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その「先」へ


 大須地下迷宮の奥へと進むジャンヌ達。

 変なコンクリート像を幾つか見つけたが、理由は分からずじまい。





 どれくらい歩いただろうか?

 こういう閉鎖的空間にいると時間がどれほど経ったかわからない。私の土踏まずの小さい足の裏は、とりあえずもう痛くなっていた。これほど足を酷使するのは久しぶりだ。


 「しかし、やはり妙だな」


 「ジャンヌ様?」まく朗が首を横に65度くらいにしてこちらを見る。

 

 「明らかに広すぎる。これだと、ほぼ大須の下一帯がこの迷宮になっている事になる。こんなものがあったら地下鉄か何かに接触するのが普通だ。しかし、そんな様子が全くない……」


 「そうですね~階段はそこそこ長かったから、結構地下深くなのかもしれませんけど、電車の揺れとか何かが聞こえて来る様子もありませんね~」


 「もしかすると、ここは既に大須では無いかもしれない」


 「え! もしかして異世界に入っちゃってるとか?」


 「それもあり得るってことだ。どうも、ここに漂う雰囲気は普通じゃないんだ。何かこう、空気がただの空気で無いような……」


 「ジャンヌ様、感受性鋭くて羨ましいです~そうなると、この地図にある<先>ってところから向こうは(いにしえの)の魔王の城とか謎の宇宙空間があったりするんですかね? 楽しみだな~」


 「それも否定できない。その感じだともうすぐその地点に着くな。私も何だか胸が高鳴って来たぞ」



 更に歩く事、おそらく数分。

 私達は遂に地図の示す最後の地点<先>まで辿り着いた。

 通路の先には大きな扉がある。



 「おばぁの残した地図もここまでか。あとは、何が待っているか分からん。みんな心して掛れよ!」


 「わかってるっス」斎藤さんがビシッと敬礼の様なポーズを取る。

 「まかせてください。姉さんたちは俺が守ってみせます!」


 「おお、斎藤君いい事言うじゃん!」


 「ですから、その、これが終わったら……」「よし、それじゃあその扉を開けてくれ、斎藤君」



 斎藤さんが何か言おうとしたが、比部はスルーした。

 正直、ワザとやったように見えた。



 「それじゃあ、開けるっス……」


 「ゴクリ」まく朗が声を出して言った。


 扉は、私達では無理なくらいに重そうだった。

 斎藤さんの力を持ってしてもゆっくりとしか開いて行かない。扉の隙間から見える青白い光はだんだんと大きくなり、扉が完全に開き切るとその姿を私達に見せつけた。



 「これは……」


 「すごいですね~この世のものとは思えない光景です」



 まく朗の言うとおりである。

 その洞窟のようなところは、天井が全てクリスタルの様な石で出来ている。そして、それが、自ら光を放っているのだ。実に、大須とは思えない神秘的な空間だ。昔現世の家族と行った、鍾乳洞の10倍は凄いと思う。



 「お前ら、見とれとらずにさっさと進むぞ。これ以上のものがこの先にあるかもしれないからな」


 「はい」くどいようだが、返事をしたのは斎藤さんとまく朗だけ。


 「よし、それじゃあ進め。その<先>へ――――な」



 私達は、扉を抜け、その道の空間に足を踏み入れる。





 

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