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誘拐事件を知る


 せっかくしっかり休んでローラ様に会いに行こうと思っていたのにまさかのローラ様の方から急な予定ができたから1週間会うのは中止と連絡がきた。


 しかもコーリア侯爵夫人もまた予定があるといって1週間くらい王妃教育は中止でむしろ王宮に来るのが禁止だと連絡がきたのが4日前。つまりもう6日もローラ様に会ってない。ローラ様の滞在はあと少ししかないのに。


 さらにモニカに会いに行かないようにとモニカ禁止令というものを出されてしまった。城下町は毎日行くものでもないし人を呼ぶのもダメだと言われて、殿下の銅像をどんなものにするか考えたり新しい殿下の楽曲を作ってみたりした。それでも時間を持て余してしまった。


 そもそもこの中止だ禁止だというのは一体なんなの?素直にそうなんだと納得してしまったけどなんでそんなに禁止にしたがるんだろう。何かあるのかしら。


 そんなことを考えながら庭に出ようと部屋を出るとお母様が出掛けようとしているのが見えて階段を駆け降りる。


「お母様、今日も朝からお出掛けですの?」

「ええそうよ。夕方には帰ってくるわ」


 私はこんなに何でも禁止されてしまってるというのに反対にお母様は最近よく出掛けている。


「わかりましたわ。あら?お母様香水ですか?」


 お母様から普段はつけない香水の香りがする。お父様が香水の強い香りが苦手だから普段つけないのに。


「お出掛けも最近多い……ま、まさかお母様浮気ですか!?」

「ジェシー、お母様はお父様のことを愛しているわよ」

「ひぃ!!」


 笑ってるのに目が笑ってなくて怖い。


「馬鹿なことを言ってないであなたは自分のことを考えなさい。いつまでも殿下を慕ってる気持ちを表現だなんて言ってないで婚約者なら刺繍でもして差し上げたら良いのよ」

「は、はい」

「では行ってきますからね。余計なことをしないで大人しくしているのよ」

「はい、行ってらっしゃいませお母様」


 そう言ってお母様を見送ったあと息を吐く。


「あーあ、怖かった。苦手だけど刺繍をすることにするわ。あら?でも刺繍糸なんてあったかしら。随分やってないし、そうね、せっかく殿下を好きだってわかったんだもの、殿下に恋する気持ちを表現するためにも素材から選ぶべきね。まずは買い物に行きましょう」


 そう言うと近くにいた侍女が買い物なら自分が行くと言ってくれたけどこういうのは自分で選びたいからと断った。


 いつもお忍びで城下町に行っても殿下の話をしながら散歩するだけだけど買い物も同じようなものだもの。


 私はお忍び用のワンピースを着て城下町に向かった。


「あら?そういえばどこに売ってるのかしらね。まあ、歩いてればあるわよね」


 そうして着いた城下町を刺繍屋を目指してうろうろし始めた私に声がかかる。


「お嬢様、ジェシカお嬢様」

「あらおば様こんにちは。今日は殿下のお話をしたいところだけど殿下に贈る刺繍の材料を買いに来てるのよ」

「そうなのですね。いつも殿下思いですね。でもお嬢様、いつものように1人で出歩いて大丈夫ですか?」

「ん?あらあら、そうね、護衛がついてるから大丈夫よ?普段もついてるの」


 気配を消してるユーリのことに気付いてなかったみたい。私も時々忘れるものね。ユーリがおば様に挨拶する。


「え?あ、あら?本当に。え?いつの間に?」

「ふふ、でもおば様、どうして急に?」

「最近セントミナ領の方で何件も誘拐事件が起きてるって話でしょう」

「え?誘拐?」

「ええ、誘拐。平民の女の子が拐われてるそうですからジェシカお嬢様は大丈夫だと思いますけどね」

「まあ!!知らなかったわ!!」

「この近くにもセントミナに嫁いだ人が多くて、手紙で連絡をくれたんですよ。その子たちの子供もいつ事件に巻き込まれないかと心配です」

「そうね、心配ね……。殿下がどうにかしてくれるはず……そうよ、最近殿下お忙しそうだったもの。なにか動いてくださってるはずよ」

「そうですよね。ああ、それと噂なんですけど、本当に噂で、私は信じちゃいないんですけどね」

「どうしたの?」

「マチェルダ王国に連れ拐われてるって噂で、この前遊びに来てくれたローラ王女様が関わってるんじゃないかって話を聞きまして」

「まあ!!ローラ様が!?」

「けどこの前来てくれたローラ王女様はそんなことするような人には見えませんでしたし、私は違うと思ってるんですけど」

「ローラ様がそんなことをするはずないわ!!」

「そうですよね。マチェルダは内々で揉めてるって言いますし。でもそれだとローラ王女様が心配ですね。昨日もセントミナの人たちが大勢王宮に詰めかけたそうですよ」

「なんですって!?おば様、私行かなくちゃ!!」


 こうしてはいられない。私は走って王宮に向かった。


 そこにはいつもと変わらない様子で門番がいるだけ。いつものその門番に話しかけようとした時聞いたことのある声が後ろから聞こえてきて側にあった木に隠れる。隠れて見てみると前にローラ様と殿下の話をしていた3人組が歩いてきていた。


