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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師の先輩との会合〜 第2章 戦いの日々

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第106話 強敵連戦

「ここになるよね」

「せやな」

「さて、何が出るやら」

「……何が現れようが俺達は負けない」

「そうね!

 練人くんも期待してるよ」

「はい!」


 すると、土煙が巻き上がり、こちらに向かっている。


「何?」

「ちょいと待って」


 俺はすぐに双眼鏡で確認する。

 ユレイラさんも同じく双眼鏡を使って確認する。

 こちらに走ってきているのはサイクロプスだ。

 ただし、体表は赤い。


「……あれは【サイクロプス】?

 にしては皮膚の色が赤いようなーー」

「あれは【レッド・サイクロプス】!

 サイクロプスの亜種だけど、

 パワーと凶暴性は通常のサイクロプスより上!」

「そんな亜種がおるとは……」

「しかも、あそこにもいるのよね。

 ……レッド・サイクロプス」


 そう。

 さらに別方向にももう一体レッド・サイクロプスが現れている。

 このままでは村が襲われてしまう。


「……練人くん、君だけであっちのレッド・サイクロプスを頼める」

「ユレイラ」

「……練人くんが抑えている間に私達が素早く倒す。

 時間稼ぎ頼める?」

「……大丈夫か?」

「素早く倒せるんやろ?

 それにギルドで言ったセリフを撤回する気はないわ」

「そっか……

 それじゃ、お手並み拝見ね、練人くん!」

「ああ。

 時間を稼ぐのはええが、別に倒してしまってもええやろ?」

「できるのなら、それが一番よ」

「なら、遠慮なく!

 《ダブル・アップ》!」


 どれだけのパワーを持っているのか、

 様子見の形態であるダブル・アップで確認してやる。


「グルアアア!」


 レッド・サイクロプスは雄叫びを上げて、

 俺を睨みつける。


 俺を外敵として認めたらしい。


「はっ!」


 先手必勝として、俺はレッド・サイクロプスの胴体に蹴りを入れる。

 だが、レッド・サイクロプスは通常のサイクロプスと比べて、

 皮膚は頑丈で軽く蹴っただけではびくともしない。


「せい!」

「グル!」


 剣での攻撃は皮膚に切り傷を入れられる程度。

 ダメージがないわけではない。


「グアア!」

「ぐっ!」


 レッド・サイクロプスがタックルして俺は後ろに飛ばされる。

 すぐに立ち上がる。


「グルアア!」

「はっ!」


 レッド・サイクロプスが殴ってきたので、

 躱しながら反撃する。


「……スゥ」


 後退しながら呼吸を整えて冷静になる。

 あそこまで攻撃すれば、

 レッド・サイクロプスは俺を外敵として見る。


「ガアア!」


 レッド・サイクロプスが殴りかかる。

 それを目で見て避ける。

 バトル漫画とかそういうキャラのように、

 目に頼らずに戦うのは今の俺にはまだ無理だ。


 だから、敵の攻撃をしっかり見て体で覚える。

 遠回りかも知れないが、その方が早いかも知れない。


「てい!」


 躱してレッド・サイクロプスが隙を見せた時に切り掛かる。

 だが、皮膚が硬いのか少ししか傷つけられない。


「……なら!」


 俺は後ろに飛んだ。

 動きはわかった。

 なら、少し遅くなってもきっと避けられる。


「……《ダブル・パワード・アップ》!」

「グアアアア!」

「遅い!」


 軽く躱して、レッド・サイクロプスのみぞに膝蹴りを当てる。


「ガっ!」

「たあ!」


 怯んだ隙に反対の手でレッド・サイクロプスを殴る。

 強化された拳でレッド・サイクロプスの皮膚を凹ませる。


「ーー!」

「はっ!」


 悶えているレッド・サイクロプスの腕を切り裂く。


「グルアアア!」

「そこ!」


 痛みで咆哮し立ち上がったサイクロプスの膝を蹴る。

 レッド・サイクロプスは巨体に反して呆気なく倒れる。


「《マジック・ウェポン》!」


 レッド・サイクロプスが転がって立ち上がる間に、

 剣に魔力を付与させる。


「これで決める!

 はああ!」


 俺は一気に駆け抜けてレッド・サイクロプスを一刀両断する。


「終わったようだね!」

「はい」


 ユレイラさん達もすでにレッド・サイクロプスを討伐し終えたようで、

 もう一体のレッド・サイクロプスが倒れている。


「……でも、変よね?」

「あっ、やっぱそう思うんか?

 あの二体のレッド・サイクロプス、

 確かに強い魔獣やろうけど、

 ギルドが急いで冒険者を呼びかけるほどでもないんよな」

「……そうだよな。

 普通にレッド・サイクロプス二体を討伐依頼を出せばいいだけ」

「……ってことはーー」


 その時、大きな咆哮が聞こえた。


「な、何!?」


 ユレイラさんが慌てながら剣と盾を構える。

 森の奥から走ってきたのは、大きなドラゴンだった。


「で、デカ!」


 以前のオルド・ドラゴンと比べるとより大きく感じる。

 大体、クジラと同じ大きさだ。


「こ、こいつだったのね!

 こいつに追われてレッド・サイクロプスは逃げていた!」

「しかも、大きい咆哮……

 きっと、あのレッド・サイクロプスが怒らせたんだ!」

「……一応、レッド・サイクロプスは倒したって言えば?」

「無理だな……

 ……一度ブチギレたドラゴンは、

 街一つ潰すくらいじゃないと治らない」

「ドラゴンは賢い分、プライド高いし……

 こればっかりは仕方ないのよ」

「ですよね!」

「練人くん!

