盗んだのは誰?
「嘘だろ!誰がこんな事したのかな」
「どうしたんですか?」
「えっ!守くんの声が聞こえたよな?」
「聞こえた様なじゃなく俺が喋っているんですよ」
「えっ!守くんどこにいるんだい」とあたりを見渡す店長
「ここですよ!ここ」とダンボールに変装した守の姿があった。
「うわぁぁ〜」と大きな声で店長は座り込んだ。
「ちょっと大声出さないでくださいよ」
「何でそんなとこでそんな格好してるんだい?」
「何でってダンボールに同化してたからですよ」
「なんの為に?というか守くん今勤務中だよね?」
「仕事より自分の命の方が大切なんだから。仕事なんていくらでもあるんですよ。」
「まぁそうだけど。それと今の状況が何の関係があるんだい。」と店長が困惑する。
「仕方ないから説明しますよ。」
と守は語り出した。
「試食していきませんか〜大人気の出汁ですよ〜ぜひご賞味ください。…何でだろう誰も寄ってこないや」
と不思議がる守に対し
「守。何してんだよ。」と呆れ顔の武。
「武。見れば分かるだろ。新商品の出汁の試食をやっているんだよ。武も一杯飲んでみる?」と進める守。
「そんな商品が出たんだな。知らなかった。俺も客にこの商品の事聞かれるかもだからな飲んでみるか」と一口飲む武。
「どう美味しいだろ。」
「ん?ただの水じゃないのか?」
「あ〜もしかして共食いみたいなものだからかな。そう感じるかもね。」
「共食い?どう言う意味だ?」
と武が困惑した。
「その出汁、武からとった出汁なんだよ。ほら鳥とか豚からとった出汁って美味しいから、だから人間のも美味しいって思ってさ。昨日武が入った後のお風呂のお湯を拝借したの」
「はぁぁぁぁ!?」
と武はびっくりする。
「ちなみにこれ買うとセットで武の入浴シーンが!これでさっきおばさん3人ぐらいが買ってくれたよ」
「テメェ!くらすぞ、」と武は怒った。
「って事があって今武から追われてて命の危険なんですよ」
「本当に守くんはいつもロクなことしないなぁ〜」と呆れる店長。
「そんな言い方しなくても。店の為に売り上げあがるかなって思って」
「上がるどころかクレームがきそうだけどね」と店長がため息をつく。
「ところで店長はさっき何を嘆いていたんですか?」
「それはね店の倉庫からタバコが盗まれてしまっているんだ」
「えっ!?」
「実はこの前もあったんだけどその時は仕入れのミスかと思ったんだがね今回もだからなぁ」と店長が頭を抱えた。
「店長、犯人探しましょう。実は俺こう見えて何でも屋っ仕事してるんですよ。」とにこやかに守は笑う。
「何を言っているんだい。」と店長がまたため息をつく。
「最近タバコを盗んでいる人がいるんだけど誰か心当たりある人はいますか?」
閉店後店長は従業員を集めそう言った
そうすると
「そんなの盗る人なんて1人しか居なじゃない」とパートのおばさん、つぼねさんが言った。
「えっ!誰ですか?」とびっくりする店長
「武さんよ!見た目からしてヤンキーなんだし悪さしてそうじゃない」と自信満々に言う。
「いや武はそんな事しませんよ。だって武はまだ18歳なので!」と守はすぐにその言葉に返す。
「ふん!どうだがヤンキーはそんなの関係なくタバコ吸うでしょ!ねぇ武さん!」と圧をかける様に武に詰め寄った
「俺はやってねぇーよ!」と武も言い返す。
「そうだよ。武は年齢制限を守る人だよ。この間も18歳になってから初めて大人のコーナーに入って行ったんだよ」と守は間に入って言う。
「テメェ〜そんな所見てやがったのか」と武は顔を赤らめて守の頭を叩いた。
「とりあえず確定ではないのに犯人にするのは辞めましょう!今日の所は解散で」と店長が言って皆が帰宅する。
その後詰所で店長がうなだれて
「やはり名乗り出る人はいなかったか」
と落ち込む姿が
「警察には相談しないのか?」と武が声をかける
「あっ武くんまだ居たのか!そうだねまずは盗んだ理由が知りたくてな!それより何故守くんはそんなにぼろぼろなのかな?」
「こいつは今朝俺の出汁とか言って変なもの売ってたからシメたんだ!」と武が守を引きずりながら言う。
「イテテ!でも店長そんな事言っても早めに対処した方がいいんじゃないですか?」
と守は起き上がる。
「そうなんだけど。これまで一緒に頑張ってきた従業員を疑いたくなくて」
「よし!じゃあ俺と守で犯人を探し出してやるよ!」
「えっ!こんな事言うのもあれだけど守くんがこう言う時に役に立つとは思わないんだけど」と不安そうな店長。
「バカとハサミは使いようって言うだろ!守もやる時はやるから見てなよ!」と笑いながら武は喋った。
「そんな言い方しなくても。」と口を尖らせながら武と一緒に倉庫に向かった。
店長が店を閉めて帰ろうとすると武と守が倉庫から出てきた。
「まだいたんだね。もう店閉めるから2人とも帰りな」
と店長は元気のない声で喋る。
「あぁ!俺たちももう帰るよ!帰るぞ守」
(何故2人とも体が汚れているんだろう)と不思議に思う店長を置いて2人は帰って行った。
後日店長が在庫確認の為倉庫に入る。
「まただ。」と落ち込む店長。
「どうしたんですか?」
「あれ?また守くんの声が!またダンボールに変装しているのかい?」とあたりを見渡す店長。
「ブッブー。今回は柱と同化してました〜」と言いながら柱から出てくる。
「また変装しているって事は何かやらかしたんだね」
「そんな事よりどうしたんですか?」
「あぁ。またタバコが盗まれているんだよ。やはり警察に相談するしかないのかなぁ」と頭を抱える店長。
「大丈夫ですよ!そのうち犯人が分かりますから」と守が言ったその時。
喫煙所の方からパンッ!何かが破裂する音が聞こえた。
急いで喫煙所の方に行くとそこにはつぼねさんの姿が!
