二度ある事は
FOX老人から、大須に伝わる魔刀<振我楽>の話を聞いたジャンヌ。
フラガラックとの共通点を見出し、この刀の事を知るという人物の元へ赴く。
FOXの案内で、たどり着いたのは目立たない小さな神社だった。
鳥居の一つには「須九裳神社」とある。読み方はわからない。
鳥居をくぐると、シンプルな本殿があり、その横に人の住んでいそうなプレハブの家があった。FOX老人はこのプレハブ小屋の入口に立つと、横に備え付けられていたブザーを鳴らした。チャイムの変わりだろうか? まるでバラエティショップで売ってる「おしゃべりヒチメンチョウ人形」の声みたいだったので、不覚にも笑いそうになってしまった。
「クーちゃん! いるかの!?」
老人が大きな声でそう言うと、中からドンドンと言う音がして、横開きの扉がガラガラと開いた。
「おー、フミオさん。こんな時間に、どうしたんよ? ……おっ、あんたらは!」
FOXの本名があっさりとバレました。
そんな事よりも、出てきた人物に驚くべきだろう。それは、先週会ったあの巫女装束の女性だったのだから。この神社に来た時点で若干、もしかしたらという予感はしたが、さすがにドンピシャだとは思わなかった。本当に巫女だったんだな、この人。
「やっぱり二度ある事は三度あったなあ! んで、何か用か御三方?」
「実はなあ、こちらのジャンヌ様が<振我楽>の事を詳しく知りたいそうなんじゃ」
「ジャンヌ様? あはは、もしかしてジャンヌダルクの生まれ変わりとかか!?」
いや、実際にそうなんですけど……
中々と勘は良さそうだ。
「どうにかならんじゃろか?」
「うーん……おばぁと仲良しだったフミオさんの頼みだしなぁ。ま、立ち話も何やで、とりあえず中に入って茶でも啜っていきや」
巫女さんに案内されて、プレハブの中の広い居間に私達は座らされた。
ただ、FOXはこれから用事があるという事で「ジャンヌ様をよろしく」と言ってさっさと帰って行った。せっかくだからサポートしてくれればいいのにとも思ったのだが、私たちの話の邪魔になるかもしれないと思っての気配りだったかもしれない。
「ふー、どうね? この部屋。」
「ええと……」
部屋の中にはいたるところに人形が置いてあった。
市松人形ではない、メッキーやネコのぬいぐるみとか、ロボット物のプラモとかフィギュアとかそういった人形である。床は畳の和風な内装にその人形たちは意外とマッチしていて、なんだかレトロな雰囲気を醸し出している。棚には同人誌や週刊マンガ、女性誌が乱雑に置いてあった。「楽しい部屋ですね!」とまく朗が言ったが、それで正解だと思う。
「ふはは、そうやろ! 1人暮らしはいいぞ? 置きっぱなししたかて誰も文句言わへんからな」
「あの、それで……」
「ああ<振我楽>の事か。フミオさんからは、大体聞いたん?」
「はい、それで、詳しい人がいるからという事でここに来たんです」
「そうか、ここまで来るってことは……つまり、在処を探してるってことやな?」
「……はい」やはり、察しが良い。
「面白い恰好やけど、やってることも面白いなぁ! よしよし、此処であったのも何かの縁……では、まず第一に教えてやろう。この 織田比部 は<振我楽>の在処を知っているっ!」
「!!」




