竜の血族
ガーゴイルたちは、比部と斉藤があっさり倒してしまった。
守護神を名乗る少年の次なる一手は?
「……へえ、やるじゃないか!」
少年は私の方を見ていったが、私は何もしていない。
逃げただけである。ただ、とりあえず私に話しかけているようなので応えねばなるまい。
「次は、何をするつもりだ? 他に魔物でも出してくるのか?」
「ジャンヌ、残念だけどそれはないよ。何せあの迷宮にいたモンスターたちはナイーブだったから、みんな地球環境の変化に耐えられなくて絶滅しちゃたんだ」
ええっ!?
さっき冗談半分で言っていたことが本当だったとは……と、言うかここって地球じゃなくて異次元じゃないのか? ツッこみどころは多いが、向こうはこちらより思考能力が進んでいるんだから、聞くのは下種だと思ったので、特に何も言わなかった。
「だから、次は、僕が直々にお相手するよ!」
「へえ、いよいよ本番ってところか」比部がたじろぐ事無く言う。
「ウズウズするよ、僕の右目の<竜玉>が君達の存在に昂揚してウズウズする! 戦いたくってしょうがないって騒いでるんだ! 」
まるで邪鬼眼の言うセリフだ。
しかし、彼はある意味本物の邪鬼眼な訳だが……
「さあ、久しぶりに見せてあげるよ! 僕の本当の姿をね! チェンジ・ドラグーン!」
そう言った少年の、キタロウみたいに隠れた右目が赤く光を放つ。
そして、見る見るうちに体は大きくなり、3メーターはありそうな巨大な竜へと姿を変えた。
体は、マグマのように真っ赤に赤い鱗で覆われており、背中にはガーゴイルとは違った、カッコいい翼が生えている。頭部もまさにファンタジー顔負けの、威圧感のある角を生やし、大きな白い牙が口の隙間に覗いていた。
「わー、ドラゴンだ! デジカメ持ってくれば良かったな~」
まく朗がそう楽しそうに言ったが、確かに写真に収めたいと言う気持ちはわかる。
ただ、生きて帰れなかったら全くの撮り損になるけど。
「悪いけど僕、フラッシュ撮影は嫌いなんだよね」急に野太くなった声で少年は言う。
「日本には多くの竜の伝説があるだろう? あれは、本当なんだよ」
「確かに、こんなものを見せられては否定する者はいまい」
「さあ、僕を倒したらフラガラックは君のものだよ! もっとも、できなかったら比部以外はみーんな死んでもらうけどね」
私達は、距離を取り、臨戦態勢を取る。
比部と斉藤さんが縦になるように達。私たちはその後ろで会ってないような中途半端な何の格闘技でもない構えを取った。
普段の生活と随分遠いところに来てしまった感じだが、いよいよ決戦の時が来たようだ。
勝利しか生き残る道はない。久しぶりの最前線を私は肌で感じた。