 行くよ!」

「はい!」

「《フレイム・ボール》!」


 レオさんが杖をドラゴンに向けながら、

 巨大な火球を放つ。

 まるで、ドラゴンのブレスのようだ。


「ギルアア!」


 しかし、ドラゴンはモロに受けても少々焦げル程度で、

 気にも留めなかった。


「……行くぞ、練人」

「は、はい!」

「《マジック・ウェポン》!」


 俺とヒューズさんでドラゴンに切り掛かる。

 ダブル・パワード・アップだから、ダメージを与えられるが、

 抵抗は激しく尻尾を回転させた。


「ぐあ!」

「ぐっ!」

「せい!」


 ユレイラさんは力任せではなく翻弄して、

 ドラゴンの皮膚を切る。

 剣に魔力が付与されているから効いている。


「くっ!

 暴れるわね!」

「なら、俺が翻弄します!

 俺が翻弄している間にユレイラさん達はドラゴンを」

「……言ってくれるじゃないの!

 練人くん!

 みんないい?」

「もちろん!

 当たっても知れねえぞ!」

「……好きにやれ」

「はい!

 《ダブル・スピード・アップ》!

 《マジック・ウェポン》!」

「ギルアア!」


 ドラゴンの顔を切って挑発する。

 ブチギレているドラゴンにさらに挑発していいのか、

 と思われるが、すでにブチギレて、

 ユレイラさん曰く街一つ潰さないと気が済まないように、

 なっているのなら同じことだ。


「グルアアア!」


 ドラゴンが、俺に噛みつこうとするが、

 その頃には、すでにいない。


 ドラゴンの周辺を素早く動き回りながら剣で切り裂く。

 ダブル・スピード・アップの欠点は、

 ダブル・アップと比べて、パワーが下がることだが、

 振るう武器があればその弱点は補える。


「練人!

 下がれ!

 《フレイムキック》!」


 レオさんが助走をつけて一回転、

 そのままドラゴンの胴体に火を纏わせた蹴りを叩き込む。


「ガア……

 アア… …」


 ドラゴンの背中は爆発し、悶える。


「《スピード・アップ》!

 練人くん!

 行くよ!」

「はい!」


 ユレイラさんは俺の反対方向で、

 ドラゴンをすれ違いざまに切り裂く。

 縦横無尽に動き、ドラゴンに動きを慣れさせない。

 ドラゴンはすでに俺達に追いつけずに混乱している。


「ヒューズ!」

「もう準備は終えている……

 トドメだ……

 我が剣よ、敵を砕く絶対的パワーを、

 大地に刻め!

 《グランド・パワー・スラッシュ》!」


 ヒューズが隙を見せたドラゴンに、

 大地が減り込む程の一撃を叩き込んだ。

 その一撃に耐え切れず、ドラゴンは絶命した。


「終わった〜!」

「お疲れ様!」


 ユレイラさんはパーティーにハイタッチする。


「練人くんもお疲れ様」

「はい」


 俺もハイタッチをする。


「でも、結構いい稼ぎになったんじゃない?

 レッド・サイクロプスにドラゴン」

「報酬はどうします?」

「練人くん、レッド・サイクロプス倒したのでしょ?

 レッド・サイクロプスはそれぞれ。

 ドラゴンは私達が協力したから山分けってことで!」

「……当然だな」

「それで?

 練人くんの評価はどうかな、ユレイラ?」

「そうねぇ〜

 ドラゴン相手にあそこまで動けたからね〜

 まだまだ甘いけど、鍛えれば光ものあるということで」


 確かに、俺のダブル・スピード・アップに、

 ユレイラさんは普通のスピード・アップで対応していた。

 ユレイラさんが同じことをすれば、俺より速いことになる。


「ありがとうございます」

「練人くんは属性の付与まだだよな?

 サイレンから教えてもらえてないのか?」

「それがまだ」

「練人くんは何属性?」

「火属性です」

「それなら、レオと一緒か〜」

「……レオ、教えるのか?」

「……いや。

 俺の鍛え方はサイレンと同じだからな。

 練人、強くなりたいのなら、

 サイレンと同じトレーニングすればいい」

「同じトレーニング」


 サイレンは基礎と基本を大事にしている。

 今でも、走るし、イメージトレーニングとして、

 避ける練習をしている。

 筋力トレーニングも欠かさない。


「まあ、サイレンより倍の筋力トレーニングすればいいんじゃない?

 それを継続すれば」

「倍のトレーニング……

 せやな」

「ちなみにサイレンに筋力トレーニングは通常より少なくしているから」

「……何でなん?」

「……そうじゃないと、あの子、過剰にやり過ぎて、

 すぐにムキムキになっちゃうのよ。

 ……冗談抜きで」

「そうっすね」


 ユレイラさんとレオは遠い目をしている。


「……サイレンから聞いたわよ。

 あなた、サイレンの記録者で、

 サイレンの過去も今も書いているんだって」

「……はい」

「……マジっすか」

「ええ。

 あの子曰く、まだ見せられる段階じゃないから、

 自分が確認している最中だって言ってたけどね」


 あっ、サイレンの方もそういうフォローを入れてくれたのか。


「多分、あの事も書くことになるのよね」

「……あの事っすか」

「小説だから面白いシーンは必要なのはわかるけど……

 ね〜」

「……書いて欲しくないのなら省略するで?」

「うーん……

 いいわ。

 あの子がその気なら私達が止められないし……

 止めようと思っても、どうせ、私達も許可するわ」

「ですよね!

 何せ、サイレンとは十年以上の付き合いだし」

「……そうだな」

「……練人くん、忘れないで。

 あの子は他人のために頑張っちゃう子なの。

 無茶をしがちだからあなたの方でも気にかけて」

「……わかりました」

「それじゃ、帰りましょうか」

「……はい」

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