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エピローグ ~人であっても、神であっても~








 ……ー


 ……リー


 …………ティ……!



「ティリー!! お寝坊さん!!」

「えっ!? わっ!? え? ええ??」


 気持ちよく寝ていた筈なのに耳元で怒鳴られてバッと飛び起きると、目の前にはぷっくーと大きく頬を膨らませた、赤毛の小さな女の子がこちらを上目遣いに睨んでいた。

 え、誰この子。……というか私、さっき寿命きて死んだ……。


「え? 何で私、まだ生きてますの?」

「もおぉぉ! まだ寝惚けてんの? ティリーもルドもいないから、ワーのじっちゃんだけでアグニ詰まんなかった!!」

「アグニ? ……えっ、アグニ神!?」


 どこかで聞き覚えのある名前だと記憶を探ったら、よくよく聞き覚えのありすぎる隣国の守護神の名だと思い至って、驚いて飛び跳ねる。あっ、私飛び跳ねれる!



「――あ、やっと起きた?」



 背後から掛けられた声。さっきまで耳にしていた、その聞き覚えのあり過ぎる、声。

 バッと振り返る。振り返って見た彼は――――不敵な笑みを浮かべて、私をその黄金の瞳で見つめていた。


「まったく。だからすぐに僕もいくって言っただろう? エリー。…………アティラー」


 アティラー? アティラーとは先程まで私と彼が治めていた、国の守護神の名で…………あ!!!


「ルド、ティリー真っ赤んなっちゃった」

「はははっ! やれやれ。仕方がないね、ティリーは。僕のことが心配で一緒に人の身に生まれ落ちたのに、自分だけすっかり綺麗さっぱり忘れて人間生活を謳歌してるんだからね。やれやれだよ。本当やれやれ」

「だっ、わ、私……!? ぎゃああああああ!!? 何なんですのこの服!? まるで食虫サボテンペッポロチーヌ…………イカれたセンスは私でしたわああああぁぁぁ!!」

「ティリーうるさーい」

「人間を謳歌しすぎて感性まで引き摺られてるし。だから言ったじゃないか、君はペッポロチーヌだよって」

「そんなこと人間(エレイン)の時に言われた覚えありませんわ!?」


 というか! コイツが私にすぐ抱きついてくるから、その回避策としてこのトゲトゲを装備しているんじゃありませんの!! コイツのせいですわ! あれもこれも全部コイツの……っ!!


「わ、私が人間に生まれ落ちることにしたのだって、元はと言えば貴方が私の守護地に行く行く言ってきかないから! 私は『迷惑じゃ! 行くんならワーテゥルじいのところへ行け!』って言ったのに! それなのに勝手に生まれ落ちていって! だから私も問題起こされたら堪ったもんじゃないから、すぐに追い掛け……っん!? んんーっ!!」


 グイッと顔を掴まれたと思ったら口を口で強く塞がれる。……アグニ! アグニが見てる!!

 抵抗しようにも後頭部をガッシリと押さえられて頭を動かすことができないまま、人の世に在った時のように深く――深く貪られる。


「……僕を愛しているから一緒に落ちたのに。長ったらしい言い訳ばっかり言う口は、こうして塞いでしまおうね」

「こっの……馬鹿ドス! どぐされ!! アレクの時にずっと私のことを笑っていたんでしょ!? 貴方なんか愛しておりませんわああぁぁぁ!!」

「はははっ! あれだけ人の身で深く愛し合ったじゃないか、アティラー。説得力がないよ」

「キイイイィィィィッ!!」


 真っ赤な顔で騒ぐ一神と、そんな彼女を飄々としながら宥める一神をどことなく遠い目をして見つめていた一神は、後ろからひょこっと現れた最後の一神を見て目を見開いた。


「あの二人がおるとすぐ賑やかになるのぉ」

「あ、ワーのじっちゃん。でもすぐルドがティリー連れて行くから、アグニ詰まんない」

「じゃあまた本でも読んでやろうかのう」

「ワーのじっちゃん本ばっかり! 詰まんない!!」



 ――――そうして戦いの歴史は繰り返される。


 エリー(アティラー)アレク(ウルドス)の仁義なき恋愛戦線、第***ラウンドへと突入――……。



最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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