見えんけどな?」
「そっか。じゃあ、答えを教えてあげるよ」
少年がそう言って指をパチンと鳴らすと、そのコンクリ像達がブルブルと震えだした。
そして、しばらくすると、その背中のあたりから、にょきにょきと、羽根が生えてきたではないか!
これは、実に気持ち悪い。今までは何とかキモユーモラスに収まっていたが、ここまで行くと普通にキモい。リボンのついた白猫をムキムキにした上に悪魔のような羽まで生やすとは、正直サン〇オに土下座して謝って欲しいと思う。しかし、とりあえず、この像の正体はわかった。
「……ガーゴイルか!」
「そうだよ、ジャンヌ。こんなに生々しく動くのを見るのは初めてじゃない?」
「ああ、ファンタジーなどで人を襲うのは良く聞く話だが。これも、そうなのか?」
「勿論さ! 君たちには、今からこの僕お手製のガーゴイルたちと戦ってもらうよ!」
「!!」
「さあ、わが僕達よ……侵入者に制裁を!」
その言葉通りに、ガーゴイルたちは私達に襲いかかってくる!
相手は多分コンクリートだ。まともに殴り掛かられたら私などひとたまりもないだろう。
私は、とりあえず離れて距離をとろうとする。しかし、私の運動能力が前世のと比べて大幅に落ちているうえに向こうのスピードの方が圧倒的に速く、簡単に追い付かれて前を取られてしまった。とても、反撃はおろか逃げ切る事すらできない。キティゴイル(仮名)のコンクリートの巨体はジリジリと迫り、遂にその硬い右腕が私に襲いかかる!
「チェストォ!」
バコッ! と、言う音とともに目の前で粉じんが舞った。
私が目を凝らすと、前方にいたのは斉藤さんだった。斉藤さんは、その怪力でキティゴイル(仮名)の腕を粉々に砕いていた。そして、続けてその懐に正拳突きをお見舞いする。キティゴイル(仮名)は腹を砕かれるとその場にばたりと倒れこんだ。
「大丈夫かい!? ジャンヌ君!」
「はい……ありがとうございました。」
「それはよかった。……くら姉! そっちはどうだ!?」
斉藤さんが振り向いた先を私も見ると、そこには二体の腹を真っ二つにされて倒れているガーゴイルと余裕しゃくしゃくと言った感じの比部さんとまく朗がいた。
「大丈夫にゃ! この位のもんなら、ワシの刀でこの通り一刀両断だがや!」
「2人ともすごいですね~」まく朗がその場で拍手する。
ガーゴイルは、こうしてあっけなく倒された。
私は改めて、比部と斉藤さんが一緒に来てくれてよかったと思った。




