大須地下迷宮
身代わり不動には、秘密の扉を開くための秘密があった。ジャンヌ達は、織田さんの言うとおりの行動をしたのだが、果たして扉は開いているのか?
神社に戻ると、織田さんは本殿の中に私たちを入れてくれた。
密室ではないが電気も点いていないので、中は薄暗い。
「この、神棚の下に階段があるんだがや」
そう言って、織田さんが神棚をゆっくり押すと、下には大きな板が見えた。さらにそれを取り払うと、そこにあったのは地下へと続く階段だった。まるで、どこぞのロールプレイングゲームのような感じである。
段差の小さい階段を懐中電灯の光だけを頼りにしばらく下ると、1つの大きな部屋が広がっていた。
そして、その奥には漆黒の闇が口を開ける。何だか本格的に冒険っぽくなってきたようだ。
「んにゃ。ちゃんと開いていたな!」
「ここが……」
「そうだ、ここが<振我楽>が眠る<大須大迷宮>だがや!」
「おおす、だいめいきゅう……」
「大須の地下にこんなもんがあるって以外だろ? ……ワシだって、おばあから初めて聞いた時には耳を疑ったもん」
「すごいですね~早速入りましょうよ!」まく朗がそう言って、暗闇の中に入ろうとする。
「ちょっと待て! 何も準備なしに入るつもりか?」
「えー? もしかして、結構危険なんですか?」
「そうだがや。ワシもちゃんと把握しとらんけど、盗人から守るためにたくさんの罠が張られとるらしい。それに、物の怪もいるって噂まである……」
「もののけ……つまり、もっこし とか しろいわに みたいなモンスターがいるかもしれないんですね! すごいなぁ」
「星をみるひと」のモンスターを例に出しても、すごいかどうかわかりづらいと思う。
ゴブリンとかオークとかドラゴンとか言った方がわかりやすかろうに……まく朗はよっぽどクソゲーが好きらしい。
「……とにかく、あんたら二人で行かせるのはどう考えても危険だわ」
「そうですね……」
確かに。
私は中身こそジャンヌダルクだが、肉体はただの美少女。しかも、長年ひきこもっていたから、体力も無く、運動能力も普通以下のなのだ。もしモンスターなどに襲われたらひとたまりもないだろう。まく朗も、見るからにドジっ子文化系部活タイプだから戦力としては全く期待できない。だから、誰か助っ人を頼みたいところだが、残念ながら当ては全くない。これは弱った。
「うーん、まあ、とりあえずワシはついて行ってやるがや。中の様子を一度見てみたかったしな」
「え、良いんですか?」
「お前らだけで行かせて何かあったら、ワシも心苦しいし。一応刀術免許持ってるから、おみゃーさんらよりは頼りになるはずだがや」
「ありがとうございます」
「うむ。ただ……ワシだけでもちょっと不安じゃのぉ。そうなると……」
織田さんは、懐中電灯をくねくね動かしながら暫く何かを考えていたが、急にポンと手を叩いた。
「いたいた。アイツなら頼りになりそうだがや!」
「ええと、それは誰ですか?」
「んにゃ。まあ、とりあえず一度上に戻るぞ!」
長い階段を再び引き返す。
なんだか行きと比べてやたら角度が急に感じた。




