攻撃開始!
スタンピードを直接目視できるところまで進むと、帝都の冒険者たちはすくんでしまいました。こんなときに強い言葉で命じてみたところで、あまりいい結果が出ないことが多いです。
まず自分がやってみせることが大切なんじゃないでしょうか。
そして、少しでいいので敵を崩して、倒せない相手ではない、自分たちは勝てると信じさせることができれば最高です。
だから、私は飛びました。
重力魔法をマスターしたときに考えたのが空を飛ぶことです。当然ですよね、前世の日本でもゲームなどでは浮遊とかフライとか、そんな魔法がありましたから。
魔法の発動は手を起点にしたほうがコントロールしやすいのですが、他の場所から出すことも可能です。
で、これを組み合わせたわけですね。
足の裏から火を噴きながら飛ぶイメージですよ。
この世界には空を飛ぶ魔法というものがないらしく、現在でも、過去を振り返っても、飛行に成功した魔法士はいないらしい。つまり成功すれば世界初になります。
興奮しますよね。
自分自身を無重力状態にして、ファイアーボールを発動させると――ブーツの底が抜けて、ロケット花火のように上空に飛び上がっただけ。操縦方法を考えてなかったのでコントロールすることもできず、最終的に重力魔法の効果が切れた瞬間に地面に向かって落下していきました。
そこそこ高度があって、ぺチャンと潰れる前に重力魔法をかけなおしたので大事には至りませんでしたが、ブーツが壊れてしまい、裸足で自宅まで帰らなくなったせいで足の裏と、プライドがボロボロですよ。
反省と再考の元、いろいろ実験してみたのですが、結論からいうと人間は空を飛ぶようにできてない。鳥のように翼がないので安定した飛行は難しいという現実でした。
逆に考えれば翼があれば、ある程度は安定した飛行が可能なはずで、飛龍の羽をもぎにいき、リュックサックの形で、必要なときに翼になる魔道具・レイシキを作り上げることに成功したのです。
あとは訓練だけですよ。
ストレリツィ山脈で偵察や、ちょっとした空中戦ができるようになったころ、それを見た冒険者のみなさんから『碧天を翔る空色』などと呼ばれるようになったんですよ。
変な名前で呼ばないで、普通に本名で声をかけてくれればいいのに。
まあ、とにかくそういうわけで私は空を飛べますし、上空から魔法をバンバン撃つ爆撃みたいな攻撃も得意です。
もちろん偵察飛行などは通常作業みたいなもの。
このスタンピードでは飛行能力のある魔獣がほとんどいないようですので、一方的にボッコボコ!
まずは正面から突っ込んで、まっすぐ爆撃しながら最後尾まで。折り返して右端にそって爆撃していき、戻ってきたところで冒険者たちの上空をゆっくり旋回してみました。
「見ろ、本物の空色だ。飛んでるぞ」
「飛んでる、魔獣のヤツラ、手も足も出ねぇ、すげえ」
「うおーっ、魔獣がなにもできずに一方的にやられてるぞ」
「これはいけるぜ!」
「肉も素材も拾い放題はじまったな」
「おい、がっつり稼ぐぜ」
冒険者のみなさん、暖まってきたみたい。さすがに全部を1人で倒すほどの火力はありませんしね。なにしろ数が数なので。せいぜい魔獣の群れに綻びを作るのがやっと。その綻びを押し広げて殲滅するのが地上部隊の仕事となります。
細かく風属性魔法を制御してクルリとまわり、ドカンと加速して再度、魔獣の群れに爆撃を敢行します。
すると、下から地響きが追ってきました。冒険者のみなさんも遅れずに突撃するようです。
もちろん、先頭はディランで大剣をブンブンと振りまわして、いまにも「おほー!」と啼き声が聞こえてきそう。
しかし、地上部隊のファーストアタックはエラです。たぶん私が離陸したころから用意していたのでしょう、大きいのをドカンと撃ちました。
眩しいほど白く輝く雷光が動物らしき形になっていきます。
雷獣。
雷属性の魔法生物が魔獣の群れに突っ込んでいき、低レベルの魔獣なんか、この1撃で松明になったり消し炭になりました。
これは……サンダービーストですね。
素晴らしいです。
大火力ブッパできるタイミングがあれば、やる。なくても、なんとか捻り出してプッパ。
それが魔法士!
コブリンやコボルドあたりが1000くらいは死んだのではないでしょうか。さすがに、その上のクラスだと耐えるみたいですけど。
こっちも負けずに、どんどん爆撃いきましょう!
誤字報告ありがとうございます。毎度とてもたすかってます……その前に誤字脱字をなくせよ! という話だと思うのですが、なかなか
ブックマークもありがとうございました。たいへん励みになります。
書き溜め終了!
明日からどうするんだ?
がんばってますよ、ですけどさっぱり上手く書けません。