GONG
ジャンヌ達は織田比部からチケットを貰った。
書いてある通りの日時と場所に向うが、そこで行われるイベントは一体?
カァン
第二ラウンドは始まった。
会場は沢山の観客の声援と熱気に包まれている。
目の前のリングの上では、屈強な2人のレスラーが互いに向かい合い、距離を測っている。
かつて、私も戦地に赴いた身だが、その時と似た緊迫感がそこには漂う。漲る闘争心は目には見えないが、ひしひしと伝わって来た。
徐々に2人の間合いが詰まっていく。
そして遂に彼らの片腕が交わり、ぐっと組み合う。
暫く、沈黙のやりとりが続く。
「おぉぉぉ!」
観客がどよめく。
先に動いたのは、覆面の男の方だった。男は、素早く後方に回り込み相手の両脇を抱え込むと怪力で高く持ち上げて自らの後方に投げる! ドガッと言う音と共に、相手レスラーはマットに思い切り叩きつけられた。
「あれは、エベレスト・ジャーマンスープレックス! 大きく出たねぇ!」
比部が、まるで漫画の様に技の名前を説明する。
あんなに勢いよく投げられては、ダメージが無いはずもない。技を受けた男は、倒れたまますぐに立ち上がる事が出来ないでいた。そこに、覆面の男はジャンプして飛びかかりひざ蹴りをお見舞いする。実に容赦ない追撃だ。相手レスラーは、反撃も出来ないまま尚も立ち上がれない。
「立てー!」
「ジョー!」
観客の声援はあるが、遂に倒れた男の上に覆面の男がのしかかった。
仕留めに来たようだ。
レフリーが近づきカウントを取り始める。
1(ワン)……2(ツー)……バタン!
3(スリー)が言われる直前の間一髪のところで、倒れたいた男は覆面レスラーの圧し掛かりを振りほどいた。そして、自らの体を持ち上げると、手を招いて「こっちへ来い」と言うような挑発的ポーズを取る。
「アンガー!」
覆面レスラーは、この挑発に大して激昂すると、後方のロープを利用して体当たりを仕掛けた。大柄な彼の体当たりは、まともに喰らえば私のような華奢な美少女ではかるく骨が数本折れるだろう。いや、内臓が破裂しそうだ。
しかし、相手のレスラーもいつまでも攻撃を喰らい続ける程に柔では無い。
飛び込んできた相手の顔めがけて腕をぶつけた。
「よし、カウンターのラリアットが決まった! ここから反撃開始だがや!」
比部はまたも説明口調。まあ、技の名前とか知らない私にとってはありがたい話なんだが。
しかし、まさかこんなプロレスの試合に来る事になろうとは思ってもいなかった。しかも、最前列での観戦だ。フラガラックを探しているうちにこんな所に辿り着くなんて、何だか妙な気分である。
初めて見るが、こういう屈強な男たちの戦いを見ると、かつてあったコロセウムと言うものを思い出す。いつの世も、強い力と力のぶつかり合いと言うものは大衆の心を躍らせて掴むようだ。