「つぼねさんどうしたんですか?」と慌てる店長。
「タバコ吸っていたら突然爆発したのよ」とむせこむつぼねさん。
すると後ろから
「だってそれ火薬いれたタバコだからな」と武が入ってきた。
「どう言う事なのよ」と怒るつぼねさん
「倉庫にあるタバコに火薬を詰め込んだよ」と武の後ろからひょこっと顔出し守が言う。
あの日守の得意な手先の器用さとメイクの上手さを使ってタバコに仕掛けを施していた。
「え〜そんな事してたんだね。だからか守くんが色々な物に変装しても見つかりにくいのは」
と店長が驚く。
「でもこれで盗んだのは俺じゃなくてつぼねさんって事だよな」と武は腕を組む。
「旦那は安月給だし最近何でも値上がりするから盗んだのよ」
と逆ギレしだすつぼねさん。
それに対し守は
「とりあえず武に謝ってもらっていいですか?あなたが犯人なのに武に罪をなすりつけた事」
と真顔で言う。
「ふん!謝るわけないじゃない!紛らわしい見た目してるからいけないのよ!こんな所やめてやるわ」と制服を武に投げつけなから帰るつぼねさん。
「あの野郎〜」とイラッとした武。
「つぼねさんは長くここで働いてもらっていたから悲しいですが警察に相談しましょ」
と店長が肩を落としたがその直後
「その心配はいりませんよ。後は俺が懲らしめますから」
と守は突然店を出て行った。
次の日守は出勤日なのにも関わらず店に来なかった。
「あれ?守くんの姿が見えないけど武くん何か知らないかい」
「まさか!あいつ〜」
と何か思い当たる節があるのか、
電話をしようとすると
消防車の音が聞こえる。
「うちの近くに止まったみたいだね。様子を見てみようか。」
と店長が武に言い音のした方へ向かうと
つぼねさんの家が火事になっている。
2人が呆然と火事を見ていると後ろから
「自業自得ですね。」
と後ろから守の姿が。
「どういう意味なのかな?」と首を傾げる店長。
「あの後また盗むと思って火薬の量を倍にしてオイルまで染み込ませたんですよ。」
「え!?何でそんな事したの」と焦る店長。
「俺も武に謝ってくれさえすればここまではやらなかったんですけどね」
と守は静かに話した。
「店長すまない。俺が守を止められなかったんだ。頼む警察には言わないでくれないか」と武が店長に土下座した。
店長はしばらく考え込み
「分かった。警察には言わない。悲しいけどこんな事が起きた以上うちの店でも置いておくのは難しいから退職してもらうかもだよ」
と悲しげな顔をする店長。
その後俺たちはバイトを辞めた。
「あ〜あまたどっかでバイトしないと何でも屋だけじゃ食っていけなぁ〜」と背伸びをしながら武は歩いた。
「ごめんな。でも俺どうしても我慢できなくてさ」
と立ち止まり守は下を向いた。
「気にするなよ!それにあんな奴の謝罪なんていらなかったんだよ」
と武は笑った。
「さて今度は何して食い繋ぐかぁ〜」
「それに関してはいい案があるんだよ。だから待っててね。」と守が笑う。
後日近所の噂ではつぼねさんがやってきた事が旦那さんにもバレ離婚。そしてお店から盗んだことも警察に言われ損害賠償され借金まみれに。
「ざまぁ〜みろ!バチが当たったんだよ。それにしてもお前はキッチンで何してるんだ?」と武が起きてきた。
「ん?この間いい案があるって言ってただろ。ラーメン屋を開こうと思って」
「ラーメン屋?何ベースのラーメン作ってるんだ?」
「武ベースのラーメン!」と言った守の横には見覚えのある水が
「まさか!?お前また俺の風呂の残り湯を」
「ピンポーン!正解!」とニヤつく守。
「テメェ!懲りねぇみてぇーだな」と武は守を追いかける。




