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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師との冒険〜 第3章 冒険者への道

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第49話 ギルドでの会話

「……うん、オモロいで、ヒロユキ」


 今、俺はヒロユキが書いた小説を読んでいる。

 何でもパーティーに読ませるのはまだ恥ずかしいからだと言っていた。

 ヒロユキの気持ちはよくわかる。

 俺も家族に自分の小説を読ませてない。

 サイレンには結果的にバレた。

 だが、バレなかったら今でも読ませていたか怪しい。

 でも、小説家である以上、誰かしらの感想は欲しいものである。


「ほ、本当か?」

「まあ、“俺は”が付くんやけどな。

 ほんでも話の構成は中々だと思うで」

「よ、よかった~」

「ただし、説明のし過ぎは厳禁で作者にとって最低限のルールやで。

 読んでもらいたいんやったら読者のことも考えんとな」

「そうなのか?

 世界観を知ってもらうのなら先に説明しないとダメではないのか?」

「ちゃうで。

 読者は早く世界に入りたいし、何でもかんでも説明されたら退屈やん?」

「……ああ、確かに」

「ついでに作者も楽しまなあかんで。

 お前が今書いている小説の一番の読者はお前なんやからな。

 お前が飽きたら長続きせえへんで」

「……僕だけが楽しんだらつまらないのでは?」

「つまらないことはあらへん。

 類は友を呼ぶと言うやろ?

 お前がオモロいと思うんやったら……

 少なくとも感性が合っている者もオモロいってことになるんや」

「なるほど……」

「継続は力という言葉もある。

 ずっと書き続けていれば自然と書く能力も上がると思うわ」

「ありがとうな、相談してくれて」

「ええねん。

 俺も読んで貰っとるし」

「練人の小説も面白いぜ。

 盗賊が探偵やるとは思わなかったし……

 戦闘が主じゃなくて被害者が誰なのかとかが主な話で動機もわかりやすい」

「おおきに」

「練人、またな」

「おう」

「……終わったか?」

「悪い悪い待たせたな」

「……構わん」

「また小説の読み合わせみたいなことあるけど、ええか?」

「……いいが、練人も小説を読んだりするのだな」

「まあな。

 ジャンルは俺とちゃうから良かったけどな。

 自分がして欲しいことがあるんやったら自分からやらないとあかん。

 小説家として成功したいんやったら尚更や」


 リシアとの模擬戦以降、俺の実力が認められている。

 だからか、話し掛けてくる人も増えつつあった。

 また、小説家を目指していることも知られた。

 ヒロユキみたいな奴から相談を持ち込まれることも多くなった。

 だからなのか、俺としても少しだけ自信とやらが付いたような気がする。


「……ほんで今日依頼どないするん?」


 今日は依頼を受けようと思って来た。

 だが、悩んでいる間にヒロユキに話し掛けられて小説を試読していた。

 試読している間にサイレンはめぼしい依頼を探していた。


「……今見つけた依頼はどうだ?」

「何々?」


〈サソリ戦士討伐依頼

 最近、サソリ戦士が出没して被害が増えています。

 いずれ、人も襲い掛かるかも知れないので討伐をお願いします。

 報酬金:八百デラル。

 サソリ戦士一体につき八百デラル〉


「サソリ戦士?」

「……尻尾に毒を持っているサソリ型の魔獣だ」

「強いん?」

「……リシアと私と比べると弱い。

 が、サソリ戦士の尻尾には毒がある。

 油断して刺されでもしたら大変なことになる」

「……下手すれば死にそうやな」

「……普通のサソリは臆病だ。

 だが、サソリ戦士はむしろ凶暴で魔獣や人を捕食することもある」

「マジもんの危険な魔獣やな」


 ドラゴンの鎧だからサソリの尻尾が貫通すると聞かれたら微妙だ。

 だが、防具には動きやすいように関節部分とか柔らかい部分もある。

 柔らかい部分を貫かれたら毒が体内に入ってしまう可能性もある。


「……油断できひんわな、サイレン」

「ああ……

 そして、当然だがサソリ戦士を捕食する魔獣もいる」

「捕食する魔獣が来る前に駆除せなあかん……

 やろ?」

「……その通りだ」


 俺は拳をギュッと握って集中する。

 多少自信はある。

 だからと言って慢心して油断してピンチに陥るほど馬鹿じゃない。

 少なくとも依頼でのミスは仲間を巻き込んで死ぬ可能性がある。


「……ほな、行くか」

「ああ……」

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