「ローラ王女もとんでもないことを仕出かしてくれたよな」

「俺なんて王宮出た途端にセントミナの奴等に胸ぐら掴まれてどうにかしろって言われてさ」

「俺らにどうしろっていうんだよな」

「王女も大人しい顔して裏で指示してんだろうよ」

「おい2人とも。殿下に注意されたばっかだって。誰かに聞かれたらどうすんだよ」

「だってよ、これじゃ傾国の美女じゃなくて傾国の魔女なんじゃねえの?誘拐事件だけじゃなくて王都でもなにか……痛っ」

「ローラ様はそんなことしないわ!!」


 3人のうち1人に勢いよく突進した私はそのまま腕やお腹を叩きながら叫ぶ。


「ローラ様は関係ないわよ!!なによ!!この前はローラ様は傾国の美女だとか王妃になったら士気が上がるだとか言ってたじゃない!!なんで手のひら返してローラ様を悪者にするのよ!!」

「バ、バートン嬢!!」

「もう知らない!!」


 きっとローラ様は部屋に監禁されてこういうやつらに意地悪されてるんだわ!!早く助けなくちゃ!!


 全力で走って王宮に入ろうとすると門番に止められる。


「なんだ!?なにか突っ込んできたんだけど!?」

「バートン嬢!?なんでこんなところに!?」

「煩い!!ローラ様を悪者にする悪の手下め!!」

「いやいや意味わかんないって。俺ですよ」

「私が仲を取り持ってあげたのにあっさりフラれた馬鹿でしょ!!わかってるわよ!!」

「なっ……」

「まあまあ、バートン嬢、今日は王宮にいらっしゃらない予定では?」

「私をローラ様から引き離すつもりだったのね!!なんて卑怯な!!」

「いや、何言ってるんですか」

「ローラ様は関係ないわよ!!ローラ様を解放しなさい!!」

「げ、なんでバートン嬢が知ってるんですか!?」

「バートン嬢には知られないようにする方針って聞いてたのにな」

「まあ!!みんなで私に黙ってローラ様を苛めてたのね!!許さないわよ!!殿下に言いつけるわ!!」

「いえ、殿下の指示なんですよ」

「え……?」


 殿下がローラ様を監禁して苛めてるの?


「そ、そんなわけないじゃない!!不敬罪で2人とも訴えるわよ!!」

「いや、本当に本当ですって。しかも王女を監禁してるわけじゃないですって」

「じゃあどういうつもりなのよ」

「暴徒化してるんで王女に危険が及ばないようにお守りしてるだけですよ。バートン嬢に知られたら自分が守るとか首を突っ込んで大騒ぎして王宮で固めてる守りを引っ掻き回されかねないって」

「なんてこと!!殿下ったら私のことをよくわかってる!!じゃあさっそく通してもらうわね!!」

「「いやいやいや」」


 さすが殿下だわ、と思いながら門番を押しながら進もうとしたけど全然進めない。


「だからそれをさせないって言ってるんですよ」

「殿下は大人しくしてろって言ってるんですから大人しくしててくださいよ」

「大人しくしてろって言ってたのはこのことじゃなくて体調を心配してくださったから。っていうことで」

「ちょっ、駄目なんですってば!!」


 再びぐっと押しながら中に入ろうとしたけど押し返されてしまった。


「もう、しつこいですわ。もうあなたたちの相談に乗ってあげませんわよ?」

「そう言われても駄目なものは駄目なんです」

「バートン嬢のためを思って心を鬼にしてるんですよ、俺たち」

「そうです。殿下から絶対バートン嬢を巻き込むなと厳命されてるんです。殿下の気持ちを尊重してくれませんか?」

「尊い殿下がバートン嬢を心配してのことなんですよ」

「ううう……」

「わかったら大人しく帰ってくださいね」


 ローラ様を助けたいのに、殿下に心配かけちゃう……でもローラ様……。


 昔から勉強が嫌いだった私は難しいことを考えられない。でも、そう、モニカなら!!モニカなら何か良い考えを思い付いてくれるに違いないわ!!


「覚えてなさいまし2人とも!!今度2人の恥ずかしい話を若い女の子達にしてやるんだから!!」

「あ!!バートン嬢!?」

「いきなり来たと思ったら急に走り去っていくなんて……」


 私は走ってモニカの家に向かった。

 禁止令が出てるはずではっていうモニカの家のメイドの制止を振り払い、ユーリに抱き抱えてもらうと気のせいだったかしらという声が聞こえた。そのままモニカの部屋にすばやく潜入することに成功した。



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