老人との再会
大須観音にやってきたジャンヌ達。
目的の達成をお願いしたが、果たして効力は……
「願い事、叶うといいですね!」
「ここはそういうところじゃない気がするんだがな……」
「私は、お願いしましたよ~<これからずっとお通じが良くなりますように>って」
「ああ、そうか……」
結局、大須観音で何も情報収集することもなく、私たちは階段を下りてきた。
これからどうするかも決まってないので、とりあえず境内で足が止まる。さて、これからどうしたものか……そう私が悩んでいた時だった。
「おお、ジャンヌ様!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
ふっと声のほうを向く。そこにいたのはFOXだった。
「あ、お久しぶりです」私はその年長者に対して丁寧語で話す。
「そうじゃのぉ、直で会うのはあの時以来じゃからな! そっちのまく朗君も、元気で何よりじゃ!」
FOXは、まく朗と同じく私のブログの仲間だ。名前はもちろん仮名だろう。
オフ会の時に、実物を見て驚いた人物の一人だ。いつものコメントが高校生風だから、まさかこんなご高齢のお爺さんだとは思っても見なかった。しかし、若者に負けないパワフルな人物であり、彼の話す武勇伝は会を大いに盛り上げた。そんなFOX老人と、ここで再開するとはこれまた思っても見なかった。
「このあたりに住んでいるんですか?」
「そうじゃ。昔からここに住んでおってなぁ、若い頃はブーブー言わせとったのよ! 麻雀が強くて、周りからは<鳴きのフーちゃん>と呼ばれとったわ」
「また新しい武勇伝ですね。……そういえばあの時は、笠松に住んでたって言ってませんでしたか?」
「それは、さらに昔の話じゃ。今でも笠松には良く行くぞい! 今日だって、笠松競馬で勝てますようにと大須観音様にお願いしに来たんじゃ!」
そのお願いは、多分叶わないと思うぞ。
「ジャンヌ様」まく朗が服を引っ張る。
「せっかくだし、聞いてみたらどうですか? FOXさんなら聞いてくれそうだし、詳しそうだし」
「むう、そうだな……」
確かに、この老人ならばある程度は理解を示してくれそうだ。
あまり、こちらの行動を知られないほうがいいとは思うが、これくらいはやむおえまい。
「あの、FOXさん……」
「なんじゃね? ジャンヌ様」
「このあたりで、フラガラックと言う剣の話を知りませんか?」
「んにゃ? ふるがらく?」
出た! おじいさんキャラのお約束、聞き間違い!
かと、思ったのだが……
「それなら知っているぞ。」
「?」
「伝説の名刀<振我楽>じゃろ? この辺でも知る人ぞ知る話じゃわい」
「それは……!? 是非とも、詳しく聞かせてください」
「ふぉふぉ、ジャンヌ様がおっしゃるのならお安い御用じゃ! このワシの知っている限りの事をお聞かせしますぞい!」
FOXはコホンと小さい咳をした。




